オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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Vol.12 コーラス・ブレイド ~お猿さんといっしょ

2006.12.30

 冬の寒さがちょいとこたえる森の中に、たちこめる白い湯気。
 湯煙だ!
「温泉がある!」
「オレいちばーん!」
 シイナ早ッ!!
「ここにもあったんだなあ……」
 今通っている森の中に、湯の湧いている場所がいくつかあるのは知ってたけど。
 崖崩れでちょっとルートを変えていたから、今目の前に温泉があるのはラッキーだ。湯の沸くポイントが点在しているんだろうな。きっと。
「ところで、この湯安全だよな?」
 シイナがフンフンと鼻を利かせながら、湯を覗き込む。
 見た感じ安全そうに見える湯だが、正真正銘安全だ。この辺の土地にはおかしな毒性は無いし、刺激の強い泉質でもない。
「ほら、あそこ」
 指を差してやった先では、耳長猿の大家族がゆったりと湯に浸かっている。ここいらでは良く見られる光景だ。十数頭が一列に並んで、ひとつ前の仲間の福耳を掴んで引っ張る光景は壮観だね。行動の意味はわからないが。一説では情愛の証だとかなんとか。
「なるほどね。じゃあオレ入っちゃっていい?」
「どうぞ」
 シイナ、温泉珍しいのかな。まあひとりだったらヒョイヒョイと高速移動できるらしいから、何日もかける旅なんてしたこと無いのかもしれないけど。
「コーラス、一緒に済ませるのはやっぱりまずいか?」
 何を言います、この人は。
「それはまずいだろ」
「まあそうか……変なモンスターやら変な人間やらに襲いかかられたら、フォローのしようがないもんな。素っ裸で戦闘して凍死したくない」
 それ以前の問題もあるんですが。
 ポイポイと服を脱ぎ捨てていくシイナに、慌てて背を向ける。
「お前な、自覚無いのかよ。一応女だろ。今までずっとそんな調子だったのか」
 ザブン、と湯の波打つ音が聞こえる。
「そんなわけ無いだろ。別にお前は知ってるんだから問題ないだろ」
 あるっつーの。
 例え中身がオレ様だろうが男だろうが、外側はれっきとした若い女だってのに。オレはたとえこれがかーちゃんや姉や妹だったとしても、一緒に風呂に入るのは遠慮するぞ。兄弟はいなかったけどさ。
「いいから浸かっとけ。何なら泳いでもいいぞ」
 背を向けたまま言えば、おかしなヤツだと言わんばかりのため息が聞こえる。
 ザブン、バシャバシャバシャ。
 ホントに泳いでるよ、あの男は。

 もういいぞーと声をかけられて振り向けば、長い赤毛をギュウギュウと絞り上げるシイナが目に入る。あれ、冷気で凍ったりしないのかな。
 ボン。
 一瞬髪が舞い上がって、一瞬で水気を吹き飛ばした。
 魔法って便利だね……。

 オレは別に躊躇する理由も無いから、さっきのシイナ同様、さっさと服を脱ぎ捨てて湯に浸かる。
 あー、やば、極楽。
 ヤツのように泳ぐ趣味の無いオレはただゆっくりと湯を楽しむ。
 けどこれはこれで問題あるというか、ああ、だんだん集まってきた。リスやらネズミやらの小動物が。
 彼らも温泉は大好きで、大抵は岩場や縁に器用にしがみついてプカプカ浮いているのだけど、こうやって大人しくしていると、良い足場が出来たとばかりにたかられる。まあ、オレはリスやネズミは襲わないし食べないからね。

 しばらくまったりと湯を楽しんで上がれば、すぐそばに座り込んでいたシイナが。

 ……寝てるよ。あぐらをかいたまま、器用に。

 そんなに疲れてたかなあ?
「おーい、シイナ」
 肩を揺さぶってみれば、ガクガクと首を揺らしたあと、そのまま地面に倒れこんでしまう。うう、おまえそんな、バカ面さらして平和そうに。
「シイナってば。おい」
 揺すっても揺すっても起きやしない。ちょっと、幸せそうですらあるんだけど。

 どうするんだ。
 まだ日も高いから、進めるところまで進んじまいたかったのに、ここで足止め喰らうわけ? でももうすぐ、街も見えてくる頃合なんだけどなあ。
 ……仕方ない。
 シイナを引きずり起こし、木に寄りかからせて、そのまま背負った。地べたにへたり込んだ人間を背負うのって、想像以上に大変なんだぞ。しかもこれだけ動かしてもまだ寝てるし。寝つきがいいにもほどってものがないか、シイナさん。

 シイナと荷物を背負ったり抱えたりしたまま、足場の良くない森を歩き続ける。
 なんだかな、けっこうきついんですけど。
 つうか、まだ起きないんですけど。
 オレは深々とため息をついた。
「これで本当は精霊石なんて無いんだって知ったら、シイナどんな反応するかなあ……」

「なんだと!!!」

 ガバリと、背中で寝こけていたシイナが跳ね起きた。
「テメエ、やっぱりたぬき寝入りか!!」
「……!!!」
 嘘だよ、もちろん。精霊石はちゃんとあるけどね、多分。
「騙したな!!」
「怒る前に歩くのをサボるな!! 大変ナンだぞこっちは!!」
「か細い女ひとり背負うくらいで何言ってる、軟弱者!!」
「それだけ筋肉つけて、か細い言うな!! 結構重いんだよ、男女!!」
 ひとしきり言い合って、お互い肩で息をする。
 ……何やってんだろうね。オレたち。
「わかったよ、そんなにお前が軟弱な男だったんなら、オレも悪かった。じゃあおあいこにしようじゃないか」
 オレの背中から降りたシイナが、数歩前に歩み出た。
 そのまま身をかがめて、微妙に男らしい笑顔で振り向く。
「さあ、おぶされ!」

「……」
 無理です。
 いくら中身が男でも、その、外見も男のプライド的に。





==椎名の呟き==
ここのとこ、どうも漫才みたいですね。
一応まったりがメイン(?)の話なんで、割とこんなノリだと思って下さると……(殴

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