オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。
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2007.03.10

 エルベルンと決着をつけてからのオレがどうなったかというと。
 これが、まったくもって、これまでと変わらない日常の連続だった。

 そりゃあまあ、ね。

 サンレイクを再建するにしたって、一朝一夕で出来る仕事でもないしね。そうなれば、やっぱり普通に働いて生活するしかない訳で、働くしかないオレは、結局ポーラスでハンター稼業を続けている。
 ソルダムが作ってくれた二段ベッドの上から、シイナに叩き落とされて目覚める毎日(下段はシイナに乗っ取られた)。特に働こうとしないシイナは、その代わりに家でのことは良くこなしてくれている。と本人は主張している。オレの仕事が忙しい時は料理も頑張ってくれる彼のおかげで、大分胃が丈夫になった。多少の破壊音も気にならなくなった。慣れって怖い。というか、いい加減お前が家事に慣れろ、シイナ。

 変わったといえば、その仕事の合間にサンレイクに通うようになったってことくらいだろう。いや、くらいとかって言うほど小さい変化でもないか。
 まるで何も残されていないサンレイクの土地を、少しずつ、元の国に戻していけるように、小さなことから始めている。
 多分オレの一生をかけたって、あの頃と同じサンレイクに戻すのは不可能だろう。
 それでも、色々な人たちの協力を得て、サンレイクも人が暮らせるくらいの環境にはなりつつある。
 ハンターギルドのウェルバーさんは、サンレイクとエンデリックを行き来できる船を、オレに用意してくれた。
 サンレイクに行くには、どうしたって船は必要だ。トップクラス魔法師であるシイナなら、その程度の距離はひとっ飛びなんだけど、前に試しに連れて飛んでもらって、死にそうになった。シイナがオレを連れて飛ぶ程度はできなくはないが、連れられるオレが超高速の移動に耐えられないという結果。オレは普通の人間であるからして。それすらフォローできるような力の使い方を研究する、みたいなはりきりを見せてくれるシイナだけど、ちょっともう、あんな思いは御免被りたい。
 にしても、ウェルバーさんの好意に甘えっぱなしなのは、やはり気が引けたのだけど、結果的に世界を救うことになった功績への礼だと、無理やり押し付けるような形で、サンレイクへの航路を確保してくれた。そうまでしてくれているのを断わる手はない。世界を救ったなんて話はピンと来ないけど、せっかくの申し出を頑なに拒むのは、かえって失礼だよな。本当に、ありがたい話だ。国交についても、これから綿密に練り直してくれるそうだし。
 サンレイクの整地に力を尽くしてくれているのはエルフたちだ。
 人間の力では何年もかかりそうな仕事を、彼らは僅かな時間でこなしてくれる。本来エルフたちがこんなケースで力を使うことなんて滅多にないらしいんだけど、サウロいわく。こういう時があるのも、悪くはないんじゃないかと。エルフが表に出て、人間と一緒に協力しながら活動する、そういう国とそういう時代があるのも、それはそれで。歴史の1ページとしては、なかなか面白いと。
 そのおかげで、土と瓦礫と伸び放題の草ばかりだったサンレイクに、高原や牧草地が増えた。そうなればそこに生態系が生まれ、人の手だって加えやすくなる。
 ミリネの趣味で、川沿いには所々花畑があったりもする。精霊石がろ過する湧き水が作る川はすこぶる水質がいいから、そこに魚も暮らし始めるだろう。今は時々アッシェがたゆたっているけど。そうだった。昔は一日釣りで潰してみたい、なんてことも考えてたっけ。サンレイク唯一の美しい川。それもきっと、すぐに昔の姿に戻る。
 そんなサンレイクに、いくつかの小さな家を建ててくれたのは、ソルダム率いる建築家チームだ。いや、建築家じゃないけど。
 ソルダムやディク先生や力の有り余っているハンターたちが、協力し合って、コツコツと作り上げてくれた。
 オレや、他の人間がサンレイクに行く用事があった時に過ごせる家。これがあるから、何日も時間のかかる仕事だってやりやすくなった。それに事実上、家があれば人が暮らすことだって出来る。ちょっとまだ、食には困るかもしれないけどね。

 そのひとつひとつの行程に、オレは少しずつ関わってはいるけど。本当に、皆がいなかったら、こんな風にはならなかった。出来なかった。


 今日も、サンレイクの草地の上に、オレは立つ。
 皆でとり戻した、多くの手が作り上げてくれた、オレの国。
 最近作り始めた畑の管理のために、シイナと一緒に出かけてきた。何だか老後の別荘生活みたいだよな。それにしてはちょっとハードだったりもするけど。

 ポーラスほどの面積しかない小さな島国だけど。何にもないこの国は、こんなにも広かったんだなあ。
 沢山の人間がひしめき合っていたあの頃は、この国がこんなにも広いことに気付かなかった。気付かないくらいに、沢山の人が、ここで暮らしていた。
 次の瞬間に死を迎えることに気付かないまま、消えていった命たち。
 この国の、人々。
 今この国に立つのは、俺とシイナのふたりきり。

 エルベルンとの決着から、2年の時が経った。
 サンレイクが焼き落とされてから5年。最初の3年は、犯人を捜すために。あとの2年は国の再建のために。これまで、ただただ目的のためだけに動き回ってきたけど。
 今、少し心に隙間を空けて、この国を眺めてみれば。
 この国で生まれて散っていった命の形が、見え隠れする。
 彼らの営み。
 そして、それを自分の代で失い、その後をオレに託した当時の王。
 彼の思い。

 大きかったな。ここにあったものは。

 ちょっと泣けてくるよなあ。そろそろ泣いてもいいかなあ。
 ずっとずっと、忘れたみたいに動き回ってきたけどさ。
 てかダメじゃん。隣にシイナいるじゃん。そんな一生話のネタにされそうなこと、できませんて。人を鬼のように言うなとか言われそうだけど。
 別にいいや。泣くのは後でも出来る。
 いつでも出来ることってのは、後回しになりがちだけど。

「なー、シイナ」
「なんだよ」
 この土地にも風が吹く。
 結界の中にあってなお、それは海の匂いのする空気を運んでくる。
「ありがとな。本当に」
 まだきちんと礼を言えるほど、キリなんてついてないのかもしれないけど、それを言ってしまったら、きっと一生キリなんてつかないだろうし。
 何事かと目を見張るシイナに向き直る。
「別に、お前だけのおかげじゃないけどさ。でも、お前と会ってなかったら、何にも始まらなかった」
 あの時、オレの剣を狙うシイナに出会ってなかったら。
 オレは多分、今も何も始められずにいた。
 そして、オレに生きる責任を与えてくれたのもお前だ。お前が、オレという小さな国で生きていくことを決めてくれたから。
 シイナはただ、静かに、愉快そうに笑う。
「礼を言うのはこっちの方だ、なんて、お決まりな台詞はあんまり言いたくないけどな。いいじゃねえか。お互い様でさ。お前がお前の人生を捧げて継いだこの国に、オレたちは迎え入れてもらったんだ」
 シイナだけでなく。
 ソルダムもディク先生も、ケティさんも。それぞれが、2年前のあの時から、自分の国籍を、サンレイクだと名乗り上げるようになっていた。
 オレの国の国民だと、彼らはそう言ってくれる。
 ミリネやサウロも、多くの時間をサンレイクで過ごしてくれている。
「天涯孤独な連中を、お前が受け入れてくれたんだろ。小さなお前の国の、最初の国民たちはさ、まるで家族みたいじゃないか。コーラス、お前の」
 シイナやケティさんだけでなく、ソルダムもディク先生も、びっくりするくらいみんな揃って、ひとりきりだった。家族を失ったり、帰れなかったりする事情の中で飄々とひとりで暮らしてきた彼らと。
 家族みたいに暮らしていいんだな。オレは。
 今は、ソルダムはエンデリックで。ディク先生はポーラス西で。ケティさんはそのディク先生の家で。時々サンレイクを訪れながらそれぞれに暮らしているみんなと、いつかここで、家族になって。
 それでそれは、いつかどんどん、増えていくのかな?

