オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。
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2008.01.18

*ROシドクスクエストにつきネタばれ有り、ご注意願います。

「……シドクスさん……」

 幸せそうな表情のまま、シドクスは静かに動きを止めた。
 安らかな顔で、思いで、きっと最後の一瞬は苦しみも伴わずに。

 だがどうして、こんな事に。

「申し訳ありません、シイナ様……」
 ドアの外から見守っていたらしいフロント係が、深く頭を下げた。
「私どもの不手際で、強盗の侵入を許してしまい、このような事態に……なんとお詫び申し上げてよいか……」
 うなだれる彼に、シイナはただ、首を振った。
 賊に侵入されたこと、もともとホテルの不手際で同室になってしまった見ず知らずの老人を看取ることになってしまったこと。様々な事について謝罪してもしきれない思いなのだろうが、これは単なる強盗の仕業ではない。
 運命が引き起こした、必然の事件だ。
「……あなた方の責任ではありません」
 強大な組織が、きっと裏に控えている。それから回避するのは、何も知らない一般のホテルでは無理な話だ。むしろ巻き込まれたのはそちらの方であろう。
 シイナはふらりと立ち上がった。
「あっ、シイナ様……!」
 呼び止めるフロント係の言葉にも振り返らず、そのままゆるゆると入り口を抜け、階下へと向かう。そのうち警官隊も到着するだろうし、調査が始まればシイナも立ち会うべきなのかもしれないが、今のシイナはそんな事にまで気を回している余裕がなかった。
 ふらつく足取りで、シイナはホテルの外へと向かう。
 どこへ向かうという目的はなかったが、とにかくそこから離れたかった。

 シドクスは、きっと彼らが何者なのかを知っていた。もう少し時間があれば、鉱石の正体が明らかになったところでその話も聞けたのかもしれないが。
 シドクスは、死んでしまった。
 何もかもが、謎なまま。

 ホテルの脇にある広場に出たところで、小さな植え込みに腰掛ける人物と目が合った。ホテルから出てきたシイナに彼が視線を移した結果なのだが、彼はシイナの血まみれのいでたちに目を見張ったようだ。
 鍛冶屋のような格好をした、がっちりとした体格の、屈強そうな男。しかしその腰にはなぜか調理用のフライパンがぶら下がっている。シイナがあてもなく歩く方向にその男がいたから、自然にシイナは男に近づいて行く事になった。

「あんた、その格好どうしたのぉ?」

 体格と性別に似合わない、不思議な言葉遣い。
「どうせモンスター討伐に明け暮れる観光客なんでしょ。そんなにべったりと血痕をつけて外をフラつくモンじゃないわよ」
 シイナの手や衣服には、シドクスの血がついたままになっていた。
 ああこれはまずかったかなとぼんやりと考えて、シイナはその男を見つめる。なぜかフライパンを携えた、若く豪快そうなブラックスミス。

『ホテルに逃げ込む間際、広場で旅人に料理について熱弁を振るう彼を見たよ』

 ふいに、シドクスの言葉を思い出した。
「……アーク?」
 シイナの呟いた名前に、その若者は意外そうに目を見開いた。
「あら、なんで私の名前知ってるの? 意外と私も有名になったのかしら。そうよ。私が世界一の料理研究家、アーク・クラインよ」

 アーク・クライン。
 彼が。
 この男が、シドクスの言っていたアーク。
 彼が、最後の最後に思い描いた。最後まで幸せを望んでいた、その人。

 シイナは回らない頭のまま、ゆらりと血に濡れた手を伸ばした。その手で、アークの手を取る。シドクスの血を纏ったシイナの手。だから当然、アークの手もその血に汚れて紅く染まる。
 これは、シドクスの血。
 ――あなたが情を傾けたシドクスが、最後に流した血だ。
 口にしてはいけない言葉を、シイナはただ心の中で呟き続けた。
 シイナのその行動をどう取ったのか、アークは静かにその顔を覗き込んだ。
「何をそんなに辛そうな顔をしているの? 坊やには似合わないわよ。観光客のあなたには、ここの空気が悪いのがお気に召さないかしらね。ここは暮らすにはあまりいい場所じゃないから」
 血まみれの手で、己の手を掴まれて。
 普通の人間なら怒るか逃げ出すかしそうな意味不明のシイナの行動を受けても、アークは笑顔を絶やさない。不思議な男だ。
「じゃあ、何故あなたはここで暮らしているんですか?」
 もちろんシイナにそんなつもりはないが、一見皮肉とも取れるようなその言葉を聞いてもアークは機嫌を損ねたような様子もなくただ呟いた。
「……思い出のある地だからね……。待ってる人が、いるのよ」
 シイナは目を見開く。
 待っている人。
 シイナの胸を、その言葉が突き刺した。


「――シイナ!!」
 後方から名前を呼ばれて、シイナはビクリと振り返った。
 ララクセルズ。
 血相を変えた彼が、駆け寄ってきていた。





==椎名の呟き==
動転してりゃ、こんなものなんですが。
今作一番の挙動不審者シイナです;;

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