オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。
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2007.01.13

 山積みにされたパンをキレイに平らげた後、腕組みをしたままシイナの話を聞いていたソルダムは、呆れたようにケタケタと笑い出した。
「そりゃ難儀な話だなあ。類友っていうのかね、こういうの。かたやとてもそうには見えない亡国の王様で、かたや中身は男の美少女魔法師なんて、狙ってるとしか思えねーぞ、それ」
 とてもそうには見えないって、あんまりだソルダム。
「まあ仕方ないわな。そうなっちまったモンは、うん、仕方ないから、あとはいかに有効にそれを使うかだな」
「有効に?」
 シイナの言葉に、ソルダムは立ち上がって、作りつけの棚の奥をゴソゴソと漁り始めた。
「コーラスもシイナも、そうなっちまったのには理由がある。その理由ってのは多分かなりえげつない目的であって、おそらくお前たちだけの問題では済まないものなんだろう。その目的を潰すためにお前たちは動いているのであって、それなら、生きるために与えられたその仮の身体も遺された武器も、最大限に使っていいものだ」
 それは、その通りだ。
 だからオレもシイナもこれまで生きてきたし、出会ってからここまで来た。
「シイナ、お前さんがその身体で最大限の魔法を使えるように努力したこともしかり、コーラスがこれを取りに来たこともしかり」
 湖の色に輝く透明な石の塊を、ソルダムはテーブルの上に置いた。
「精霊石……」
「そう。コーラスは、これをシイナにあげるために来たんだろ?」
 オレは頷く。
 シイナがオレを見た。
「こんなに大きな、純度の高いものを、どうやって」
 確かにまあ、でかい。片手に乗せて、両端がはみ出るくらいの、なんつうか、絞った雑巾くらいな?
「だってそれ、オレが城から投げ出された時に持たされた、サンレイク産の精霊石だもん。そりゃあ大きさにも純度にも自信あるさあ」
 なかなか無いぞ。今時博物館にも置いてない、こんな立派な原石は。だからおいそれとお気軽に表に出せなかったんだけど、砕いて売っちまうのも勿体ない代物だったし。一度砕いたら元に戻らないだろ。
「だってこんなものを、お前」
「ストーップ、やめ」
 絶対そう言うと思ったんだけどさ。だから出所は言わずにここまで連れて来ちまった訳だけど。
「使い道が無いけど、もったいないからこうして取っておいたわけよ。売ったら金になるけど、金にしかならないの。それで金になったとして、暮らしが楽になるだけだ」
 ソルダムが再び部屋の奥へと向かい、ガチャガチャと茶器を並べて沸かした茶を注ぎ始めた。ホント職人ってのはマメだな。
「そして生活が楽になったところで、それもいつかは壊されてしまうかもしれない状況な訳だよな、今は。この精霊石にしたって、使わないままここに置いておいても、使えないまま壊れてしまうことになるかもしれない。この世界ごと」
 サンレイクのように。白の塔のように。
 他の壊滅させられた地域のように、いつか、ここもどこも壊されてしまうかもしれない。
 だから、それを何とかしようとしている人間がこれを必要としてるなら、これはその人の許にあるべきだ。
「素晴らしい宝物なんだよ、これは。だから、使わなければ意味がない。そして使うべき時と使うべき人を、コーラスが決めたんだよ」
 そんな時が来るまでと、オレはソルダムに精霊石を預けた。あの時一番信頼できた、唯一の友。
 ……ぶっちゃけ、自分で持ってると、失くしそうだったからなんだけど。
「シイナ、お前がこれを使ってくれ。それが一番いい」
「けどな」
 だーかーらー、最初からタダであげるって言ったし、お前だってタダで欲しくてついて来たんじゃんよー。
「ただし、条件付きなんだよ」
「条件?」
「もしかしたら、その石は鍵になるかもしれないんだ。サンレイクに乗り込むための鍵」
「鍵……?」
「うまくすれば、国に張られた結界も解けるかもしれない」
 ソルダムが、大げさに額に手を当てた。
「コーラス。お前、オレにはそんなこと、ひとっ言も言わなかったじゃないかよ。うっかりすりゃ、オレそれ売ってたぞ」
「結果オーライじゃん」
 冗談みたいに、生活に困ったら売っていいよ、なんて言ったけど、そうしない男だってのは良くわかってたし。
 それにもし売ったり失くしたりしたとして、別にオレはそれでソルダムを責めたりはしないし。あの時はオレひとりで途方に暮れてて、シイナと出会う予定も無かったし、結界を張ったサンレイクに乗り込む予定なんて、まったくと言っていいくらい無かった。
 本当に使い道を見出せなかったんだ。この石は。
 もしも必要になった時にこの石が無かったとして、そしたらその時にオレは別の方法を考えるよ。
「だからシイナ。その石をあげる代わりに、もしもこの先サンレイクに接触できる機会が出来た時に、俺を助けて欲しい。お前がお前の敵と対峙しなければならないような時には、オレがお前を助けるから」
「……」
 どうにもならないかもしれないけど、でも、どうにかできるかもしれない可能性の高い道を選んでいくことは出来るはずだよ。オレも、お前も。
「……オレがこの石を持っていたほうが、持っていないよりも状況は良くなるか?」
「なるでしょ、もちろん」
 この石がシイナの力を引き出してくれるなら。そしてシイナがオレを助けてくれるなら、それは大きな力になる。そういうことだ。

「……ありがとう」

 シイナの小さな声。
「マジな顔で礼なんて、気持ち悪いぞー」
「お前は……! 人がたまに下手に出れば!」
 痛ーい。また殴った。
「ははははは。……じゃあこの石は……その槍に合うように、少し加工すればいいかな? おふたりさん」
 ソルダムが再び精霊石を手に持った。
「任せた!」
 オレがグッと親指を立てれば、ソルダムは唇の端をちょっと上げて、手に持った精霊石を掲げる。
「人に助けてもらうのも、人を助けてやれるのも悪くない。命があって、その命の中にあったかい力を持った心があるってことだな。コーラス」
「そうだよ」

 悪くない。
 だからオレは、出会えて良かったよ。シイナにも、みんなにも。





==椎名の呟き==
前回も今回も、ボケツッコミが少ないですね。
ライトシリアスな展開ですか、これ。でもまだドタバタは続きます。
どこまでも~(えー)。

★『コーラス・ブレイド』最初から読みたい方はこちら★


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