「ますます本気で王様っぽくないな、オレは」
 冗談でもなくそんな風に言ってみれば、今度はシイナ、声を立てて笑った。
「今更言うな。種まきに浮かれたり木材と格闘する王様なんて、他でそうそうお目にかかれるものじゃないっての」
 そうですよ。どうせ庶民臭い方が似合う王様ですよ。
 ひとりじゃ何も出来ない王様だけどさ。
 ひとりじゃ、王様にだってなれないんだよ。
 オレを王様にしてくれる人々が、存在しなければ。

 成り行きの名前だけの国王だよ、オレは。
 だけどオレは、みんなを支えて、みんなに支えられて、生きて行く。


 シイナが求めた、オレの剣。
 オレが生まれた時から持ち続けていた、精霊石の剣。


 シイナとの出逢いを作ったこの剣から。オレ自身の、国作りが、始まった。





==椎名の呟き==
お疲れ様でございました。
始まった時のように、実にさりげなく終りを迎えます『コーラス・ブレイド』でございます。
これまで読んでくださった方に、心からの感謝を。
少しでも楽しんでいただけたのなら嬉しいのですけど。ドキドキ。

でもって、次回作もよろしくご愛顧いただければ光栄至極にございますw

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2007.03.09

 さあ、エルベルン。
 お前はこの剣に、何を見るか?
 俺がつき立てたこの剣に、お前は自分のもっとも望んでいた姿を見るはずだ。
 最愛のエルフの、眼差しを。

「……モーラ……」
 オレの剣を凝視したエルベルンから発せられた言葉は、予想通りの一言。
「モーラ……何故そんなところに……モーラ!!」
 距離を置くオレに近付こうとして、エルベルンは瓦礫の上で体勢を崩す。だからこれ以上その身体に傷なんてこしらえないでくれってば。
「そう、モーラの魂は、この剣に宿っているんだよ。お前が一番望んでいた魂が、ほらここに」
 オレはその剣をつき立てたまま。
 今、エルベルンの目には、剣の刃の輝きの中に、モーラの姿が映っているはずだ。ただじっとエルベルンを見つめる、その姿が。
「モーラ!!」
 エルベルンの意識が、完全に剣に固定された。

 この瞬間しかない。

 オレは、その剣を頭上に高く突き上げた。
 エルベルンの刺すような視線が、その動きを追う。
「東西南北、サンレイクの四方に眠る精霊石、その要石。その力をこの剣に集約せしめよ。主であるコーラス・サンレイクが、ここに命ずる」
 オレの言葉に、サンレイクの四隅に埋め込まれている精霊石が反応し、光を帯びた。それは瞬時に空まで届くような光の柱になったから、ここにいても肉眼で確認できる。
 その光の渦が、全てオレの持つ剣に集中して降り注いだ。
 強烈な、光の雨。
 その力は、この手から剣を弾き飛ばそうとするほどの勢いで。でもここで、集中を途切れさせる訳にはいかない。
「この力は、身体ではなく魂そのものを切り裂くよ」
「貴様、何を……」
 身体を傷つけずに、魂を切りつける秘剣。本来そう上手く使えるものではないけど、エルベルンの今の身体の奥にはケティさんの魂が眠っている。そしてここには、エルフもいる。サンレイクという場所とケティさんの魂とエルフの力。全ての要素があって、行使できる技だ。
「さあ、エルフたち。モーラの力を」
 姿を隠していたエルフたちが数人、そこに姿を現した。ミリネと共にエルベルンへと手をかざし、その奥に眠るケティさんの魂を内包したモーラの力を探る。
 捕まえた、と、ミリネが小さく呟いた。
「モーラの力と、我らの力で」
 ケティさんの魂を、外へと引き出す。
「ケティ、目を覚ませ。お前の意志で動き、お前の意志で感じる、それはお前の身体だ!!」
 シイナが叫んだ。
「行くよ。悪いが最期の言葉を聞いてやる余裕はない」
 せめてモーラと同じところに行けるといいな。
 魂の行方は、もちろんオレには計り知れないけどね。

 力を蓄えた精霊石の剣を、オレは真っ直ぐに振り下ろした。
 剣がまとっていた光が、エルベルンへと一直線に向かい、その身体を輝きで切り裂く。

「バカな……バカな!! 貴様ァ……ッ!!」

 それが最後。
 それ以外の時間の猶予は、彼には与えられない。
 その言葉を絞り出して、エルベルンの、ケティさんの身体はガクリと膝をついた。
 意識を失って前のめりになった身体が瓦礫の山から一枚の葉っぱのように崩れ落ちる。それをやんわりと受け止めたのは、その場にいた数人のエルフたちだ。
 そこへシイナがゆっくりと歩み寄った。オレもそれに続く。
「終わったか?」
「うん」
 エルフたちが支えるケティさんの身体を、その場に膝をついたシイナが受け取る。
「あっさりしたもんだな」
「そう言うなよ。結構大変なんだぜ」
 ほんの少しでも力が揺らいだら、ケティさんの身体ごと粉砕しかねない強大な力だ。それを操れるように、オレはずっと昔から、国の四隅にある精霊石にオレの名を憶えさせてきた。
 毎日のようにそこに通って精霊石に自分の名を刻み込む。それはサンレイクの王位継承者の仕事のひとつだ。
 つまり、四方にある要石ってのは、オレの銘入りの精霊石なんだよね。
 もちろんそれ以外に、祖父や父の銘入りの要石も存在するんだけど。本来それは主が逝去すると共に相応の処分をするものなんだけど、それは出来ないままになっている。後でちゃんとやっておかないとなあ。

「もういいよ。協力感謝する」
 オレが囁くと同時に、俺の愛用の剣からエルフがひとり抜け出してきた。
 エルベルンが見たのは、このエルフの姿だ。
 モーラの姿となって、この剣に宿ってもらった。エルベルンがこの剣に意識を傾け、この剣の力を真っ直ぐに受け止める状況を作るために。
 モーラがこの剣に宿っているなんて、ウソっぱちだ。
「それでもまだ信じてたんだなあ。モーラが何がしかの形で生きてるって」
 自分自身の、その手で奪った命を。だからこそ、認めることができなかったんだろうけど。

「……シイナ、さま?」
「!!」
 シイナが支えるケティさんが、緩やかに目を開けていた。
「ケティ!!」
「ケティさん!!」
 目を覚ましてくれた。
 あああ、良かった。自信が無かった訳じゃないけど、ちゃんと目を覚ますまでは、実際ケティさんの魂がどうなってるのかわからなかったもんなあ。ここだけの話だけど。
「シイナ様……」
「なんだ」
 か細い声に、シイナが耳を傾ける。
「何だか……死んでしまいそうに、身体中が痛いんですけど……」
「あ、悪い」
 そういえばケティさんの身体、満身創痍なんでした。
 とりあえず、シイナが治癒の魔法を施す。そうした後で、ケティさんは本当にゆっくりと、その身体を起こしてその場に座り込んだ。
「コーラスさん……ありがとうございます」
 多分これまでのことを全て記憶として持っているであろうケティさんは、オレに向かって深々と頭を下げた。
「いや。お礼ならオレの方が山のように言いたい。キミが頑張ってくれたから、どうにかすることが出来たんだ。本当に」
 シイナの身体が奪われた時から今まで、本当に良く頑張ってくれた。

 皆がいてくれたから、今のこの瞬間がある。
 オレも、シイナも、ケティさんも。ひとりきりだったら、絶対に、どうにもできなかった。

「終わったかーあ?」
 ソルダムとディク先生が、それぞれハンターたちとエルフを引き連れてやってきた。あの光が、合図となったはずだ。
 これで終わってなかったらどうするつもりだったんだろうね。まあ遠目から見ても、わかって頂ける状況だとは思うけど。
 オレは、ふたりに向かってグッと親指を立てた。
「ご協力感謝!!」
 それだけで、そこに集った全員の顔が、笑みに変わった。
「3年は長かったけど、土壇場は一瞬だったなー」
 ソルダムまで、シイナと似た様なことを言わないでくれ。こちとら精霊石の育成、およそ20年越しなんだぞ。それこそ生まれた頃から。
 まあ、いいや。
「無事終了。さて、これからどうしようかね」
 大きな仕事を終えて、だけどそれぞれが何だか、感慨の中でやけに静かに佇む。
 理由は多分簡単。
「とりあえず、眠いな……」
 同感です。
 今ここで全員で寝転がりたい気分だけど、港組やポーラスに報告もしなきゃならないしな。もう一仕事やり終えないと。
 それにもう、夜が明ける。

 夜の闇に沈んでいたサンレイクに、太陽の光が差し込んだ。
 朝だ。

 明けない夜はないよ。今がその時だって、強く実感する。
 いつも通り、毎日、繰り返し。
 必ず闇の中に光は差す。

 それが、オレの生きるこの世界だ。





==椎名の呟き==
サンレイクの王族って、めっちゃ出歩いてるんですよ。暇があれば、精霊石のご機嫌うかがい。国土が狭かったからいいけどね。
さーて。次回、最終回となります。
彼らの20年後の姿がそこに!! なんて大嘘ですけど!!

