オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。
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2007.09.30

*ROシドクスクエストにつきネタばれ有り、ご注意願います。


「プリースト・シイナ」

 唐突に名指しされて、シイナは仰天した。
「は、はい!?」
「あなたは先日、グラストヘイムの修道院跡で、モンスターダークイリュージョンをひとりで討伐したそうですね」
「ええ!? は、まあ、ええ、はい?」
 事実ではあるが、予想外の事を言われて、シイナは動揺する。果たして自分は、そんなどうでもいいような事を大聖堂に報告しただろうか。否。聖職者仲間にくらいは話の流れで言った事はあるかもしれないが。
「その勇気と行動力と、敬虔な信仰心は賞賛に値するものと思います。どうですか? あなたの献身を、我が国民と共和国の安全平和のために発揮するつもりはありませんか?」
「あ、あ……」
 その場に集う聖職者の数人が、頭を抱えた。こういう場合に室長に指名されて、回避できたためしはない。

 ――誰だあッ! 室長に余計なことをしゃべったのは!?

 確かにダークイリュージョンと呼ばれるモンスターは、修道院跡を牛耳ると言っても過言ではない強力なモンスターだ。そばで5秒も突っ立っていれば、簡単に死ねる。けれど実践に向かない聖職者の中だけで考えたとしても、あれくらいのモンスターであれば、倒せる者はいくらでもいるはずだ。単体で挑もうなどという物好きが存在しないだけで。
「シスター・テルーザ! 確かに私は修道院跡へ赴くことが多いですが、あくまでモンスター討伐に明け暮れる日々でして、人の助けになることもしているとは言い難いですし、そういった意味ではあまりこの仕事向きではないかと……」
 我ながら、苦しいというか情け無い言い訳ではある。ゆっくりと近づいてくる室長の静かな迫力に負けて、シイナの語尾はみるみると小さくなってしまう。
「だからこそです」
「え?」
「皆それぞれに役割や護る者を抱えているものです。その点で言うならば、今のあなたは身軽であると言えますね?」
「あー……」
 痛いところを突く。
 過去に仲間は沢山いた。もちろん今も付き合いがないわけではないし、たまには共に出かけたりもしないではない。が、修道院跡に出かけるようになってからは、その多くを少しずつ遠ざけてきた。理由はそれなりにあるが、身軽と言われればその通りとしか言いようがない。

 チクリと。
 ほんの少し、胸が痛む。
 数ヶ月前のあの別れから。あの時からシイナは、ずっとひとりで、ひたすらモンスターの討伐に時間を費やしていた。
 別にあれが原因だと思うわけではないけれど。今ひとりでいる、直接的原因は、別にあるけれど。
 きっかけとなったのは、確かにあの時なのだろうと。

「プリースト・シイナ。誰かに護られながら、また誰かを護るために、人は強くなります。ですが、あなたのように、人を遠ざけることで護ろうとする人が、今回は適任かもしれないのです」
「シスター・テルーザ?」
 シイナの心を読むかのようなテルーザの言葉に、シイナは一瞬ドキリとする。
「不明な部分が、多すぎるのです」
 その言葉は、彼女の目の前に立つシイナにしか聞こえないくらいに小さかった。
「シュバルツバルドはまだまだ謎が多い。故に予想外の危険も付きまといます。心してかからなければならないことは、各団体から派遣される全人員に通達されているはずですから、あなたにも申し渡しておきます。挙手に応じた、彼らにも」
 謎の多いシュバルツバルドの国と、その都市アインブロック。その地の調査がこの国に何をもたらすのかはわからない。不安要素がないわけがない。
 けれど。
 未知の領域を知るために動くことは、シイナは決して嫌いではない。大聖堂からの使命という面倒付きであるということが、少々のネックになっているだけの話だ。面倒ごとを極端に嫌うという、生まれ持った性癖もある。
「……わかりました、シスター・テルーザ」
 嘆息とともに、シイナは観念した。
「この身は、神と国家と友のために」
「ありがとう、プリースト・シイナ。あなたとあなたが守るべき盟友に、神のご加護がありますように」
 合言葉のようにいつも繰り返されるシイナのお決まりの言葉に、室長は祈りの言葉を返し、胸の前で柔らかく両手を組み合わせた。これも幾度となく繰り返されてきたやりとりだ。
 最後にニッコリと笑った室長は、くるりと体の向きを変えた。
「それから……」
 あと数人指名するつもりらしい彼女は、次の標的に向かって歩みだす。
 ご愁傷様、だ。
 うまくハメられた感は否めないが、引き受けてしまったものは仕方がない。シイナはその場に立ち尽くしたまま肩をすくめて、再び大きなため息をついた。





==椎名の呟き==
もちろん、ゲームの中ではこんな風に聖職者が大聖堂に集められるなんて現象は起きませんがね……w
シスター・テルーザも実在はしませんからー。

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