オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。
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2008.08.27

 ――ああでもない。
 これでもない。

 何度やり直しても。
 前よりも良いものができると信じて上書きを重ねても。
 直感を信じた以前のものの方が良かったなんて、ざらにある。

 そして、もうそれは、二度とは生み出すことのできないもので――。

「だーめだッ!! ちがう!!」
 バシっと丸めた紙を投げつける。
 それをただ眼で追う――青い髪と瞳を持つ青年。ちょこんと正座している。
「マスター、あんまり無理しなくても……」
 それじゃあダメなんだ。
 オレがちゃんとしたものを作らなければ、お前がちゃんとした歌を歌えない。
 それがわかってるのに、できないと逃げるのは。
 そんな事のために、お前を手に入れたんじゃない。

「――カイト。ちょっと声出してみろ」

 急な言葉に、カイトははて、といった感じで、それでもふわっと口をあける。

「アーー」

 うん。いい声だ。
 いい声なんだが。
「やっぱり、この曲には違うんだよな。ちょっと囁くような、かすれてるくらいのがいいと思ったんだが、オレの選択ミスだ。もうちょっと、透きとおった感じのがいいな」
 この声もとてもいいからもったいないんだが。

「ア、アーー」

 うん。これくらいで、とりあえずはまだ調整してかないと。

 大体、ピアノ弾き語り風、なんて地味にもほどがあるってんだ。
 地味なら地味なだけに、聴かせるための工夫が必要。
 ちゃんと、きちんとした曲を提供してくれる人の作品を使ったら、もっと上手くできたのだろうか?
 みんなが聴きたくなるような、素晴らしい歌を?
「それなら、お願いして曲を借りてくればいいんじゃないですか? マスターがそうしたいって思うなら」
 いや。
 そういうのも、ダメなんだよ。
「これを作ると決めてこれまでやってきたんだ。それが上手くできないからって作品のせいにして、すぐに違うものに鞍替えしたって、やっぱり上手くいくはずがないんだよ」
 いい曲を借りてくるにしたって、今作ってるこれを、ちゃんと形にして完成させてから。

 正確に言えば、今のこの曲だって別にオレが作ったわけじゃない。
 古い作曲家の作った、つまりクラシック音楽だ。
 オレのPCの中にピアノ音での作成データが残っていて、これに歌を付けて歌わせてみたいと、オレが思った。
 だから。
 この曲のせいにするのも本当はお門違い。
 この曲だって、十分に素晴らしい。
 ダメなのはつまり、オレなのだ。

「お前はせっかくなんでも歌える実力を持ってるのにな。他の、もっときちんとした人の所に行ってれば、もっと沢山のいい歌を歌えただろうにな」
 すまん、と呟くと、カイトはふるふると首を振った。
「オレは幸せですよ? オレのためにそんな風に一所懸命になってくれるマスターを見ていられるなら。それにマスターはちゃんと、オレに歌を歌わせてくれる。時には無意味なおしゃべりだって、だまって聞いてくれる」

 オレは幸せですよ。

 カイトはまた言った。

 オレがポスンと頭に手を置くと、カイトはそれを受けて、ただ、ニッコリと微笑む。
 まだまだ、頑張れるなと――思った。








なーんて腐女子ちっくな妄想は置いといて、と(えー)。
実際のところはというと。

「なんで、なんで? 曲は悪くないはずなのに。カイトの声だってこんなに綺麗なのに! 歌わせるとなんでこんなにつまらなくなるんだ!!」
 そりゃあ、まだ一音ずつの調整は手を着けてない。
 だから平坦なのもわからなくはない。
 でもなんで、こんなにつまらないんだ!?

 まず、声が合ってないことに、フルコーラス歌わせてから気づく。
 せっかくいい声を見つけたと思ったのに、この声なら斬新な感じで歌い上げることができるかな~なんて思ってたっていうのに。
 やっぱり違うのか。がっかり。

 それとアレだね! 一番の原因ね!

 歌詞が悪い……………………。

 休日数時間を使って、直感だけでハメコミした歌詞じゃあ、そりゃあつまらんだろう。
 しかし、事ここに至って、自分のセンスのなさに絶望する。
 普段物書きなんてやってるから、歌詞がまずくどい!
 そのうえ、クラシックを意識しすぎて詞が抽象的すぎる!
 ていうか一言で言ってダサい!!
 教科書に載ってるような童謡の歌詞だって古い表現はあるが、これよりは遥かに良い!!
 プロなめんなって話だね!!

