オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。
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2007.01.16

 遥か遠くまで広がる大海原を目の前にして、岩場に立ったオレは、足許の岩をコツンと蹴った。
「この辺だな、オレが打ち上げられてたのは」
 オレの言葉に、シイナがその場を凝視する。
「この辺って、だってここ、海面からの高さ、結構あるぞ」
 その通り。今は、俺たちが立っている場所から海面までの距離は、少なくとも俺の身長分くらいはある。
 漂着したって話だけ聞けば、どこぞの砂浜にでも打ち上げられて、こう、物語っぽくうつ伏せで倒れてたり、なんてのを想像するのかもしれないけど。現実はそんなに絵になる状況にはなってくれないんだよなあ。
「あの時は海が満ち潮でさ。波が結構高かったんだろうな。オレは意識飛ばしてたから知らないんだけど、この岩の上で、船の残骸だかなんだかの板をドッカリ身体の上に乗せて、、大の字で伸びてたらしい」
 シイナ、多分無意識に口が半開きになる。
「笑うなっつーのー」
 オレはヒュンと釣竿を振って、餌をつけた釣り針を海面に投げ込んだ。

 晩飯のおかずを釣って帰るのが、今日のオレたちの仕事だ。ぼやぼやしている訳にはいかない。
 ずっと精霊石を加工させてるんだから、なるべく手間なことはオレたちでやらないと。余計に仕事を増やしてるんじゃないかって話は言いっこなしだ。
 竿を握ったままその場に座り込むと、シイナもそれにならって腰掛けた。自分で持っている竿を海に向けて振る。

「精霊石が……」
 僅かな沈黙の後、シイナが静かに口を開いた。
「精霊石の加工が終わったら……探さないとな」
「……」
 オレたちの敵を、ということだろう。
 とっとと見つけてそれ対決、というわけにはさすがにいかないが、手掛かりは探す必要がある。
「ヤツ……アーザスとか名乗っていた……あれから少しも尻尾がつかめない」
 シイナの身体を乗っ取ったとか言うヤツか。
「アーザス、ねえ……もしかしてさ、そいつ『偉大なる魔道師、我が名はアーザス』とか言ったりした?」
 シイナが驚いてオレを見る。
「何でわかった? いや、ちょっと違うが『大いなる力を持つ、我が名はアーザス』とは言ってたな」
「やっぱり徒党組んでる連中なのかなあ。サンレイク襲ったヤツがさ、名前は……トロイアとか言ってたけど、そいつが偉大なる魔道師、とか言ってたんだよね」
「仲間か……」
 少なくとも二人はいるってことか。
 だっさい称号つきで名乗るのは、連中の流儀かな?
 アーザスってヤツはもちろん知らないけど、トロイア、あいつの名前と姿だけは忘れない。獲物を睨む蛇みたいな、灰緑の瞳だけは。
「正直、サンレイクの結界の中に立て篭もってるのがトロイア本人かどうかもわからないんだけどね。結界を確認したのは俺がこの国に来てからだし、何しろ近付けない訳だし」
「時間をかけても、情報を掴むしかないな……おいコーラス。お前さっきから何回餌取られてるんだよ、へたくそ」
 へたくそ言うな。まだ4……5回くらいしか餌付け替えてない!
「そういうシイナだってまだ一回も竿引いてないじゃないか」
「かからないんだから仕方ないだろ!」
「かかっても気付いてないだけなんじゃないのか!?」
 このままじゃ夕飯から海の幸が消える。
「だったらいっそ、てめえが餌になって魚引っ張ってきやがれ!」

「うぎゃあ!!」
 シイナ、座ったまま器用に蹴り落とした。オレを。
「シイナてめえ~~!!」

 ドボン。ごぼごぼごぼごぼ。

 落とされた方は良くわからないが、きっと派手な水音がしたに違いない。
 って、そんな場合じゃなくて。
 おーまーえーなー。
 オレが海に飛び込んで魚が捕獲できりゃ世話ないってのー。まったく女の身体だからって、女みたいにヒステリックになるなってーの。
 とっとと岩場にあがろうとして、妙な気配に気付く。
 んん?
 何かが、背後にいるんですけど……。

「ぎゃ――――――ッ!!」

 岩場に手をかけずにバシバシと猛スピードで泳ぎ始めたオレに、さすがのシイナも驚いたらしい。
「コーラス!?」
「なんかいる! なんかでかいのが追いかけてくる――!!」
「お前どこまで行く気だ!?」
「わかんねーよ!! でも岩場登ってる余裕ねえって!!」
 バシャバシャバシャバシャ。
 かなりのハイスピードで逃げ回ったオレの服の裾を、何かの大きな口がガブリとくわえて引っ張った。


「元いた場所に戻して来い」
 ソルダム兄さん、目が据わってる。

 俺の服をくわえて結局砂浜までのし上がってきたのは、エンデリックにしかいないエンデアザラシだった。
 とりあえず人間は食わない。が、何しろでかい。
 オレが背中に乗れるほどの巨体を引きずって、アザラシはソルダムの工房にまでついてきてしまった。この海の生物、こんな陸にまであがってきて平気だったんだ。
「これ、食えない?」
「食えるわけねーだろ!! 干物にしたって何年も困らんくらいのこの巨体を、誰がさばくんだ!! 弱らないうちにさっさと海に戻して来い!!」
 でもオレ冬のさなかにずぶ濡れで寒いんだけどー。そもそもオレを海に突き落としたのはシイナだぞ。
「大体魚はどうしたんだ? 飯のおかず」
 ソルダムは腰に手を当てて呆れ顔。成果がないのは一目でわかるだろう。
 て。なんか。むずむずむずむず。
 重ね着したままずぶ濡れになった服のボタンを外したら、服の中から5、6匹、魚が滑り落ちた。
 シイナが面白そうに目を見張る。
「釣れるもんだな。お前が餌でも。良かったじゃないか」
 シイナ……。
 つうかこれは餌じゃなくて、逃げ回ったときに入り込んで来ただけだろがー。

 はああああ。
 ソルダムさん、でかいため息。なんか顔笑ってますけど。
「仕方ないな。こいつはオレが戻してくるから、お前らはその魚焼いて待ってろよ。くれぐれも焦がしたり爆発させたりするんじゃないぞ!」
 爆発って、どうやって。
「わかったよー。ごめん」
 ソルダムがアザラシと肩を並べて歩いて行くのを見送って、とりあえずオレは体の水分をざっと取った。
「じゃあこれ焼いちゃうかね」
 棚にしまってあった網を取り出す。これ、魚用だよな? 多分。
「このままで焼いていいのか?」
 シイナが魚の尻尾をつまんで顔の前でプラプラさせている。
「多分」
 このままで焼いちゃダメだったとしても、他に方法を知らないから仕方ない。まあ、普通に火を通せば食えなくはないだろ。
 海まで出張させたソルダムには、一番大きいのを食わせてやろう、なんて考えながら、魚をまとめて網の上に乗せた。

 まあ見事に焼いてる最中、魚の内臓が破裂して辺り一面に飛び散ったんだけどね。




==椎名の呟き==
あの、ソルダムに会って以来、迷惑しかかけてない気がするんですけど。
コーラスって、昔からこんなだったんだろうか。

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