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2007.03.07

 城に近付くにつれて、草の丈もどんどん低くなってきて。
 焼けたままの大地がむき出しになっているそこは、ただの岩場にしか見えないけど。
 これまでも続いてきた勾配が少し急になってきて、目指す場所が見え始めた。遮るものもなくて見晴らしの良すぎるその景色。もう城があった場所まで見えているけど、そこにエルベルンの姿はまだ確認できない。
 見えるのは、元は城だった瓦礫の山だけだ。
 建材に殆ど精霊石は使ってなかったとはいえ、あれだけ強固な造りだった巨大な城を、こうもたやすく石の屑に変えてくれたエルベルンの魔法力ってのは、どれほど大きなものだったんだろう。
 だけど城そのものを破壊してくれたおかげで、エルベルン自身もここからすぐに逃げ出すことは出来ない。
 王座があった場所にはその場の結界を解くための鍵となる場所があって、そこからオレは外に放り出されたんだけど、もうその鍵は存在しない。瓦礫の向こうは断崖絶壁、はるか下には海が広がっているけど、結界が解けない限り、エルベルンがそこから脱出するのは不可能だ。

「何故……貴様らがここにいる……」

 その瓦礫の山の頂上付近に、エルベルンはいた。
 無造作に積みあがった岩の上で、その岩に全身をもたせ掛けるような格好でいたから、遠目では判別できなかったんだな。
「結界の中なら安全だと思った?」
 まさか昨日の今日くらいの勢いで、攻めて来られるとは思ってもみなかったんだろうな。理論上、精霊石で出来た結界を外から解くのは不可能。だからこれまでの3年間、誰にもジャマされずに力を蓄えて来られたんだろうから。
 今度は何年かけて、力を回復させるつもりだったのかな。
「サンレイクの子せがれが生きていることを知ったくせに、それを放置してたお前が迂闊なんだよ、エルベルン」
 あの状況で、そこまで考えて、さらにどうにかする余裕なんて無かったかもしれないけど。
「まさか……貴様が結界を」
 エルベルン、岩場からゆるゆると頭を持ち上げる。
 おっくうそうだなあ。
「サンレイクの跡取りは、結界についてぜーんぶ学習済みなんだよね。オレは誰とも継承権争ってなかったし」
 祖父の後は父。その後はオレ。わかりやすい図式の下で、継承権のあるオレたちは、国の結界についても精霊石についても、門外不出の扱い方について全て受け継いできた。
「お前を招き入れたヴェルネッティからは、何も聞かされてないだろうけどね。彼女自身も知らない話だから」
「……」
 否定の言葉は返ってこない。
 ということは。やっぱりエルベルンに加担したのは、彼女だった訳か。ヴェルネッティというのは、オレの母親の名前だ。
「もったいない話だな。父親の身体から他の身体へ、そしてその身体で力を使いきったらすぐシイナの身体へ。そこでも派手に力を使い尽くしてとりあえず篭城。それだけ無茶苦茶な力の使い方が出来るほど大きな魔法力を持ってたんだから、上手く使いさえすればホントにこの世界だって手に入れられたかもしれないのに」
 そう上手くは行かないのが世の中ってものかもしれないけど。シイナの身体でどこまで保てるかも謎な訳だしね。でも結構イイ線までは行けたと思うんだよね。エルベルンほど、激情に走ったりしなければ。
 そもそも他人の身体を渡り歩いてって計画自体が、破綻してるって話もあるけど。それすらもものともしない何かがあるんじゃないかって思ってたけど、そういうことでもなさそうだよなあ。本当に計画性がない。
 まあそんなヤツだったおかげで、オレたちにもそれを止める道が開けたんだけど。
「今のお前に勝ち目はないよ。お前はここから逃げられない」
「……黙れ」
 エルベルンはゆるゆると立ち上がった。
 あまり無理をしてはいかんよ。腹に穴は開いてるし、左手骨折してるし。ケティさんの身体、大事に扱って下さいな。
「この身体が人質だということを、忘れるな……」
 まあ、確かに。
「人質を傷つけることができない甘ちゃん集団だって読みは当たってるけどね」
 でも何の対策もないまま、ここにいる訳じゃないよ。オレたちは。

 人が人を裁くには、本来それ相応の手続きが必要なものだとは思うんだけどね。
 殺された多くの人のためだとか、この世界を壊させないために、なんて。そんな大それたことを口上に出来るほど、オレは人間の代表みたいな立場じゃないんだけどさ。本当は。
 だから、まあ。
「私怨だと思っておいてくれていいけどさ」
 それでもオレは、お前を許すことはできない。
「お前ももう、愛した人のいない世界で無理して生きることもないよ」
 モーラはもういない。
 お前が手にかけたんだよ。
 この世で一番愛したはずの人をさ。
「黙れ……黙れ黙れ!!」
 怒りの形相に変わったエルベルンは、右手の先に赤い炎を生み出すと、瞬時にしてそれをオレに向かって放った。
「無駄だ」
 オレの前に立ちはだかったシイナが、ゆるりとした仕草で槍を横にひと振りしただけで、その炎の球は弾き飛ばされて、瓦礫の一部に小さな穴あけた。
 どうしてそんな風に力を使っちゃうかなあ。

「見なよ、エルベルン。ここに映し出されているものが、何なのかさ」
 オレは、腰に差していた愛用の剣を、目の高さくらいで空に向かって突き立ててみせた。

 エルベルン。これがお前を導く、精霊石の剣だよ。





==椎名の呟き==
書いてて一番ヴィジュアルで想像できちゃったのは、おっくうそうなエルベルン……。
こんな時がありますよ、椎名にだって(笑)。
次回決着ですかね~。どうですかね~。
まだ最終話にはなりませんけど!

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2007.03.05

「面白い話してるんじゃん。オレも仲間に入れなよ」
 うおっと。
 草の陰からいきなり顔を出したソルダムに、マジで驚いた。
「サンレイクで鍛冶屋やれたら、仕事少なそうでいいじゃん」
 さっきの話、聞いてたのか。まあデカい声で言い合ってたから、近くまで来てたのなら聞こえても不思議はないけど。
 でもな、ソルダム。仕事少ないって言うより、仕事なさすぎて食いっぱぐれるんじゃないのか、サンレイクで鍛冶屋って。本来モンスターも少ない土地だしハンターギルドもないから、副収入もアテにはできないぞ。ていうか現在国自体が無一文なんですが。
「抜け駆けはズルいな。ソルダム」
 うわ、ソルダムの逆側から、ディク先生まで。
「私が王家付きの薬師になってやってもいいぞ。キミが望むのならな。もっとも、今すぐには無理だが」
 この人までどうした。ていうか、その王家ってオレひとりだし、その王様が多分ほったて小屋住まいなんじゃないですか、最初は。もうこの状況で、昔みたいな城なんてちょっと考えが及ばない。
 ていうか、なんでこのふたり、ここにいるんだ?
「こっちは殆ど片付いたぞ。ディクもか?」
「ああ。エルフの協力があったからな。こっちにモンスターは殆ど来なかったろう?」
 うわ、仕事速いなあ。城までまだ結構距離あるのにな。いくら少しばかり先行してたって、スタートはものの数分しか違わなかったはずなのに。
「どうやってこんなに早くモンスター片付けたんだ?」
 オレの質問には、ディク先生が答えてくれた。
「エルフが高速で移動できるからな。モンスターの嫌う匂いを出す煙玉を城付近まで運んでもらって、風を操っていぶし出したんだ。エルベルンがこの島に持ち込んだモンスターの種類は少ないみたいだからな。簡単なものさ。島中のモンスターを私とソルダムの二手にかき集めて、一気に片付けた。戦闘も無いことは無かったが、殆どのモンスターはエルフが沈静化させてくれたからな」
 召喚師さまさまだな……。
 そしてその煙玉というのは、もしかしてディク先生のお手製だったりするのかね。
「さすがだなあ」
 素直に感心すると、ディク先生はまんざらでもなさそうな様子で笑う。
「力になると言っただろう? 少しは役に立ってると思うが」
 少しなんてもんじゃないって。ソルダムもディク先生も、殆ど初対面のハンターたちを束ねてくれて、彼らを率いてモンスターをおびき出してくれて。ヤツらの相手をしながら城に向かわなければならなかったとしたら、オレたち滅茶苦茶苦労してたはずだよ。
「本当に助かってるよ。マジ凄いよな、ディク先生って」
 初めて会った時も、笑い死にしそうだったオレたちを簡単に助けてくれたしね。最初から今まで、感謝してばかりだ。
「そうか、凄いか」
 ディク先生、ニッコリと笑うと、そのまま踵を返して歩き出した。腰まである長い髪がフワリと揺れて、一度振り返る。
「ならばその信頼にお答えして、もうひと働きしてくるとしよう。キミの見据える未来を、私も共に歩けるようにな。……なんなら、嫁にもらってくれても良いぞ」
「…………はい?」
 ハハハハハ、と軽快に笑いながら、その場を去ってしまうディク先生。
 ……えーと。いつの間にそんなにサラリと冗談を言うようになったんだ。
「おめでとう、コーラス……。ヤツは本気だぞ……」
 全然めでたくなさそうな様子で、ソルダムが呟く。
 って。え? 本気って何が。
「惚れられたなあ、お前……。どこがツボだったのかな。実は一目惚れか? まあ、どんなことになっても、オレはお前の味方だからな。くじけるなよ」
 くじけるって何!! 一体これからどんな目に遭う訳? オレ!!
 ていうかマジなんですか、それ!!
「まああいつは無理強いをするヤツじゃないから大丈夫だよ。多分。……さて、ディクの部隊に遅れる訳にもいかないから、オレも行くかな。残りのモンスターも城周辺の包囲も任せとけよ」
 言うだけ言って、ソルダムもさっさと走り去ってしまう。