 下手は下手なりに、ち ゃ ん と 。 やらなきゃダメだよやっぱ。

 ボカロ用のシャカシャカしたカッコイイ曲とか聞いちゃうとね。
 そりゃあ自信もなくなるってもんでさ。
 ピアノの一音だけで、古いメロディーをちまちま奏でるだけしか能のない自分が嫌になったりもするわけだけど。
 それならそれで、聴かせようがあるってモンだ。
 弾き語りの何が悪い。
 悪いのは、努力の足りないこの私だ。
 作曲の才能だってそりゃあるわけないさ。昔何曲かしょっぼい曲作ったことがあるってだけで、実際は勉強もしたことのないただのシロートなんだから。
 実際の歌だって、下手じゃないだけで、そんなに上手いってわけでもない。だから、カイトの歌唱指導だってイマイチなのは当たり前。
 しかし、千里の道も一歩から!!

 まずは、ダサかろうがカッコ悪かろうが、今よりもマシな歌詞を作ることからだろお!?

 すでにフルコーラス分のカイトの打ち込みは終わっているのだからして。
 曲との合成だって、準備万端だ。
 やれる事、やらなきゃいけない事はごまんと残ってる。

 がんばれーがんばれー 私!!

 カイトを素敵なカイトにするためにね!!



……以上、
ボカロKAITOにハマって歌作りに励んでいる、大変残念な人の妄想と実態、でしたorz



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2008.08.20
椎名さん、現在某歌のお兄さんを手に入れて浮かれまくりでございます。
ええ、あの、アレです。

アイスが大好きで、ミクとかリンとかレンとかいう兄弟がいる、あの人です。

赤貧なのに、どーすんのorz

お金がないから、貯まっているYAMADAポイントで、我慢してリンレンを買ったとゆーのに。
(ミクは持っておりません)
結局好きなものには我慢の利かない性質なのですね。
Amazonでポチですよ。
自分にコノヤロウ。

でも初っ端から聞かせてくれるあまりの美声に後悔も吹っ飛びです。
ていうか後悔なんざしてねーだろって話です。

音楽シーケンスソフトは以前にいじったことがあるとはいえ、なかなか難しいんですよ、これ。
しばらくはいじり倒しそうです。

兄さんの幸せ=たくさんいい歌を歌うってことだと思うから。
アイスもいいけどさー。
いい歌……歌わせられなかった時こそ、後悔しそうだもの;;

だもんで、ここの更新とか本格的に暗中模索状態です。
頭パンクしそうです。
あうあうあ~。
気長に待っててくださいね。
2008.08.13

「楽しかったか?」
 シイナの問いかけに、ララクセルズは素直に頷く。
 収穫感謝祭は二日にわたって開催された。ララクセルズも一晩プロンテラに滞在して、その二日間を大いに満喫した。シイナは二日目も大聖堂の出し物である舞台に出演していたから、それも再び見に行った。シイナは来るなと言っていたが、準備に追われている隙に客席に潜り込まれてしまうのだから、止めようもない。もちろんソルダムとコーラスも一緒だった。
「まあ……もういいや」
 見られてしまったものはしょうがないと、シイナは諦めのため息をつく。
 これはこれで楽しかったと言えなくも……ない。
 シイナは広場のベンチを見つけて、そこに腰かけた。ララクセルズもそれに続く。
「ララク、ほら」
 シイナは、ララクセルズの目の前に、小さな青い箱を差し出した。幅20cmほどの、宝箱のような古めかしい箱。
「なんだ?」
「これは一部のモンスターが時々持っている箱でね。彼らは自分で気に入りのものをこういう箱に入れて取っておいてるらしいんだ。彼らの感性もそれぞれでさ、まあ大抵、箱の中身はガラクタだったりするんだけど、まれに、凄まじく高価な物が入ってるときもあって、討伐でこの箱を手に入れると、結構な高値で取引されるんだ」
「ええー?」
 箱は、開けてみなければ中身がわからない。
 高い金を出して、ガラクタを掴まされたとしたら損ではあるが、もしも高価なものが入っていた場合に、買値の何倍もの儲けが出ることもある。もちろん、自分で使用するという手もあるだろう。
 つまりが、当たりが出たらラッキーというギャンブル感覚なのだ。
「感謝祭だからね。それは、一応感謝の印。いつも色々、ありがとう」
「え、色々って……」
 ララクセルズは、キョトキョトと箱とシイナを見比べる。
「色々は色々だよ。それはオレが修道院跡地で拾ってきたやつだからさ。遠慮せずに受け取っておきなよ」

