オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。
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2007.01.10

「私は実際、いつまでこの身体で生きていられるかわかりません」
「……そう、なの?」
「魂の秘術は、あくまでもとの魂を器から追い出して成り立つものですから」
 そうなんですか。
 魔法の方面に疎いオレは、いちいち言われることを鵜呑みにするくらいしか出来ない。
 そりゃまあ確かにね。ひとつの身体の中にふたつの意識があるなんて、色々無理があるようには思う。そもそも他人の身体に取り憑くなんていう行為自体、オレ的には理解の範疇外だったりするわけで。
「多分、人の生き死にって、そんなに簡単にどうにかできるものではないはずです。それを捻じ曲げてでも、生き残るのはシイナ様でないと」

 彼女の話から察するに、彼女は自分の魂が消えてしまうこと自体には、何の抵抗もないらしい。シイナに身体を明け渡したときから、それは覚悟の上で。
 それは、自己犠牲ということではなく、純粋に、力の強いものを残すために。
「ですが、シイナ様に残された時間も、そう長いものではありません」
「え」
「他人の身体で一生を過ごすのは、やはり無理です。一時しのぎにしかならないんです。それを知っていてもなお、あの男はシイナ様の身体を奪った。そこに何の目論見があるのか見当もつきませんけど」
 あの男ってのは、シイナの魂を追い出した張本人、だよな。
 短い時間でもなお、何かを成し遂げる勝算があるのか、それともその法則を打ち破れる何かを、持っているのか。

 それよりも、だ。
 シイナは、そのことを知っているのか?
 オレの疑問に、彼女は頷いて肯定の意を示した。
「知っています。だから、生きていられるうちに進める場所まで進もうと、焦っていたんです」
 あいたあ……。ヤなこと聞いちゃったなあ。
「でもシイナ様自身は、あまり自分の命を永らえさせることには執着がないようで」
 うげ。
「だから、目的のためには無茶も出来ます。自分の命を諦めているから……だから」
 あなたにお願いしたいんです。
 そう、赤毛の彼女は言う。
「できれば、シイナ様の身体を取り戻す方向で、協力してはいただけませんか」
「身体を取り戻す?」
 その、シイナから身体を奪ったとかいう非常識な能力の持ち主から?
 ていうか、身体を奪うって行為自体が謎なのに、それを取り戻すなんてことが、そもそも可能なのかどうか、オレにはまったく判別が不可能なんですけど。
 そんなにうまく行くものなのかな?
「可能性はまったく無い訳ではありません。何よりも、このまま手をこまねいていれば、結局シイナ様は助からないんです。だから」
「ああ、わかったわかった。言わなくてもいーよ」
 何もしないよりは何かをやって無駄足を踏んだ方がマシってのはさ。オレの持論ですよ? そしてそれはシイナも同じだったはずだ。で、その持論を持って、シイナが目的のために命を捨てるのも厭わないっていうのなら、そんなあいつを引き戻しフォローするのは、今はオレしかいない。
 すなわちオレの役目って訳だ。

 だって、あの事件から3年。
 オレだってただぼんやりと時を過ごしてたわけじゃない。
 黙っていれば多分、目に見えない速度で、かなり嫌な方向に変わっていくであろう世界の変化にどうにか抵抗するために、オレは今を生きていて。
 同じ目的を持っていたのが、シイナだから。
 ひとりなら捨てなければならなかったものでも、ひとりじゃなければ何とかなるかもしれないじゃん。
「シイナを本来の身体に戻して助けられたらさ、もしかしたら、君も助かるかもしれないしね?」
 オレの言葉には、彼女はブルブルと首を振る。
「私のことはいいんです! もともと捨てた、いえ、生き抜くだけの力がなかった命です! それよりも」
「いーからいーから。死ぬよりは生きてる方がいいでしょうよって話だよ。オレだって全部を保障できるわけじゃないし? でもさー、物事はいい方に考えるに越したことはないよ。これ絶対」
 彼女は、酷く驚いたように大きく目を見開いた。
 えーと、オレそんなにおかしなこと、言ったかなあ。
「出会ったのがあなたで、良かった……あの人も、これまであまり幸せな生き方を出来なかった人ですけど」
 んー。聞かなかったことにした方がいいのかな?
「そんな人生のまま終わってしまうのでなくて、良かった。やっぱりコーラスさん、あなたは信頼と尊敬に値する方です」
 えええ? オレそんなに、何かよろしい発言しちゃった!?

 あ。
 彼女、笑った。

 あー、わかった。あの時、夜中。
 オレを見て笑ってたのは、この人だったんだ。同じ笑顔だ。
 納得いった。そうか、なるほど。ああ良かった。奇怪な寝ぼけでも呪いでもなくて。

「そういえば、君の名前聞いてもいい?」
「あ……失礼しました……ケティ・マイヤと申しま……あ」
「え?」
「もう、意識が……」
 ありゃ。
「まだ……いちばん伝えなければならないことが……」
「え、うそ。何!?」
 今度はいつ、また彼女の意識が外に出てくるかわからないのに。
「私は……いくら甘い物好きでも、まんじゅうみっつは食べな……」

 それかよ! いちばん伝えなきゃならないこと!!

 ……パタリ。
 とりあえず言いたいことをそれなりに言い切った彼女は、意識を失って前のめりに倒れ込んだ。
 ああ、今度は地面に額打ち付けたなあ……。ゴメン。





==椎名の呟き==
彼女、新登場人物と言っていいのでしょうかね。
今後も出るんですか? <誰に聞いてる

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