 一体、オレの身に何が起こっているんだ。

 呆然とするしかないオレの横で、シイナの肩が震えている。
 何笑ってんだ、お前。

「オレの言った通りだろう。お前の周りには人が集まる」
 震えるほど笑いを噛み殺しながら言われても。
「だが、案外ケティもお前みたいなの好みそうだからな。助けてやれたら……かなり面白くなりそうだ」
 面白がるな!!!
 ケティさんを助けるのはそりゃあ大前提だけど、その後で変な入れ知恵でもしてくれるんじゃないだろうな、この男は。
「私も参戦してもいいですか……」
 ぶは!!
 しゃべるのも珍しいミリネ、この子の冗談を初めて聞いた。
 まあ、エルフには恋愛感情が存在しないらしいから、これは本当に冗談だろう。サウロが黙ったままなのが、何よりの証拠だ。きっと、怒る気も起きない位にありえない話なんだな。
「集まるのはいいが、また濃い連中が揃ったもんだよなあ」
 お前が言うか、シイナ。
「しかし本気なのかな、ふたりとも……」
 いくら今すぐじゃないって言っても、こんなに何もない島国で。オレと一緒に精霊石を守ってくれるっていうのか? こんな、閉鎖的な世界になることが決まりきっているこの場所で。
「好きにさせてやれよ。嫌々やるような連中じゃないだろ」
 そうかもしれないけど。
「きっと上手くやれる。お前は自分とその周りにいる連中を信じろ。そしてそのための第一歩が、すぐそこにある」

 歩いて行くその先に、サンレイクの城跡がある。
 そこに、エルベルンがいる。
 そこを越えた先に、オレの道は、あるんだな。





==椎名の呟き==
実はディク、Vol.34あたりで既にコーラスに惚れてる行動を取っております。非常にわかりにくい女性ですが。
惚れられるとどうなるって、それはかなり謎ですけど、昔PBMで使ってた時は、物語の最後には婚約者を小脇に抱えて調教の旅に出てましたがね。
さて、そろそろこの物語も終盤です。70話になるまでには収束に向かうと思いますので、あと少しお付き合いくださいませ!

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2007.03.04

 背の高い草ばかりの中を延々と歩く。
 エルベルンに焼かれてから3年、草ばっかり伸び放題だな。それでも植物が育ってくれてただけまだいいのか。懐かしき我が国の大地。
 でもほとんどモンスターと出遭わないところを見ると、ソルダムたちのモンスター陽動は上手く行ってるんだなあ。さすがのふたりだ。後でコンビ名考えてやった方がいいかな。

 一日近く歩きっぱなしの予定だから、時々は数分の小休止。サウロはやれ軟弱だだの時間の無駄だの言うけど。お前はいいよ。ミリネの肩に乗って移動してればいいんだから。そのミリネも顔色ひとつ変えずに長距離移動できてるけど、このか弱そうに見える小さな身体のどこにそんな体力があるのか。それとも、体力使わない方法でもあるのかな。あれば伝授して欲しいものだけど。何しろこの長距離、ひたすらのんびり歩いてるのは、オレたち人間の体力温存のためなんだから。
 燃費悪くてすみませんねえ。

「あのな、コーラス」
 背の高い草を倒してその上に腰掛けて休憩中、ふいにシイナがこっちを見る。
「たとえ血のつながりがあったとしたって、お前の母親のやったことは、お前には関係ないんだからな」
 …………。
 シイナ、ずっとそんなこと考えてたのか。
 オレはソルダムとディク先生のコンビ名をどうするかばかり、悩みに悩み抜いてたっていうのに。
「そりゃそうだよ。オレと母親はこれで案外ドライな関係だぜ? あの人がやったことで、オレが責任を感じなきゃならないことなんて全然ないじゃん」
 そう言ってみても。む、何だか冷たそうなその視線。
「そうは見えねえんだよ」
 何でお前が不機嫌になるかな。
「これまで、何の責任も重圧も感じてなかった訳はないよな。たったひとり残ったサンレイクの生き残りのお前が」
「……」
「その、お前がひとり生き残った事件の原因を、間接的に作ったのが誰か。それがわかったのは、たった今さっきだ。そしてそもそも、なぜサンレイクがそんな目に遭わなければならなかったのか。この地が、どんな場所であったのか」
 責任がどうとか、被害者か加害者か、そんなことが言いたいんじゃないんだろうな、シイナも。

 モーラへの叶わぬ想いから狂気に走ったエルベルン。
 自由を求めその狂気に国を差し出した母。
 再び踏むことは無いとさえ思えた、サンレイクの地。

 それら全てを踏みしめて、生きていくはずのオレ。
 その混沌を、どうやって昇華して行けばいいのか。

 確かに、行くべき道を見出すのに、苦心してはいるんだけどね。

「例えば、償いたくても、その相手はもうどこにもいない。国を再建しようにも、残っているものは何もない。だからオレはさ、サンレイクという、王の名さえも無意味なものだと、そう考えてたんだけどね、これまで」
 国を滅ぼしたその犯人を探し出して。これからも繰り返されるかもしれないその脅威をどうにか食い止めて。そのことに一生を捧げられるなら、それもまた良し。もしも早いうちに解決を見ることが出来たなら、その後にはハンターとしてポーラスで暮らしていくか。漠然とそんなことを考えたりもしてたんだけど。
 サンレイクという国の成り立ちを、サウロから聞かされた。
 エルフから託されたこの地を。オレは守っていかなければいけないんじゃないのかな。そのために栄えてきたはずなんじゃないか。サンレイクという国は。
 だけど、残されたオレひとりで、どうやって?
 そんな風に思い始めていたのも、確かだ。
「坊主。念のために言っておくがな」
 サウロが呟いた後で、エヘンと咳払いした。その後、さらにもうひとつ。なんだよ、言いにくいことならわざわざ言わなくてもいいぞ。って、それはそれで気になるんだけど。
「確かにエルフは人間にこの地を託した。だが、今こうなったこの土地をどうするか。それはお前の自由だ。国を再建するもよし、ここを捨てるもよし。一度離れてじっくり検討するのも悪くは無かろう。我々は、この地を守れと誓いを立てさせはしたが、結局のところ、どうしていくかは人間次第だ。そうでなくとも寿命の少ない人間、代が変わっていくごとに状況が変わるのも仕方のないこと。それはエルフも承知の上だ。託すというのは、そういうことなのだぞ」
 噛んで含ませるような長台詞をしゃべるサウロというのも珍しい。
 でもだからー、別にその現場にお前がいた訳じゃないだろうって、何度心の中で言ってみても無意味ですがね、ええ。
「サウロは……コーラスさんがひとりで背負うことはないと、言いたいんですよ」
 うお、びっくりしたあ!
 久々のミリネの声だ。
「そんな風には言っておらんわ!!」
 サウロの言葉をフォローするミリネってのも初めて見たぞ。いつもなら逆なのになあ。って、なんですか、サウロのくせに、オレのこと心配なんてしてくれちゃってた訳?
「なんだサウロ、オレのこと結構好きなんじゃん?」
 ちょっと調子に乗って鳥頭をゴシゴシなでまわしてみたら、その手に向かって速攻のくちばし攻撃。やばいですって、手首刺されたらオレここで死んじゃうってば。
「オレ様を侮辱するか、人間風情が!!」
 ひどい、サウロがオレを好きになるのって、侮辱レベルなんですか。
 うんまあ、いいけどさあ。
「色々考えなくもないけど、大丈夫だよ。何とかなるんじゃないかって、そういう風に思うことにしたから」
 責任も重圧も、迷いも。目の前に山のように積み重なってはいるけどさ。
「オレは王様なんて器でもないんじゃないかなって思ってたけどさ。だからここに戻ってきても、何もできることなんてないんじゃないかってそう考えてたけど。逆に何にも残されてないこの国を、たったひとりで守っていくなら、王でなくともできるよな」
 せめてオレの生きている間だけでも、なんて。オレがそんなちっぽけな責任を果たしたところで、世界の時間の流れの中では、瞬きほどの長さもないのはわかってるけど。
 それでも、一度でも授かった、この名があるなら。
 その名の許に、この国を預けられたのなら。
 それを捨てた時に、オレはオレの誇りすらも、捨てることになるんじゃないのかな。
 何にもないこの地を、なんて、途方も無いことのようにも思えるけど。もっと途方も無いことを、先代たちはやってきた。国を守るってのはそういうことだよな。
 全てを破壊されて、行き場を無くしたこの土地を、それでもオレは愛してるんだよ。
 捨てることが出来ない程度にはね。
 ここに戻ってきた時に、そう感じた。オレが作っていくなんて大それたことは言えないけど。オレがこれまで生きてきた、これから生きていく国だ。すぐに、ここで暮らすのは無理でもさ。

