オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。
--.--.--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2007.07.04

 一体どういうことなのか、巡たちにはまるで事情が飲み込めなかった。
「……どういうこと?」
 巡の疑問に、朝比奈はため息を漏らす。
「さっき、あのでかい魔物を止めに入る直前にな、氷村さんに言われたんだよ。オレが死にそうになったら、絶対にお前らが全力で止めてくれるだろうって。オレたちが命を懸けてもお互いを護ることができたなら……それをこの目で確かめることが出来たなら、自分の――氷村さんの仕事も終わると」
「……」
 それは本当に、どういうことだ。
 わけがわからない。
「氷村さんが、説明してくれるんだろう?」
 朝比奈の視線を受けて、氷村はほんの少し肩をすくめて、頷いた。


 これから来る魔の刻のために。
 やっておかなければならないことが、氷村にはあった。
 正確には、やっておかなければならない、というのは氷村の個人的事情であって、誰かに課せられていることではない。

「私は別に、過激派でも魔狩人でもないよ」

 飄々と、氷村は言った。
「な……」
 絶句する朝比奈に、氷村はおかしそうに笑いかける。
「そうだとは、一言も言ってないがな?」
「そんな……」
 言われてみれば、そうかもしれない。だが、これまでの氷村の態度は、魔物を敵対視する彼らと同じにしか見えなかった。
「彼らの存在を利用はさせてもらったがな。連中に寝返ったと思われた方が、やりやすかった」
 かぼや巡にとって、敵とみなされる。
 その状況が、氷村には必要だった。
「魔の刻と生の刻。ふたつの時代の住人同士が本当にわかり合えるケースは、非常に少ない。だから、生の刻において、魔の刻の住人は時代の片隅へと追いやられるし、魔の刻においての生の刻の住人は、心無き魔物に命を奪われる」
 理想論を言ってしまえば、確かにふたつの時代の住人たちは、互いを認め共存することで、ふたつの時代を共に乗り越えていけると、氷村は考えていた。
 けれどそれは、とても難しい。
「魔の連中は情に乏しく自己中心的で、時を越え行く存在。生の連中は、逆に有り余る情によって他者を縛する刹那の存在。この共存は、本当に難しい」
 相容れないふたつの時代だからこそ、この世界は均衡を保っているのかもしれない。
 けれど、そうだとしても。

 同じ世界に存在しているのなら。
 こうやって、意志を通じ合わせることが出来るなら。
 不可能なことではないと、そう思いたかった。

「わちらを試したのか?」
 かぼの言葉に、氷村は頷く。
「引き離そうとしたのも、半分は嘘ではないよ。もしも最後にはどちらかが裏切るくらいなら、最初から共にいない方がいい。お互いに余計な傷を作ることになる」
 氷村の脅しと魔物に屈してかぼたちが巡を捨てて逃げ出すか、巡がかぼたちを引き離すか。もしもそうなったなら、それはそれで良かった。もう二度とお互いに近付かないようにするなら、それでも。
 曖昧な信頼関係を築き上げたあとで拒絶しあうくらいなら、その方がよほどマシだった。
 結果的に巡たちは、理想的な結果を返してくれたのだが。
 けれど。
 飄々と、氷村はそんな風に言うけれど。
「そんなことをして何になる? ぬしひとりで」
 世界にどれだけの生物と魔物がいるか、わかっているのか。
 逢魔の力を持った者だけに限定するとしたって、その全てに対してこんな風に試すようなことを、ひとりで出来るわけがない。
「同じ考えを持って行動している者がいない訳じゃない。だがそれでも、世界そのものを変えるのは不可能だろうな」
 そんなことは先刻承知、と言いたいのだろうが。
「自己満足だと思ってくれても構わないが……それでも、自分の手の届くところだけでも確かめたかった」
 そんなちっぽけな存在こそが、世界を動かすきっかけにだってなり得る。
 かぼたち然り。
 生と魔の絆を作り上げようとする氷村然り。
 魔の刻を乗り越えるべく機関をたちあげた藤乃木しかり。

 大きな実りの大元は、すべてちっぽけなひとつの種子だ。

「藤乃木は知っていたのか……」
「ああ」
 こともなげに肯定する氷村に、朝比奈は嘆息する。
 何もかも知っていたから、藤乃木は氷村を放置していたという訳だ。過激派に寝返ったという誤解もそのままに。人が悪い。

 だが。
 巡には、おそらくかぼも、わからないことがあった。
「氷村……さん」
 おずおずと呼びかける巡に、氷村は視線を向けた。不敵に見えるのは装いではなく、生まれ持ったものだろうか。
「どうしてそんなに、一生懸命なんですか」
 こんなことに、氷村は一生を捧げるつもりでいるのかもしれない。
 だとしたら、氷村がこう生きていこうと決めた裏には、何がしかの理由があるはずだ。きっかけとなる、理由が。
「……」
 氷村は無言のまま、小さく肩をすくめた。
 よほど、言いたくないことなのだろうか。

「他言無用でお願いしたいがね……」
 氷村は、小さく息を吸う。
「私が、物の怪の遺伝子を持っているから――なのだよ」

 彼の一言に、巡と少女以外の全員が、驚愕に息を呑んだ。





==椎名の呟き==
ちょっと複雑なお話になる?
そうでもないか。
今回20話で収まらないだろうなあ……。またまた予想外orz

★『逢魔が時!』最初から読みたい方はこちら★


人気ブログランキング参加中!
よろしければポチッとお願いいたします♪
人気blogランキング



スポンサーサイト

テーマ : 自作連載小説

ジャンル : 小説・文学

プロフィール

椎名シイ

Author:椎名シイ
 
オリジナル&二次小説、ボカロKAITOやゲーム感想や普通の日記をとめどなく。
一部微妙に腐女子向けかも!

インフォメーション

Twitter

管理人へのメールフォーム

pixiv
pixivは二次創作腐向け小説と絵。ジャンルは雑多。

カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

06月 | 2007年07月 | 08月
 日  月  火  水  木  金  土
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -


訪問者数
ラグナロクTV

このブログ内における「ラグナロクオンライン」から転載された全てのコンテンツの著作権につきましては、運営元であるガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社と開発元である株式会社Gravity並びに原作者であるリー・ミョンジン氏に帰属します。 © Gravity Co., Ltd. & LeeMyoungJin(studio DTDS) All rights reserved. © GungHo Online Entertainment, Inc. All Rights Reserved. なお、当ページに掲載しているコンテンツの再利用(再転載・配布など)は、禁止しています。
ブログ全記事表示
ブログ内検索
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。