オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。
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2007.05.05

「運命は変えられないよ」
 かぼは呟く。

「時の流れは、物体を消耗させる。物体が消耗すれば、魂だって消耗する。それがどういうことなのか、わからなくはないだろう」
 かぼの言葉に、ミズは黙ったままだ。
 巡には、かぼの言うことはやっぱり理解しがたかったけれど。
「抵抗などできないのだ。だってミズは、皆を置いて旅立つのではなく、皆に残されるのだからな」
 魂が消えるということは、魂を持つものを置いていくことと同義ではない。むしろ、置いていかれるのはミズの方だ。
 例えば天国のような場所へと駆け上って行くのではなく。
 歩くことをやめて立ち止まったミズの魂は、時間の流れから置いて行かれる。
 それが、魂の死というものだ。
 本当のところはともかく、かぼはそういう風に、魂の消失というものを位置づけていた。
「いつかは皆、そうやって足を止める。そして自分の傍を通り抜けていく『時間』というものを、操ることなど出来ない。他の皆の『生きている時間』はな」
 だから。
 だからミズは、怖かったのかもしれない。

 死ぬ、ということは。
 魂が身体を抜けて飛翔するのではなく。
 疲れきった魂が、時間から取り残されるということ。

 多分きっと、そういうこと。

「私も、そう長いこと生き続けるわけではないよ」
 静かな口調で、荘二郎が言った。
「どうせあと10年か20年か。すぐに私も、この世からいなくなる。悠久の時間の中では、瞬きほどにも満たない一瞬だ」
 荘二郎が、ほんの少し、笑った。巡たちには初めて見せる表情かもしれない。
「そして私が立ち止まる場所は、きっとミズのいる場所だろう。そこは、時間から取り残されている場所なのだからな」
 その言葉は、ただの慰めでしかない。
 本当のところは、誰にだってわからないのだ。
 けれど荘二郎は、根拠のない慰めをミズに向け続けた。
「だからミズは、安心してそこで待っていれば良い。ほんの僅かな時間だ」
 この世での、時間稼ぎがバカバカしく思えるくらいに。

「おじいさんは、悲しくないの?」

 ミズは、荘二郎を見上げた。
 しかし荘二郎は、首を振る。
「悲しいことなどあるものか。私は何も失いはしない」
 朝が来て夜となるように。生の刻と魔の刻も、どちらもきちんと訪れる。
 表裏一体であるこれらのように。
 すべてのものは、もとをただせばきっとひとつだ。
 そして荘二郎の中から、ミズの存在が消えることはない。
「天笠さんは、ひとりじゃないよ。少なくとも、僕やかぼにはもう出会ってる。この街には、天笠さんのお菓子を楽しみにしている人も沢山いる」
 巡がようやく、自分なりの結論を口にした。
「そしてミズも、ひとりじゃない。君がどこで立ち止まっても、そこにはみんないる」
 これまで見送ってきた、沢山の人たちが。
 だから、悲しむ必要なんて、どこにもない。

 それが真実であるかどうかはわからない。けれど、それはどうでもよかった。
 避けられない運命を目前にする相手に、差し出さずにはいられない優しさが、あるだけだ。見つからない真実を詮索するくらいなら、例えば優しい嘘がいい。
 かぼが、その後を引き継いだ。
「ミズ、ぬしは運命に対して絶対的に無力だ。だがそれは、全てのものがそうだ」
 だから、折り合いを付けていかなければ。
 生きているものも、そうでないものも。
「ミズと出会えたことは、私にとって幸運だったのだ。だから、お前に関することで悲しいことなど、何もない」
 荘二郎が、ミズを縛っていた紐を解いた。もうミズは、その場から動いたりはしない。

 愛するという心を、そのままその姿へと変えて返してくれるそんな存在に。
 出会えたことが、幸運だ。

「ミズと出会えて、幸せ?」
「幸せだ。ミズもそうだろう?」
「ミズはおじいさんに出会えて……」

 幸せ。

「うわあああぁぁん」
 ミズは声を上げて、泣き出した。
 迫り来る瞬間を、その小さな身体全部で受け止めようとするかのように。





==椎名の呟き==
仮定ばっかりだあw
フィクションなんだから、結論付けちゃえばいいのにね……。

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