 シイナと雨の中話してた時、降り続く雨が鬱陶しくて、気分もどんどん沈みっぱなしで、だから尚更陰鬱になっちまうんだ、なんて。いつになったら止むんだろうなんて、そんな風に考えてたけどね。
「止まない雨はないよ。明けない夜もない。少なくとも、オレが暮らすこの世界で、そんなことは許されない」
 あの時の雨だって、ちゃんと止んだだろう?
 シイナを見てみれば、やれやれと肩をすくめてため息をつかれた。
 オレ、何か呆れられるようなこと言ったか。
「お前はやっぱり王をやれよ」
 急に何を言う。
 たったひとりしかいない国で、しかも何も残ってない場所で、王だとかそういう地位って無意味じゃないのかな。
「何度も言うけど、オレがそういう器だとも思えないんだけどね?」
 シイナ、立ち上がる。つられてオレも立ち上がった。
「だったらお前はオレの王になれ。オレの籍はお前にくれてやる。お前はお前の手が届く小さな国の王であればいい」
 そのまま歩き出したシイナに、慌ててついていく。ミリネも立ち上がって何食わぬ顔で歩き出した。
「ひとりじゃないんだよ、お前は。オレがいてやる。そして必ず、お前の周りには人が集まる。お前はその国の王になる。器かどうかなんてのは、自分ではなく他人が認めるものだぜ」
 そうなのかな。それでいいのかな?
 少なくとも、オレはここで、シイナの生きて行く場所くらいにはなれるのかな。どうやって生きて行こうなんて、考えあぐねていたこいつの。
 もしもそこに、生きて行く道を見出してくれたのなら。
 それでも、いいのかな。
 そしてオレは、ひとりじゃなくてもいいのかな。
「だって、それならそれで大変なんだぜ、これからさ。この土地に、植林したり住む場所作るところから始めなくちゃならないんだぜ。大量の肥料を、船で運ぶことなんて出来るのかな」
「肥料の心配かよ!! だったら動物でも放せばいいだろうが。自然に肥料を出してくれるぞ」
「動物の輸送だって大変だよ! 第一こんな背ばっかり高い草食ってくれる動物なんている訳? それならやっぱり牧場作るための種まきから始めなきゃならなくなるし」
「どちらにせよ時間だけはかかるって話だろうが!! 大体お前はそれを、本当にひとりでやるつもりでいたのかよ!」
「言ってるうちに無理っぽいなとは思い始めてたけどさ!!」
 いかん。どんどん話題がずれてきた。気がする。
「確かに、お前が自分の器について悩むのもわかる気がするな……」
 あ、いきなり前言撤回かこのヤロウ。自分だって家畜の下ネタ振ったくせに。

「貴様ら、その話の前に、エルベルンのことを考えんか――――!!」
 サウロ、キレた。
 そうだね。そうでした。
 全てのことはその後だよ、シイナさん。
「先に言い出したのはお前だ」
 またそうやって、なんで簡単に人の考えを読むかなぁ、こいつ……。





==椎名の呟き==
このままいくと、草刈りから始めることになりそうです。この国の王様。

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2007.03.03

 いつまでも立ち止まってる訳にもいかないから、オレは歩きながら話した。
「外交官だったんだよね……彼女は。結界を操る権利を持った、数少ない人間だった」
 思い出すのはいつも、何の罪もなさそうな、くったくのない笑顔。
「そそのかされたんだろうなあ、エルベルンに。彼女は長いこと、本気で国を出たがってたから」
「そそのかされた?」
 シイナの言葉に、オレはただ頷く。
 サンレイクは唯一ハンターギルドを除いて、他の国との交流を持っていなかった。それはつまり精霊石を守るためで、そのために、国民が無闇に他の国へ移り住むことも禁じられていた。サンレイクがどういう国であるのか、無節操に広める訳にはいかなかったからだ。もちろん様々な事情で、移住が皆無、という訳ではなかったけど。
 長い歴史の中、サンレイクは殆ど国を開くことがなかったから、国民もそれで当然と思っている人間が多かった。けど、時折そういう風に外の世界に憧れる者も出てくる。オレだって外交の際に何度か中央ギルドにだけは足を運んだことがあるけど、やっぱり他国に興味はあったもんな。

「この前ね、もしも可能であるなら、ぜひサンレイクを訪れてみたいって人に会ったわ」
 その人は、サンレイクが精霊石の大量産出国であることに興味があったみたい、と彼女は言った。
 国交は殆どないけど、地理や歴史を学んでいる人間ならサンレイクが精霊石の産出国であること位は知っている。
「だけどもちろん許されないわよね、そんなことは。私が国を出ることだって許されないのに……」
 ため息をつく彼女に、そんなことは当然だ、とオレはその場で言葉を返したけど。
 エルベルンがサンレイクを襲ったのは、それからおよそ一年後。もしもその時彼女に声をかけていたのがエルベルンなのだとしたら。その後一年をかけて、彼女を懐柔していたのだとしたら。

「コーラスはその外交官と親しかったのか?」
「うん」
 オレが頷くと、シイナは思い出したように納得する。外交官なんだから王家と直接関わってるのも当たり前か、という解釈をしたらしい。
 親しいというか、なんというかね。
「オレの、母親」
「……は?」
 うん、さすがにシイナも驚いたっぽい。
「母親って、だって、なんで。お前の母親っていえば、つまり」
「そうだよ」
 後に王妃となるはずだった、王太子妃殿下だ。正確には、王太子妃、だった。
「前代未聞の騒ぎを起こしてくれたんだ、彼女は。オレがまだ10歳にもならない頃に、城から逃げ出したんだよ」
「逃げた!?」
 そう、文字通り、逃げた。

 オレの父と母は、幼い頃から結婚が決定していた間柄だったらしい。ありがちな設定だ。
 王家と、それに近しい由緒ある家柄の婚姻関係。勿論そこに、当人同士の意志の尊重はない。それも仕方のないこととして、ふたりは婚儀まで済ませた訳だけど。
 もともとオレの母というのは、大変に奔放な性格の人だった。
 本当なら、普通の国民がそうするように、自由でのびのびとした生活を渇望していて。成り行き上跡継ぎまで産んでしまって、いよいよ窮屈な生活となって。
 それに耐え切れずに、城から逃亡してしまった。
 望んでもいない場所での望んでもいない形の生活ではなくて、もっと自由に。できることなら、閉鎖されたこんな小さな国ではなく、外の世界で、広い世界で。
 そんな場所で、暮らしたかった。
 このままでは心が死んでしまうと、オレを産んだ時に、痛感したらしい。何度も何度も、そんな話を聞かされた。

「……」
 あ、シイナ、すっごく考え込んでる。
 まあそりゃあ、無理もないというか。オレだっていきなりこの手の話聞かされたら、返す言葉がなくて悩むだろうなあ。
「まあそんな騒動があってね。オレの祖父、王様も考えちゃった訳だよ」
 もちろん、母はすぐに捕まった。国外逃亡ができる訳でもないし、密かに身を寄せる場所もない。実家になんて絶対に帰れなかっただろうし。
 だけど、城での生活を嫌がって逃亡までしたような人間を、無理やり連れ戻したとして、いずれ王となる夫と共に、国を導いていけるのか。いつまた問題を起こすやもしれない。かといって、妃殿下が城外逃亡など、王家にあってはならない不祥事だ。
 だから王は、王太子妃の葬儀を行った。
 母を死んだことにして、国葬をあげて。彼女には別の名を名乗らせ、王家の人間ではなく、それに近しい貴族としての戸籍を与えた。
 一度でも王家の人間として生きた人間をおいそれと自由にすることは出来なかったから、せめてもの温情として、彼女を外交官に任命し、ハンターギルドとの国交を任せた。
 そうすれば、ほんの少しでも、国の外に出ることも出来るだろうと。
 甘かったんだな、王も、父も。
 オレには許婚が用意されていなかったんだけど、この辺の事情があったせいなのかもしれない。

 だけど、国の外と言ってもハンターギルドとの往復くらいしかない。必ず別の人間が傍に控えて目を光らせているから、出先での逃亡も敵わない。結界を解ける権利を有していても、ひとりでは海の向こうに渡ることはできない。
 外はこんなにも広いのに。
 わが国サンレイクは、ポーラス中央地区程度の広さしか持たない。
 多分、彼女の心が晴れることはなかったろう。

 オレを産んで自由を失った、なんてはっきりと口に出す人だったけど、オレのことを嫌っていた訳じゃないから、ハンターギルドに一緒に出かけるような時にも、そうでない普通の日にも、普通に交流は持っていた。
 城の外で、母親だと名乗ることはなかったけど。
 普通に愛情は注いでくれたから、その奇妙な関係に特に疑問も持たなかったんだけどね、オレは。
 でも彼女が話すのはいつでも、外への憧ればかりだったっけ。

「どうしても国を出たかったんじゃないかなあ。それで、エルベルンに加担した」
 結界を解いて国に入れてあげる代わりに、自分を国の外に連れ出してくれるようにと。そういう交換条件を取り交わしてたんじゃないのかな。
 エルベルンの目的を知っていたかどうかは知らない。
 でもきっと、彼の目的を知っていたとしても、彼女はそれをやっただろう。オレの母は、そういう人だ。
 誰も何も大事なものがなかったわけじゃないけど。
 彼女が一番大事に思っていたのは、他の何者でもない、自分自身だ。
 だから、エルベルンの姿が最後に違っていても、気にもしなかったんだろう。これから何が起こっても、自分が国を出られるのなら、どんなことになっても構わないと。

 けれど、自由にしてもらえる約束があったとして、それは叶わなかったんだろうな。
 このブローチが、物語っている。
 多分、エルベルンの最初の犠牲者は、彼女だ。
 サンレイクの生き残りの存在を、エルベルンが許す訳がないんだから。

「しょーもない人だよな」
 オレが苦笑まじりに言っても、シイナは無言のまま。ミリネもサウロもただ黙って歩いていた。いや、サウロはミリネの肩にとまってたんだけどね。
「最初に死んじまってどうするんだか。どんなに許されない重い罪を犯しても、これじゃ償うこともできやしない」
 まあね、全部オレの予想でしかないけど。
 多分、違ってはいないと思うんだよね。