 いつも色々、なんて。
 感謝なんてされるような事をやっているかな、と、ララクセルズは思う。
 それに。

「あ、あのさ」
「うん?」
 あのさ、と言ってしまってから、後悔する。
 でも今一番、聞いておきたいことでもあった。
「シイナはその、オレと一緒にいて窮屈だったりしないのか?」
「窮屈?」
「えーと、ソルダムとコーラスが、シイナはひとりでいたがってた、みたいなこと言ってたから」
 遠慮がちなララクセルズの言葉に、シイナはああ、と苦笑する。
 またあいつらは余計な事を、とでも思っているのかもしれない。
「ま、あいつらの言ったそれは間違いではないけどさ。……ん、前に、修道院跡に単独出かける理由ってのは、言ったことがあったかもしれないけど」
 それ以外にも理由はあってね、と、シイナはララクセルズから視線をはずして、賑わう広場へと目を向けた。
「ちょうど君と出会った頃。あの時は、オレも自分の存在意義みたいなのを模索しているときだったから」
「存在意義?」
「うん。オレにも以前は、一緒にモンスター討伐に出かける相棒みたいなヤツはいたんだよ」
 ソルダムとコーラスに、そのことは聞いた。
 その詳細を、隠すこともなく話してくれようとするシイナに、ララクセルズは黙って頷いた。


 彼は、魔法を得意とするウィザードで。
 大魔法も平然と駆使する素晴らしい技の持ち主ではあったけれど。
 それ故にか、個性的かつ繊細な精神の持ち主でもあって。
 あまり他と馴染めないというか、極端を言ってしまえば、この世の中自体と馴染めないような、そんな印象を他に与える人でもあった。
 偏屈で、我儘で、でも正義感は強くて、けれどわが道を行くその精神は、多くの者には理解され難い。我儘であるがゆえに、理解されようと努力もしない彼の心は、どんどん世界から置いて行かれる事となり。
 それでも理解し合っていると思っていたシイナに、彼は別れを告げた。
「多分、今度オレが傷を負ったり死にかけたりしたとしても、お前の魔法では治癒することができない」
 彼はシイナに、そう言った。

 モンスター討伐は、命懸けだ。
 危険と隣り合わせだからこそ、プリーストの治癒能力は必要不可欠である。

 けれどそれは、生きようとする意志があればの話。

 シイナがアインブロックでシドクスを助けることができなかったように、生きる気のない者、生きる力のない者に、聖職者の治癒魔法は効かない。

 彼は、自分がいつ死んでしまってもかまわないと、シイナにそう言ったのだ。
 世界も自分も、もうどうでもいいのだと。
 彼は、全てを棄ててしまっていた。
 だから、そんな自分の姿を見せるのも、そんな自分にシイナが巻き込まれるのも本意ではないからと。
 シイナは「そうか」とだけ言った。止めようもなかった。

 その日を境に、彼はシイナの前から姿を消した。
 その後、彼を見たという噂すらも、一度も聞くことはなかった。


「今ではもう、どこかで死んでいてもおかしくはないよね」
 クスクスと困ったように笑うシイナ。
「……」
 ララクセルズは言葉がみつからない。
「オレはずっと一緒にいながら、彼が世界に絶望していくのを止めることができなかった。すべてを捨て去ることを留まらせる、足枷にすらなれなかった。――その程度の、相棒だった」
 彼が一番心を許していたはずのシイナ。そのシイナですら、彼を止めることはできなかった。
 自分がどんなに強く誰かを思ったとしても、何も変えることができないなら。
 足枷どころか、邪魔にしかならないのではないか。
 そんな自分が、誰かと共にあることに、意味なんかないんじゃないのか。
「シイナ!」
 思わず叫ぶララクセルズに、シイナは笑いかける。
「わかってるよ。極論だ。どうしようもないことって、誰にでもある。そしてそれが、自分の価値にすべて繋がるわけじゃない。生きていくのに理由なんてないかもしれないけど、理由を見出すことだって、絶対にできないってことじゃない。今は、そう言える」
 そう、言えるようになった。
 ララクセルズに会って。
 だから、その出会いに、シイナはとても感謝しているのだ。

「それ、開けてごらんよ」
 シイナは、ララクセルズが手に持つ箱を指差して促した。
 ガラクタがほとんどだけどね、と笑うシイナに、ララクセルズも笑みをこぼし、箱の蓋に手をかける。
 どんなものが出てくるのかとほんの少しわくわくしてしまい、なるほど高値で取引されるわけだと納得する。

