オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。
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2007.01.12

「ソルダムくーん」
 ドンドンドン。
「ソールダームくーん。あーけてー」
 ドンドンドンガン。

 ……返事がないなあ。

「ソールダー」
 ガコン。
「いってええ!」
 急に扉開けるなよなあ。またデコ打ち付けたじゃん。
「コーラス、てめえ人が飯カッ食らってる時にこっぱずかしい呼び方してんじゃねーよ。夕飯タカりに来たのか、ええ!?」
 おー、出てきた出てきた。見下ろしてくる目が据わってるぞ。
 久しぶりに見たソルダム。相も変わらず輝くヒヨコ色の髪と、この寒い陽気に一枚だけ引っ掛けた白のシャツが眩しい。風邪引かないのかね。鍛冶屋なんてやってるから体格もいいし、無駄に丈夫なのかもしれないけど。
「タカりに来た訳じゃないけど、飯あるなら食わせて。腹減った」
「お前なあ……」
 陽も落ちきった頃、ようやくエンデリックの街に着いたオレたちは、街外れの林の中にひっそりと佇むソルダムの工房に、そのまま足を運んだ。
「まあいいや、入れよ」
 扉を大きく開けてくれたソルダムは、あれ、という顔をして俺の後ろに立つシイナを眺めた。
「どうしたコーちゃん、可愛い子連れて。とうとう彼女ができたのか?」
 ぶは。
 噴き出しそうなソルダムの台詞も怖いが、一瞬にして変わったシイナの表情も怖い。待って待って、早まらないで。
「ちが……」
「ああ、そうじゃないか、悪い悪い。……キミ、それホントの姿じゃないんだね」
「な……」
 シイナ、心底驚いてる。そりゃそうだ。オレもさすがに驚いた。
「なんで……」
 シイナの驚愕をよそに、ソルダムはオレたちを招きいれた後、棚の袋からガサガサと黒パンを出してテーブルに積み上げる。さらにドライフルーツだのスープだのをゴトゴト並べながら、悪びれなく笑って見せた。
「商売柄、目には自信があるんだ。素材も人も、内側まで見通せないといい仕事が出来ないからね」
 って言ってもな。その説明じゃ曖昧すぎるんだよ、お兄さん。
「それでもソルダムは特別なんだよ。審美眼とかいうレベルじゃなくて、すでに特殊能力の域だから」
 モノの良し悪しも、人の本質も簡単に見抜く、不思議で鋭い感性を持っている。オレが初めて会った時からそうだった。
 さすがに、こうも即座にシイナの正体を見破るとは思ってなかったけど。
「まあ人間生きてりゃ色々な事情もあるもんさ。とりあえず食べなよ。腹減ってるんだろ?」
 工房の中に無造作に置かれたテーブルを手で指し示して、ソルダムはオレたちを椅子に座らせた。
「いただきまーす」
 お言葉に甘えてモサモサとパンに手をつけるオレを横目で見ながら、シイナはどうしたものかと動きを止めている。
 はははは、戸惑ってる戸惑ってる。おもしろーい。
「食べなって。遠慮は要らない」
 唇の端を上げて笑うソルダムに、ようやくシイナは頷く。
「いただきます……」
 なんでわかったのかが気になってるんだろうなあ。でもそれがソルダムだから、仕方がない。むしろ無駄に偽らなくていいんだから、これ幸いと力を抜けばいいんだけど。要は魔法と一緒だし。他人にない特技を持ってるってだけの話だ。

「それでコーラス? 今日は何の用だ? 剣でも鍛えに来たか」
 それだけじゃないだろうって口ぶりだな。オレが誰かを連れてきたのは初めてだし。
「それもあるけどさ。とりあえず、預かり物があるんだよ。ディク先生から薬品一式。それとイエローストーンのグラスセットみっつおくれ」
「お前はいくつ用事を持ってきてるんだよ……」
 しょうがないじゃん。何だか芋蔓式に増えちゃったんだから。
「西地区でディクに会ったのか」
「うん。偶然だけど、ソルダムの知り合いだとは思わなかったよ」
 ははは、とソルダムは笑う。
「歳はあっちが上だけどな、あいつとは学生時代に薬品やら地学やらの専攻で同期だったんだよ」
 あ、なるほどなあ。ソルダムは専門知識、学校でも長いこと学んでたって言ってたもんな。その時からの知り合いって訳か。で、その後も持ちつ持たれつか。納得。
 と、あと肝心な用事をまだ言ってない。

「いちばんの用事は別。ソルダム、精霊石まだ持ってるよな。あれちょーだい」
 ソルダムは、キョトンと目を見開いた。
「精霊石?」
 マジ、とオレの顔を見た後で、シイナの方に視線を移す。
「あー……、そういうことか」
 フンフンと納得したように頷いて、ソルダムは自分もパンに手を伸ばした。
「そういや、名前もまだ聞いてなかったな。オレはソルダム・フォルセントザーク。見た通り、自営業の鍛冶屋だよ。キミは?」
 見つめられたシイナは、一瞬身体を硬直させる。
「シイナ、隠さないで大丈夫だよ。ソルダムはオレの事も全部知ってるし。知っておいてもらった方がいいかもよ。何かと便利だ」
「便利扱いかよ」
 ゴン、と拳を側頭部に押し付けられる。
 う、本格的に殴られキャラだ、オレ。そんなに手を出しやすいですか、オレの頭。

「……わかった」

 オレたちのやり取りを眺めていたシイナ、少し戸惑いが取れたみたいだ。
「シイナ、か。了解。長い話はまあ、飯食ってからにしようぜ」
 屈託のないソルダムの笑顔に、オレたちも頷いた。
 とりあえず腹は満たさないとね。せっかくのタダ飯、もったいないから。





==椎名の呟き==
更新しようと思ったらプロバイダが落ちてた? っぽくて回線がつながらなかったので、変な時間の更新です~;;
さて、これまで名前だけ出ていたソルダム、やっと登場。
冬場にシャツ一枚って、見ている方が寒いわ。書くのも寒い。

★『コーラス・ブレイド』最初から読みたい方はこちら★


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