 あの人――だったんだなあ。きっと、多分、本当に。

 何よりも自分の自由を望んだ母。その血を受け継いでいるオレ。
 オレはこれから、どうやって生きていくのがいいのかな。





==椎名の呟き==
想像以上に小さなサンレイク。しかも城の背面は断崖絶壁だし。
何しろ土台が天然石だから仕方ないですねえ。
人口はポーラスよりも多かったんです。なお狭いわ。

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2007.03.01

 ポーラスからエンデリックまでの道のりは、馬で移動させてもらえたおかげであっという間だった。実際は、オレが走らせる馬の後を数十台の馬車が追いかけてくるという大行脚だった訳だけど。こんなにいたんだな、ハンターって。
 エンデリックから船へと乗り換えて、一路サンレイクへ。
 サンレイク近海(正確には港付近)のモンスターは、先着したハンターたちが殆ど片付けていてくれた。素晴らしいチームワークに感謝感激。そしてありがとう、ウェルバーさんと召喚師たち。

 海に突き出している船着場は、精霊石の結界の外にある。
 わずかばかりしかない外交でも、島全体を結界で覆ってしまうのは色々不便だったからね。ここだけは今も、結界のうちには入ってないみたいだ。
 港付近の結界に穴をあける計画、多分これにはエルベルンは気付かない。自分で張った結界ならともかく、もとからサンレイクにあった精霊石の結界をそのまま使ってるんだろうからね。精霊石による結界に関しては、いくら魔法師でもその有無が殆ど判別できないくらいなんだ。よほど近くにいれば、さすがに切った張ったはわかるけど。

 サンレイクの景色は夜の闇に沈んでいる。
 予定通りだ。隠密行動は夜のうちがいいってね。とはいえ、オレたちが城に着くのは、次の夜になる予定だけど。
「伝達。これからオレとシイナでサンレイクの結界の一部を切る。合図を出したら、総員速やかに結界の内側へ侵入してくれ。その後は各部隊の代表の指示に従うように。よろしく頼む」
 ハンターにはエルフがそれぞれに結界を施しているから、よほど騒がない限りエルベルンはその存在に気付かない。彼らがモンスターをひきつけてくれている間に、オレたちは城跡へと近付くって寸法だ。
 もし騒ぎに気付いても、とても動くどころの話じゃないと思うけどね。彼も。

「というわけでだ。シイナ、その槍の出番だ」
 説明済みにも関わらず、いぶかしげなシイナの顔。だからそれ鍵石になるって言ったじゃんよ。
「これ、槍に加工してあって大丈夫なのか?」
「だいじょーぶ。形の問題じゃないから」
 これはいわゆるマスターキー。サンレイクの結界がいつどんな風に張られても切られても、これがあれば必ず開閉できる、王と父とオレしか存在を知らされていなかった鍵だ。
 だから王は、この石を持たせてオレを逃がした。
 いつか、ここに戻ってくる日が訪れても大丈夫なように。
 これは普通の鍵とは違うから、形が合うとかそういう問題じゃないんだよね。鍵となる石さえ存在すれば、どんな形になっていても大丈夫。
「ここが結界の壁」
 オレは指差してみせる。
 結界って言っても、普通に壁があるみたいな感じじゃなくて、その先に進もうとしても、足が進まないというか何気に押し戻されるというか。柔らかく拒絶される。これは魔法師が普通に張る結界と変わらないらしいけどね。
 でも前の戦闘でミリネが張ってたみたいなホントの壁もあるから、このジャンルは奥が深いね。
「このポイントだな。間違いない。ここにその槍を刺して。あとは打ち合わせどおりにな」
 どこから見ても、何の変哲もない港付近の路上。だけどオレはその場所をしっかりと記憶している。3年前のエルベルンのおかげで、この場所も見るも無残な大災害の跡、だけどね。
シイナが槍を固定したのを確認して、オレはそこから離れた。
 50メートルほど離れた場所まで来て、オレはシイナに向き直る。手で合図して、その地上の一点に、オレは自分の精霊石の剣を突き刺した。

 このふたつの石が、結界の鍵。
 オレは生まれたその時から、鍵のひとつを預けられていた。

 これで、結界の一部が切れる。
 そうだなあ、半円形のゼリーの端に、スッとナイフを入れる感じかな?

 オレが手を挙げるのと同時に、一斉にハンターたちが港の路上を駆け抜けた。
 うん、ソルダムとディク先生が指揮してくれてるから、彼らは安心だな。
 時折、行ってくるぜーだの、後で奢れーだの声を掛けて行く連中がいる。普段ツルんでる連中だ。彼らも参加してくれてたんだな。きっと、詳しいいきさつなんて説明されてないだろうに、ここにオレがいることを、詮索もせずに。ありがたい話だ……ホントに。
 全員が結界の内側に入って、立ち止まることなくそれぞれの持ち場へと駆け出していく。彼らと共に、おそらくは姿を見せない召喚師たちも。そして最後にミリネとサウロ。これで全員だ。
 オレとシイナは鍵石を固定したまま、身体を結界の内側に入れた。そして、せーので剣と槍を引き抜く。
 これでまた結界は元通り。
 この仕組みのせいで、オレひとりだと、どうにもならなかったんだよなあ。
 海で手を振るハンターたちに手を振り返して、オレは普段港の結界を開けるのに使われていた施設の跡へと向かった。まあ、目と鼻の先だけどね。

 何かが残されているかもしれないなんて、毛の先ほどの可能性を考えてその小さな施設の跡を探ってみたけれど。

 本当に、残ってるなんてなあ。

 小さな小屋のような造りだった建物の跡の、元は床だった地面に半分ほど埋もれた精霊石のブローチ。正確にはその装飾部分。
 人間なんて微塵も残さず焼き払ってくれたエルベルンの魔法でも、これだけは残ったんだなあ。決定的な証拠として。
「なんだ、それは?」
 シイナがそれを覗き込む。
「エルベルンが結界の中に入り込んだ時に、ここにいた人間のものだよ」
 そのタイミングでここにいた人物。エルベルンが国を襲撃したあの時、この場にいる必要はなかったはずの、人物の。
 あの人はいつも、これを付けてたよな。
「これの持ち主が、エルベルンを招き入れるために、結界を開いたんだ」
「……!」
 結界を開くことの出来る人間は、ほんの僅か。

 そして、その中でこのブローチを身に付けていたのは。
 間違いなく、たったひとりだ。





==椎名の呟き==
ゼリー以外に例えられるものはなかったのか。

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2007.02.28

 ディク先生の作ってくれた夕食は、あまりにもシンプルだった。
 一見、ソルダムとかオレたちの作るのと大差ないように見えなくもないんだけど。何故だかこれが、異様に美味いんだな。
 オレたちよりもほんの少し綺麗な形で素材を切って。味付けはあくまでシンプルに余計なものを使わず。これをきっと適量と言うんだろうな。素材の味自体が好きなオレだけど、上手に調味すると、ここまで素材を美味くすることができるんだなあ。
 感涙。
 オレとシイナが大食漢なのを計算してくれたおかげで、美味い美味いと食いまくるオレたちのせいで夕飯が足りなくなることもなかった。
 召喚獣率いるミリネーズもいたのに。
 もっとも、夕飯で表に出ていた召喚獣はサウロだけだったけど。こいつはミリネの参加する晩餐で、引っ込んでいたためしがない。
 おかげで人数が多いから座れる人口が少なかったんだけど、立ったままでも食べられるような工夫もちゃんとしてくれてたし。女性だからなのか職業柄か、繊細なセンス持ち合わせてるんだなあ、ディク先生って。
 ソルダムは馴染みだから知っているのかと思いきや、ディク先生のこういう一面を見るのは彼も初めてらしい。