 開いた箱の中には、一輪の花が入っていた。

「……うわ」
「ははは。本当に見事にハズレだ」
 何の変哲もない小さな花に、シイナは笑う。
「でも、結構かわいい花だぜ?」
 ララクセルズも笑いながら、その花を箱から出す。根もないたった一輪の小さな花が、この箱の中で今まで生きていたのは不思議だ。
 視界を彩る、明るいオレンジ色の花。
 大した価値もなくてゴメンな、と、さして申し訳なさそうでもなく言うシイナに、しかしララクセルズはありがとう、と返した。
「帰るまで枯れないといいな。ちゃんと活けてやろうぜ」
 律儀なヤツだな、と、シイナはまた笑う。
 生きていくうちには色々とあるけれど、この笑顔は本物なんだよな、と、ララクセルズは、そう思った。
 それが自分と出会ったせいであると、シイナが言ってくれるのなら。
 その思いにこそ、感謝を。
 そしてこれからもずっとそう思ってもらえる自分であり続けようと、そんな風に、思った。


 しかし、ララクセルズが持ち帰ったこの花。
 これが、意外なほどの生命力だった。
 一輪だけ差した花瓶の中で、いくつかの花をつけ。茎の半ばから、小さな根までもが姿を現した。
 それを見たララクセルズが鉢に植え替えると、それはしっかりと土に根付き、数を増やして。
 アインブロックの、決してきれいではない空気の中でもすくすくと育つ強い花を、もう少し増やしたら、街の人にも分けてあげようと、ララクセルズは考えていた。

 それは、シイナがララクセルズに感謝する気持ちのように。
 アインブロックという街を愛する気持ちのように。
 少しずつ街の中へと広がって行き。


 埃と煙に包まれるこの街に、いずれ、たくさんの花を咲かせるのだろう。





==椎名の呟き==
長いわ!
いつもの倍だわ!
途中で切ろうかとも思いましたが、なんか半端なので、一挙掲載と相成りました。
というわけで『感謝祭』もこれで最終話となります。なんつうか、半端感が否めませんが、終わりです! お付き合いありがとうございました。
青い箱はねー。本当に花が出た時の実際のガッカリ感ときたら(笑)。
小さな箱の中から、時折槍だの鎧だのが出てくる不思議(笑)。

次回作は、ROはお休みしてオリジナルに戻ろうかなとか考えてたんですけどね。
予定は未定というか、ある程度の骨組みはあるんですけど。
ちょっと、お休みをいただくかもしれません。ちょっとだけね。

★『感謝祭』最初から読みたい方はこちら★
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2008.08.06

 ベタな大団円で、物語は幕を閉じる。
 女性聖職者のナリで奔走していたシイナが最後のシーンでまとっていた衣装は、純白のウェディングドレスだった。
 言わずもがな、聖騎士との結婚式だ。
 騎士役を演じていた彼女が、最後にウェディングドレス姿のシイナを横抱きに抱き上げるという力技をもって、この舞台の終幕とした。
 それは盛大な拍手と笑いを取った、大聖堂初の舞台となった。

「劇の主演二人が、中庭でお披露目してるって話だぞー!」
 劇が終わってざわついていた客席で、誰かが叫んだ。
 叫んだその人も大聖堂の聖職者であるらしく、ノリノリな雰囲気だ。主演二人の普段の姿もよく知っているのだろう。
「格好の見世物だな……」
「気の毒に……」
 呟くソルダムとコーラス。しかし、顔は笑っていた。
「これは、見に行くしか!」
 喜び勇む二人。
 傍で見ているララクセルズは、しかし冷や汗をかく思いだった。
「黙ってこっそり観劇してたこと、バラしていいのかなあ……」

