オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。
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2007.11.08
*ROシドクスクエストにつきネタばれ有り、ご注意願います。

---3警戒警報

 アインブロックに着いて汽車を降りれば、目に見える場所にホテルの看板がある。部屋はもう取ってあるのだから、あとは帰って休むだけだ。
 しかし、そこに向かって歩き出した途端に、異変は起きた。

「緊急事態発生。工場からの煤煙により、大気汚染濃度が危険値まで到達しました。住人の皆さんは、速やかに屋内に非難してください。繰り返します――」

「なんだ……!?」
 町全体に響く音量で放送が流れ出し、急に辺りが騒がしくなった。と同時に、外を歩いていた人々が慌てて駆け出し、それぞれがどこかしらの建物の中へと逃げ込みだす。随分と慣れた様子で、オロオロとその場に立ち尽くすような人間は誰一人としていない。
「大気汚染濃度って一体……って、確かにこの煙、ただ事じゃないぞ……!?」
 最初にこの街に来たときとは比べ物にならないほどの、大量の煙。さすがに咳き込みそうになるシイナの視界に、煙以外の何かが見えた。
 いや、煙は煙だが……。
「モンスター!?」
 大気中を漂う煙とそっくりな姿を持つモンスターがそこにいた。ルーンミッドガッツでは見たことのない形のモンスターだ。
 これは予想外。
 周りで被害を受けている人間がいないことを確認して、シイナは己に守備魔法を掛けかけた。

「――やっぱり外にいたのか!!」
「えっ?」

 グイ、と肩を引かれて、呪文詠唱を中断された。
 そのまま手を掴んで駆け出す何者かに、シイナはつられて走る事しかできない。
「こっちだ」
 声のする方を見てみれば、煙の中でシイナの手を引っ張って走るのは、この街に最初に来たときに会った案内員だ。いつの間に近寄ってきていたのか。モンスターに気をとられていて気配に気付かなかった。
「クッ……痛ぇよ、コンチクショウ!!」
 先に行く彼は、容赦なく煙のモンスターの攻撃を受ける。
「ちょっと君、大丈夫か?」
「いいから早く!!」
 数十秒か走った先の小さな家屋の扉を開け放った彼は、そのままの勢いでそこに飛び込み、バシンと音をたてて扉を閉めた。
「はあ……」
 その場に座り込み、大きく息をついて肩を落とす。
「……ここは?」
 こぢんまりとした部屋の中を、シイナはぐるりと見回した。
「オレの家。屋内にいれば安全だから……」
 煙のモンスターは、確かに家の扉を破ってまで入って来ようとはしていないようだ。
「君、持ち場を離れて大丈夫なのか?」
 フウ、とため息をつきつつ呟くシイナを、案内員は呆れたように見上げた。
「この時ばかりはそんな事言ってられないんだよ。あの煙のモンスター。あんなのが群がってる外をうろついてたら、命がいくつあっても足りやしない。警戒警報が出た時に、外にいるヤツなんて誰もいないよ」
「……じゃあなんで、君は外にいたの」
 シイナの素直な疑問に、案内員はばつの悪そうな顔で俯いた。
「……探してたんだよ。アンタには、言ってなかったからさ。この街は時々ああいう風に警報が出されるんだって事。さっきアンタも見た通り、大気汚染が酷い間はモンスターも出現する。オレたちも自分の事で手一杯になるから、自己防衛してもらうためにも初めてこの街に来る人間には、必ずそれを伝えなきゃいけないんだけど……言い争いで、失念してた」
 命に関わる事なのにすまない、と、案内員は素直に頭を下げた。その職務意識の高さに、シイナは内心感嘆しつつ、クスリと笑った。
「いやまあ、私もこう見えて、そう簡単には死んだりしないから、気にしなくていいんだけどね」
 へ? と不思議そうな顔をする案内員の傍に膝をついたシイナは、見せて、と傷を負って血の滲んでいる肩に手を当てた。シイナの掌のあたりに透明な緑色の光が生まれたのを案内員が目で確認したときには、既に肩の傷は塞がっていた。痛くもかゆくも、なんともない。
「え、なんで? どうなってるんだ?」
「これも我々聖職者の力のひとつでね。戦闘にはあまり向かないけど、治療や防衛には長けているから、まあホテルに逃げ込む時間くらいは稼げたと思うよ」
 シイナの笑顔に、案内員はへたりこんだ。
「そういう事は早く言ってくれよ……」
「そんなヒマなかったじゃないか」
 ハハハと声を立てて笑うシイナに、案内員も諦めたように苦笑を返した。そこには、初めて会った時のような棘は存在しない。
「噂には聞いてたけど、アンタの国の人間は凄いんだな……」
「畑が違うだけなんだけどね。この国には、この国にしかできない事があるし。まあでも、君がその身体を張って私を助けに来てくれた事には、本当に感謝してるよ。ありがとう」
 あらためて礼を述べると、案内員の顔があからさまに赤くなった。こういう事に慣れていないのかもしれない。
「いや、そのな、オレの方こそ、っていうか、ああいう時はたまにホテルなんかも施錠されちまう事があるから、気をつけとけよッ」
 ああなるほど、それで彼は手近なホテルではなく、確実な自宅まで走ってきたわけか。シイナは納得した。

 うん。悪い人間じゃない。

 突然の出来事に少々驚いていたシイナだったが、事情を知って余裕が出てきたところで、目の前の若者をしげしげと観察するのだった。





==椎名の呟き==
初めてこの街を訪れた時に、案内を受けた男性のあまりの色男っぷりに陥落させられたPL椎名さんは、この街がたいそうお気に入りになりましたと。
そして、こんなお話を作るまでに発展するわけです。
もちろんゲーム中で、案内員とこんな風におしゃべりする機会はまったくないですがw

★『Beautiful World』最初から読みたい方はこちら★


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