 えーっと、そうだった。
 夕飯の味に感動してばかりもいられなかったな。うん。

「じゃあディク先生も、協力してくれるの?」
 食後のお茶まで用意してくれたディク先生に問いかけると、当然だという視線でオレの方に向き直る。
「そのためにここまで来たんだ。キミを助けると言っただろう?」
 有言実行。そういう人だとは思ってたけどね。
「それで本題なんだが」
 数少ない椅子に座ってもらっていたディク先生、おもむろに立ち上がった。
「戦闘要員の数が随分多いようだな。それほどに必要なのか?」
 ハンターギルドの総督と話し合った作戦に、疑問を示すディク先生。
 確かに、力の弱くなっている相手に、かなり多くの戦闘要員を用意している。この半分はサンレイクを囲む海での戦闘用で、対モンスター要員だ。島国という事を考えて、海での活動に強い人間を、ウェルバーさんが募ってくれていた。自ら志願してくれた人間も多い。彼らの援護には、やっぱり水を得意とするエルフについてもらう。
「サンレイクの港から潜入するとして、おそらくそのエルベルンという魔法師が潜伏しているのは、城跡付近と見ていいのだな?」
「うん。城は精霊石を下地とした高台に立ってるからね。港からも一番遠い位置だし、精霊石が守り石の役目を果たしてくれる」
「守り石というのは、こちらにとって不利な存在ではないのか?」
「本当にお守りみたいなものなんだよ。エルベルンだって、城を襲った時にはものともしなかった。無いよりはマシかなって、その程度なんだよね」
 魔法の威力が多少弱くなるとか、その程度のものなんだけど。それでも今のエルベルンにとっては必要なんじゃないかな。
「サンレイク潜入には、もちろんエルフも連れて行く。戦闘要員も大量投入するけど、彼らはサンレイク内にいるかもしれないモンスター対策。城にはオレとシイナ、ミリネとその召喚獣と数名のエルフで行く」
 敵はエルベルンひとりだけど、彼が放つモンスターの数は把握できない。大量にモンスターの活性化を図る力は残されてないかもしれないけど、モンスターは人間の負の感情にも左右されやすい特性があるし、油断は出来ない。
 余裕に見える戦いに必要以上に人員を割くのは、決して無用の被害を出さないためだ。サンレイクを襲う直前の、力のある状態の相手が敵だったらそれは逆効果にもなり得るけど、今回はそうじゃない。
「結界の外には出られないようにするから、一気に片をつけるよ」
 オレにはそれが、出来る。
 サンレイクの結界を知り尽くしている人物がいることにまで、エルベルンは多分気が回っていない。この『オレ』が生き残っていることも、三年間知らずにいたんだろうから。
 これまでは、相手がどれほどの力を持っているのかわからなかったし、ひとりでは結界を解くのに難儀するのがわかってたから手を出せなかったけど、今は違う。協力者がいるし、何よりもエルフの存在がある。彼らがいなければ、今でも手をこまねいていただけだったかもしれない。
「ということは、ソルダムは戦闘員の方に組み込まれているわけだな」
「その通り」
 ソルダムは、エルフと交信を図りつつ戦闘員の指揮にあたる。
 それを確認して、ディク先生はニヤリと笑った。視線はテーブルに置かれた小さな地図に注がれている。サンレイク全体の見取り図だ。
「ならば私も、その戦闘員と共に陽動に当たろう」
「え?」
「サンレイクの面積を考えれば、港から城まで移動するのに一日近くかかるだろう。その間出来るだけ敵をひきつけた方がいいだろう? 私はなかなか適任だぞ。戦闘員が守ってくれるのなら、何の問題もない」
 確かにそれは心強いけど。
「やらせとけって。前にも言ったけど、こいつを女だと思うなよ。でもって、戦闘向きじゃないが、それをサポートさせればかなり優秀だからな」
 任せて大丈夫だ。
 ソルダムはそう言って笑った。なら本当に大丈夫なんだろうな。
「それじゃあ、よろしく頼むよ。オレたちは港から城まで一気に主要道路を通って抜けていく。おおよそ歩く速度でね。それだけわかってくれてれば、方法は任せるよ」
 ディク先生やソルダムたちの部隊がモンスターをひきつけてくれれば、こちらはかなり手薄の中を抜けられる。モンスターってのは直情的だからね。エルベルンはモンスターを活性化させて凶暴化を図っているのかもしれないけど、その行動までは操ることはできない。エルベルンだけでなく、人間には不可能だ。
 ディク先生は、満足そうに頷いた。
「信頼は裏切らんよ」
 うん、信じてますよ。
 こうやって自ら危険に身を投じてくれる、みんなの気持ちと強さをね。


 オレたちの出発は明後日の夜。先発隊は明日の夜には動き出すはずだ。
 これで、全部終わらせるぞ。必ずね。





==椎名の呟き==
本当に『ほんの少しだけ』形が良かったのかは、甚だ疑問ですがね。
ともあれ、また解説の回。ここでジョークのひとつでも飛ばせれば、一人前の男なのにね、コーラス(一人前じゃないのは椎名だ)。

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2007.02.27

 ハイキング半分だった昨日と違って、今日はやたらと忙しい一日だった。
 とはいっても溜まった洗濯物やら洗い物やらを片付けて、夕飯の買い物を済ませてと、半日はもっぱら主夫業(と言っていいのか)で、午後になってからはハンターギルドの総督様と会談してただけだけど。いや、だけってことはないよな。サンレイクに乗り込むための綿密な打ち合わせという、かなり内容のある会談だったし。

「手配はみんな向こうでやってくれるんだから、楽なもんじゃないか」
 あまりに疲れきった顔をしていたせいか、またもあっさりとシイナに考えを見抜かれてしまった模様。
 街中の飯屋のテーブルで突っ伏していたオレ、壁のメニューを指差してみる。
「桃色まんじゅうは食わないの?」
 ケティさんの身体を使っていた時にはオレの金でみっつも食いやがったシイナ、今は心底イヤそうな顔をしてくれる。
「食わん」
 あ、やっぱり。
「アレは甘すぎてダメだ。もしかしてと思って試してみたが、やっぱり甘いものが苦手な味覚は変わってない」
 試したのか……。いつの間に。
「苦手なものがあるってのは、人生半分損しているような気がするな。世の中には甘いものは結構多い」
 いや、そりゃそうだけど、辛いものも苦いものも甘いものに負けないくらいあるんだから別にいいんじゃないかなあ、なんて、オレも甘いもの得意じゃないけど思う。
 やっぱり一度食べられる経験すると、もったいなく感じるものなのか? 未知の領域だからさっぱりわからない。

「こんなところにいたのか」

 急に声が掛かって、オレもシイナも仰天してしまう。
 ここで聞くことになるとは思ってもみなかった声だったからだ。
「ディク先生!?」
 屋外に設えられたテーブルについているオレたちの方へと、ゆったりと歩み寄ってくる長身。なんでこんなところにいるんだろ?
「キミたちが街を出て一日二日のうちに、西地区がモンスターに襲われてね」
 ああ、そうだなあ。中央も襲われかけたあのタイミングで、他の地域も襲撃を受けてるって話があったっけ。
「ディク先生は無事だったんだね」
 勿論、と、ディク先生は頷く。
「ハンターギルドの人間と地区の一般人とで共闘して街を守ったからな。もっとも私は、身体を使った戦闘はあまり本職ではないから、裏方に回っていたが」
「裏方?」
「私は火薬の作成も得意でね」
 ニヤリと微笑む色男。じゃなくて色女。いやなんか言葉が違う。
 火薬、ねえ……。つくづく敵に回したくないタイプの人だな。
「そこでのっぴきならない事情だと判断してキミたちと合流しようと、こうして出掛けてきたのにキミはいないし、エラールに聞いても街中としか言わずにお嬢さんに挨拶に行ってしまうし……まったく召喚獣というのはきまぐれな生き物だな」
 ははは。どこでもミリネの召喚獣には苦労してるみたいだなあ。でもきっとディク先生とエラールは気が合ってるんだろうけど。
「ところで」
 ディク先生はいかにも不思議そうな顔でオレたちを見る。
「シイナはどうしたんだ?」
 ああ……やっぱりそう来たか。
「オレがシイナですよ」
 シイナが冗談めかしてヒョイと手を挙げてみせる。
「……なんだって?」
 さすがのディク先生も、状況を把握するのに時間がかかってるみたいだ。
 そりゃそうだよなあ。つい最近まで小柄な赤毛の少女だった人間が、金髪碧眼のヤロウになってるとは、普通考えない。くそう、シイナ、オレよりちょっとだけ身長高いんだよなあ。
「私を担ぐような人間ではないよな、キミたちは……。話だけ聞いた時は今いちピンとこなかったが……まさか本当に魂の秘術なんてものが存在したとはな。驚きだ」
 ディク先生、あなたは間違ってません。オレだってそんな魔法の存在、微塵ほども知らなかったもんね。
「エラールがやたらと急かすわけだ。色々あったらしいな。話は後で聞くとして、さっきキミの家に寄ってきたが、ソルダムが楽しそうに野菜を切り刻んでいたぞ。アレは一体なんだ?」
 ヤバい。ソルダムが一番、主夫が板についてきている。
「そろそろ夕飯の支度してる頃だし」
「夕飯? それでキミたちは、飯屋なんかで何をしているんだ? 夕食を家で食べなくていいのか?」
 確かにもうすぐ夕食の時間だけどさ。
「これは間食。ハンターギルドに寄って来たら、腹減っちゃってさ」
 ディク先生呆れ顔。オレたちの食欲の旺盛さを理解しがたいらしい。
「まあキミたちに限って太る心配などとは無縁なのかもしれないが……では夕食には戻ってくるんだな。私はソルダムでも手伝うとしようか」
 おおお、ディク先生も料理ってするんだ。って、おかしい話でもないか。一人暮らしの女性だもんなあ。
「ヤツがひとりで作るよりはマシな物を食べさせてやれるだろう。期待して帰ってくるといい。詳しい話はそれからだな」
 やったー、と笑顔でディク先生を送り出すオレたち。いや、ソルダムでも充分食えるものを作ってくれるんだけどね。ゴメンね、オレたち、こんなところで遊び呆けてて。でもオレとシイナのセットは台所に立つのを禁止されてるもんで。

