オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。
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2008.06.18

*RO恋人クエストにつきネタばれ有り、ご注意願います。

 広場でゼイゼイと息をつきながら、二人はぐったりとベンチに腰掛けた。
「シイナ。お前の苦労性ってさあ、絶対その性格が災いしてるだろ」
「性格だから苦労性っていうんだろ……」
 疲労困憊のせいか、わけのわからない会話だ。
「まあ、悪いことばかりでもないけどな」
「うん?」
「カシスさんのおかげで、パンの焼き方は上手くなった」
 ボスっと、シイナはララクセルズの膝にひとつ残った紙袋を放った。
 材料集めを手伝わされた際に、パンの美味しい焼き方まできっちり伝授してくれたカシスには、一応感謝してもいいかもしれない。
「なるほど……」
 ガサガサと袋を開きながら、ララクセルズはシイナを見る。
「お前さっき、キリシュに自分の分やっちまわなかった?」
「ああいーよ。もう食欲も失せましたー」
「バカ言ってないで食えよ」
 ララクセルズは袋から、さっきシイナが焼き上げたばかりのパンで作った野菜サンドを取り出すと、ひとり分というにはいささか量の多いそれを半分に引きちぎってシイナに掴ませた。
「どうも……」
 真面目に食欲のなさそうな顔でそれに噛み付くシイナを呆れ顔で見やってから、彼も野菜サンドを口に運ぶ。確かに最近のパンは美味くなっている。具材の切り方は、相変わらず大雑把だったが。

「アンタら、広場の真ん中で愉快なやりとりしてくれるわよね……」

「ぶは」
 突然背後からかかった声に、二人は危うく口にしたパンを吹き出しかける。
「アーク。驚かすな」
 ベンチに腰掛ける二人の真後ろに立つのは、オネエ言葉が不思議と似合う、マッチョなダンディ、自称世界一の料理研究家、本業は鍛冶屋であるアーク・クラインだ。二人とは随分歳が離れている年長だが、妙に気の合う友人である。
「つうか愉快なやりとりって何だよ」
 ララクセルズの抗議にも、アークはただ肩をすくめるだけだ。
「疲労困憊した男二人が、油の匂いと煙が漂う広場のベンチで仲睦まじくパンを分け合う光景を、愉快と言わずしてなんて言うのよ」
「……」
 成り行き上、仕方のないことではあるが。
「そういえばシイナ、あんたカーラちゃんとは会ったの?」
 ゲフ。
 またもやパンを吹き出しかけるシイナ。何故アークからその名前が出てくるのだ。
「ここ何日か、彼女あんたのこと探してたのよぉ。事情がわからないから、家までは教えなかったんだけど」
 それには本気で感謝する。
 しかし、何度もシイナの所在を訊かれたらしいアークには、事情を話しておいたほうがいいのかもしれない。シイナは一通りの成り行きをアークに聞かせた。

「……あんたがこの街で目立つのって、外国の人間だからってだけじゃなかったわけね」
 アークはため息をつく。
「目立ってるかな」
 シイナにその自覚はない。ここに居ついた珍しい外国人という噂の種になっていることは知っているが。
「目立つっていうか、良く名前を聞くのよ。カーラちゃん以外にも、近所の子供だとか町外れの修理工だとか、ベフの酒場でまで『最近見ないけど元気かい』なんて言われて驚いたわ」
「……」
 アークの言っている人物の全ての顔を、瞬時に思い浮かべる事ができる。
「あちこちで色々な事に手を出してんじゃないの? 人がいいんだから」
 からかいまじりのアークの言葉には、ララクセルズも無言のままうんうんと頷いた。そう言われると心当たりがありすぎるだけに、シイナは反論のしようがない。
 何だかんだと面倒見のいいシイナは、誰彼となく話をしてはあらゆる場面で手を伸ばし、他人のために走り回る。聖職者という職業柄もあるだろう。大体、世界中をほっつき歩く冒険者などという人種は、もともと根がマメにできているのだ。
「まあね……でもオレは、この街もこの街の人も好きだからさ」
 シイナの言葉に、アークは「んまあぁ!」と叫んでシイナの首を後ろからギュウギュウと抱きしめる。痛い痛いと真面目に涙目で抗議して、ようやく腕を緩めた。
「こんな街を好きって言ってくれるのは嬉しいわよ。まあ、ね。こんな街だからこそ、他の住人と付き合いを密にするのは悪いことじゃないわ。でも変に利用されないようにしなさいよ」
「言えてる……」
「はいはい」
 アークとララクセルズのふたりに言われて、これまた反論できないシイナは渋々頷く。面倒くさがりのクセにお人よしの巻き込まれ体質なのは事実だ。先刻ララクセルズに苦労性だと指摘されたばかりである。
「それがあんたのいいトコなんだけどね。彼女の言う事もわかる気がするわ」

 意味深な笑顔を見せるアーク。
 彼女とはカーラのことだろうかと漠然と考え、シイナはニヤニヤと笑うアークの顔を見つめた。





==椎名の呟き==
確かに自分でアインブロクに移り住んだし(というかセーブポイントにしただけ)、この街が大好きですが、この街の屋外で食べるサンドイッチが本当に美味しいのかはかなり謎です(笑)。本当に空気の良くない街だしなー。
さて、このお話も次回で最終話になります。最後までまったりと(笑)。

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