 中庭でウェディングドレス姿であくせくしていたシイナは、三人の姿を見て、一瞬で顔色を変えた。

「お、お、お前ら……ッ」

 シイナはドレスの裾を両手で掴むと、三人の方へと物凄い形相で駆け寄ってきた。
「見たなあ――――ッ!?」
「うわッ」
 その勢いに思わず半歩下がる三人だったが、シイナはまず、コーラスに狙いを定めたようだ。
 おののくコーラスのこめかみに、ぐわっと両の手のこぶしを当ててぐりぐりと動かす。
「イタイイタイ痛ーいッ」
「ララクをそそのかしたのはお前かァ――!!」
「ちがッ、オレはッ、そりゃここまで連れてはきたけど、彼は最初から痛ァ――ッ!!」
「ふうん……」
 言い訳をするか、と、シイナはクールダウンした眼差しで、コーラスを見てニヤリと微笑む。
「抱き上げろ」
「えっ!?」
 一瞬何を言われたのかわからず、コーラスはシイナの顔をマジマジと眺めてしまう。
「許してほしかったら、オレを抱・き・上・げ・て・み・ろ。非力な聖職者である彼女にも出来たことが、お前に出来ないとは言わないよなあ?」
「ば、馬鹿にするなよ」
 これでもコーラスは本物の騎士だ。相手が男であろうが、人ひとり抱き上げる事くらいは造作もない。
 シイナの意図がわからないまま、コーラスはシイナをよいしょ、と抱き上げた。
 するりとコーラスの首にまわした腕を、シイナはもぞもぞと動かし始めた。
 コーラスの頬に、首に、背中に。
「ちょっと、シイナ、くすぐった……」
「落としたら、タダでは済まないと思え」
「えぇ――――!?」
 低レベルないじめだ。言っている間にも、シイナはさわさわとコーラスの身体をまさぐる。
「やーめーろ――――ッ!!」

「…………」

 これまでシイナのこんな姿を見たことがないララクセルズは、驚きを隠せない。
 自分と接する時には、多少意地の悪い発言があったとしても、ここまでだったことはない。コーラスが「自分はいじめられてばかりだ」と言っていたが、今なら成程と納得できる。
「ま、コーちゃんはああいう役、だからなあ」
 ララクセルズの横で、ソルダムが笑顔で呟く。
「役?」
「コーラスはすーぐああやってシイナにつっかかるからな。シイナも遠慮なくあんな風にしてるけど。かといって、君やオレに対する態度が猫を被ってるのかというと、そういう訳でもなくてなー」
 ま、あれはあれでいいんだよ、とソルダムは楽しげだ。

 コーラスの腕から下りたシイナが、のそのそとララクセルズの許まで歩いてきた。
 舞台用のメイクだけは落としているが、ドレスが微妙に似合うというか、それでも笑えてしまうその姿に、目をそらすべきかどうか。
「なんだって、これだけの人の中で偶然出会っちゃうかなー」
 眉間に皺を寄せ、口をとがらせるシイナ。
 三人がここまで来てしまった経緯を、コーラスから聞き出したらしい。
「悪かったよ……でもそんなにむきになって隠すほどのことでもないじゃないか」
 それでも半笑いなララクセルズに、シイナはドレスの裾をグイ、と持ち上げる。
「ララクは自分のこんな姿、オレに見せたいと思うか!?」
「あー、それはー……」
 確かに、と笑うしかない。

「オレの時と随分な差じゃないかー。やっておしまい!!」
 怒り心頭なコーラスの声と共に、数回のフラッシュが焚かれる。
「!?」
 カメラを構えていたのは、大聖堂の聖職者の面々だ。
「ちょっと、こら! お前ら! それ寄越せ!!」
 追いかけようとするシイナの前に、大聖堂室長であるテルーザが歩み寄った。
「これは大聖堂の歴史の一端となるイベントの記念ですから」
 にっこりと微笑むテルーザの後ろから、騎士の扮装をしたトリーシアも歩み出る。
 表情を引きつらせるシイナの肩をグイ、と抱き寄せ、満面の笑顔が男らしい。
「さあ、記念写真をどうぞ」
 テルーザの一声は、聖職者でありながら、悪魔の囁きのようだった。

 気の毒に……。
 このイベントを必死で隠そうとしていたシイナの気持ちが、少しだけわかったララクセルズだった。





==椎名の呟き==
ミッドガルドにカメラってあるのかなーと思った椎名ですが、アインブロックの空港にいたキリシュとか、記念撮影に応じてくれたりしたから、あるんだろうなと(笑)。
次回でこのお話最終話にできますかね。
一応その予定なのですが、今のこのお話書き下ろしなので、はみ出たら持ち越しになりそうなんですけど、どうだろう(ぇー

★『感謝祭』最初から読みたい方はこちら★
★『Beautiful World』最初から読みたい方はこちら★


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プロフィール

椎名シイ

Author:椎名シイ
 
オリジナル&二次小説、ボカロKAITOやゲーム感想や普通の日記をとめどなく。
一部微妙に腐女子向けかも!

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