 手を振るディク先生を見送った後で、オレはシイナをしげしげと眺める。
「なんだよ」
 視線に気付いて、シイナはあからさまに顔をしかめた。
 実は「シイナはどうした」というようなことを聞かれたのは、今日になって三度目だ。
 一度目は中央ギルドの受付のおねーさん。彼女はどうしたんだと訊かれたから「ちょっと旅に出てる」と返してみたら、どうせ何か嫌われるようなことをしたんだろうとかなんとか、散々叱られた。理不尽だ。
 二度目は総督ウェルバーさん。彼にはちゃんと説明してあげたんだけど、やっぱり理解するのに相当時間を要したようで、今のオレみたいに、シイナをしげしげと眺めてたっけ。
「実際オレも、実はかなり微妙だったりするわけよ」
「微妙?」
「オレの国は焼かれて滅ぼされて、国民も家族も誰も残らなくてさ。オレはそんな仕打ちをしてくれた人間の、名前と顔しか知らなくてさ。その張本人の姿をずっと心に焼き付けて、絶対に探し出してやると誓って三年間を過ごしてきたわけだよ。あんまり話題に出すことは無かったけど、それこそ三年間、一日たりともその顔を思い出さなかったことなんてないんだ。その憎ったらしい顔がさー、今普通にこうやって隣に並んでるんだから、運命ってのは良くわからん」
「……」
 シイナは無言で瞳をそらす。
 そりゃそうだ。シイナにとってそれは一生の不覚であって、きっと黙ってれば一生引きずるかもしれない負い目なんだろうな。自分の身体を奪われて、その姿、その顔で、ヤツはオレの国を滅ぼしたんだから。そして多分、他の精霊石産出国も。
 何も言い返せないのも無理はない。
 でも、それじゃ困るんだ。
「それでもやっぱり全然違うんだもんな。中身が違うだけで、こうも変わるものかね」
 獲物をひと呑みにしようとする蛇みたいなエルベルンの瞳とシイナのエメラルドの瞳は、本当に別人のように違う。そして、まとう空気も。同じ顔なのに、こうも違って見えるのも不思議だけど、以前のケティさんの身体を使っていた頃のシイナと今のシイナ、どっちも同じシイナに見えるんだから、もっと不思議だ。
「エルベルンの罪は、お前の罪じゃないんだからな。それだけは憶えとけよ」
「……」
 そう無言で複雑そうな顔をしないで欲しいんだが。
「シイナが身体を盗られたことを迂闊だっていうなら、国を盗られたオレなんてもっと迂闊になっちまう」
「……」
 しばらく黙ったままだったシイナ、意地の悪そうな微笑みをオレに向けてきた。
「んーなこたァ、お前に言われるまでもねえよ」
 真意は、きちんと読み取ってくれたらしい。
 シイナは笑顔のまま、立ち上がった。
「そろそろ行こうぜ。連中が待ってる」
「おいおい、待てって」
 上機嫌に見えるシイナが歩いて行く後を慌てて追いかけようとして、グイ、と後ろから肩を掴まれた。

「コーラスさん、お会計」
 それは愛想笑いを浮かべる、店の主人。
「……」
 シーイーナーーー。





==椎名の呟き==
ディク先生、忘れてたわけではありませんよー。
思えば彼女と別れてから、殆ど時間経ってませんね。

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2007.02.25
「長い歴史の中では、稀にエルフが人間と深く関わる事例も無い訳ではない。例えば今回のエルベルンのようなケースもあるがな」
 サウロはエヘンと咳払いする。
「まああらためて話さなければならないほどたいそうなことでもないが、サンレイクの建国にも、エルフが関わっていた訳だ」
「へえ……」
 としか言いようがない。それは初耳だあ。
「前にも話したとおり、人間がこの世界に台頭してきた時から、エルフはその繁栄を人間に任せるようにしてきたわけだが、サンレイクの精霊石に関してもそうだった」
 サウロは遠い目をする。
 つってもサウロが実際にその場に居合わせた訳ではないだろうが。なんて言ったらくちばし攻撃が待ってるだけだから口には出さないけどさ。

 つまりが。
 精霊石の集積体である、この世にふたつとない島。
 その島を代々において護り生きていくという役目を、はるか昔、エルフはひとりの人間に託したのだという。
 それが、サンレイクという国の始まり。
「勿論ひとりだけでは人間の短い人生では限界があるな。託されたその人間は、ある程度の数の人間を集めて集落を作った」
 そして精霊石そのものを使って巨大な結界を作り、精霊石を護るという民族が誕生した。
「精霊石はその力ゆえに、それを欲して戦乱を引き起こす可能性もある。だからエルフは、その石の使い道を人間の間に氾濫させないように努めた」
 何がしかの力があるのに、それを使わないなんてもったいない気はするけどね。確かにサウロ様のおっしゃるように、人間はあまり頭の良い生物じゃないんだろうから、どちらかというとロクな使い方を思いつかないんじゃないかな、実際。
 だから、魔法力増幅だとか結界に使えるだとか、そういうことはサンレイクやハンターギルドの一部の人間しか知らされていなかったと思う。あと多分、白の塔かな。
 一応、長い歴史の中で頑張って護ってきた方なのかなあ。
 最初にエルフにそれを託された人間てのは、よほど信頼に足る人物なんだろうね。
「それを王であるお前が知らんとは何事だ」
 そう言われましてもー。第一オレが王位を継いだ一瞬後には国は滅びてたんですけどね。
「だって一度もそんなこと知らされなかったよー」
「代々それを伝え護っていくという約束を交わしたのだぞ、お前の祖先とは! まあもっとも、あまりに長い歴史だ。どこかで血縁も途切れている可能性もないではないが」
 そうでしょそうでしょ。
 だってオレだって建国史とか勉強しなかったわけじゃないけど、そんな始まりがあったなんて一度だって……あ。
「もしかして……あれかな」
「なんだ」
「そういやうちに、そんな本があったかなって」
「うちにそんな本がって、お前な」
 ソルダム苦笑。
 うむ、まるで絵本でも探すような言い方をしてしまった。
「なんか、オレが20歳を越えたら読みなさいとか言われてる古い書物は確かにあった。一度表紙を見せられただけで、普段は厳重に保管されてたから勿論内容は知らないんだけどね」
「発禁本かよ……」
 シイナ、発想がエグい。
 でももしかしたらその本に、そういう内容が書かれてたかもしれないな。今となっては当然知る由もないけどさ。
「まあ」
 サウロ、ややあらたまった口調になる。
「そうやって伝え受け継がれることが出来なくなった時には、こうやってオレ様のように口頭でそれを伝えてやる存在が現れる。そういうものだな。歴史なんぞというものは」
 確かにそれは言えている。
「それに、サンレイクがこうやって標的になったのも、何もこれが初めてというわけでもない。それくらいは知っているだろう」
 さすがに、それはオレでも知っている。
 ここ最近はなかったけど(最近といっても何百年という単位だけど)、国の歴史が長くなれば、そういう話がまったく無い方がおかしいってもので。サンレイクだって、何がしかの理由で結界が破られたりだとか、外交に手を伸ばしたおかげで侵略されかかったりと、それなりの危機は何度となく体験してきた。
「サンレイク以外の精霊石の産出国にも、同様に昔エルフが護人を配置したものだが、さすがに島国のようにうまくは行かなかった。その辺は人間がそれなりにうまくやっていたようだがな。それに精霊石は、一度無くなったらそれっきりというものでもない」
 まあね。乱獲されれば勿論なくなってしまうけど、精霊石自体は時間をかけて生成されるものらしいし。ホントに時間かかるけど。
「だがサンレイクは特別だ。あそこは精霊石の聖地と言ってもいい。精霊石がなくなったからといって、世界が滅びるわけではないが、あの大量の精霊石が間違った使い方をされれば、世界など簡単に滅びるのだぞ」
 ギロリとオレを睨むサウロ。
 どうしろっていうのさー。
「まあ、その運命すらも、エルフは人間に任せたのだから、どんな結果になろうとも容認するつもりではあったがな。本当の世界の危機なんてものが訪れたその時には、エルフが活動を始める覚悟があったわけだしな」
 その時には、人間の尻拭いに走るわけですね。
 ああ何というか、まさに今がその時なのかもしれないけど。
「大体において、あれほどの精霊石の力を使って張られた結界が、人間に破られるはずがないんだがな。エルフでも無理だというのに」
 そうなんだけどね。
 シイナの身体を得たエルベルンが大暴走して国を滅ぼしたってのも恐ろしい話だけど、あれだけ無茶な力の使い方が出来るヤツのやり方なら、それはまだありえない話じゃないと思える。でもサンレイクのあの結界を破るっていうのは。
「誰かが、故意に結界を解かない限り不可能だ」
 サウロの言葉には頷くしかない。
 誰かが、故意に、ねえ。
 それはサンレイクの中に、国を滅ぼそうとするエルベルンに加担した裏切り者がいるという訳で。エルベルンの狙いに気付いていたかどうかはともかくとして、許可無く結界を解くのはやってはならない重罪だ。
 それに。
 故意に結界を解けるなんて、そんなことが出来る人間自体が限られている。
 これまではもしかして、結界を破る方法なんてのがあったのかなあ、位に思ってたけど、ミリネたちに出会ってそれが不可能だと知ってしまえば。
 やっぱり結界を解いた犯人がいるってことなんだよなあ。

 オレが良く知っているはずの、要人の中の誰かが。
 もう、今更な話だけどね。





==椎名の呟き==
ハイキング続行中なんだけど、コーラス何も食べてない。
お腹すかないんですか。

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