オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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04 Beautiful World ~鋼鉄の都市01-3

2007.10.08

ROシドクスクエストにつきネタばれ有り、ご注意願います。


 初めて降り立ったその都市の、あまりの視界の悪さにシイナは驚いた。
 原因は街全体を覆う煙だ。大小あわせ無数の工場があるらしいこの都市の、南に位置する大工場が主にこの煙を吐き出しているらしい。煙と砂塵で空気は枯葉色に染まり、その遥か上空に広がる空をも、朱の色に変化させている。
 ジュノーからの飛行船の乗り心地は快適だったが、一歩外に出たらこの状況。殆どの街行く人の顔が、マスクに覆われているのも頷ける。
「どこに何があるのかわかりにくいなぁ……」
 初めての土地の上にこの視界の悪さ。当然空気も良いわけがなく。慣れるには時間がかかるだろう。空港から出たばかりの路上で、シイナは途方にくれた。

「この街は初めてですか?」

 ふいに側方からかかった声に、シイナは驚いて振り返った。
「私はこの街の案内員としてここに常駐しております。質問等あれば承りますが」
 厚手の制服に身を包んだその男は帽子を目深に被り、この街の案内員特有の、口まで覆い隠すフードで顔を半分も隠しているせいで、人相ははっきりしない。意志の強そうな瞳だけが、印象的だった。
「それはありがとう。この街の宿泊施設の場所を、とりあえず教えて欲しいんだけど」
「ホテルがここから東に行った場所にあります。この道を左に折れて、その先を右に行っていただいた、広場に隣接した場所に。機関車のターミナルがあるからわかりやすいと思います」
 なるほど。確か隣村のアインベフへの交通は機関車だけのはずだから、その駅の近くにホテルがあるなら移動はしやすい。
「アインベフへの汽車は、いつでも使えるのかな?」
「ダイヤは細かいはずですから、長いことお待たせすることはないでしょう」
 そうか、とシイナは頷く。
「しかし忙しい方ですね。ここへ着たばかりでもう隣村の話ですか。この地に慣れていない観光客のようですから、まずはマスクでも購入することをお勧めしますが」
 おや?
 案内員の言葉に、シイナは隠れたトゲを感じて首をかしげた。
「その高価そうなお美しい衣装も、晒して歩いては汚れてしまいますしね」
 ……やはり、トゲがある。
「確かに空気は良くないな」
 コホン、と咳ひとつした後で、シイナは深紅の布で口許を覆う。
「!! オレのマフラーをマスク代わりにしないでくれ!」
 グイ、と腕を振り上げて、案内員はシイナの口許の布を払い落とした。
「……失礼な客人だな」
 シイナがその口を覆ったのは、案内員が顔まで覆っている赤いマフラーの端だった。
「失敬。呼吸に具合のよさそうな布だったものでね。まあ失礼はお互い様ってことで」
 サラリとしたシイナの嫌味にカチンときたらしく、案内員はその眼光を鋭くしてシイナを睨みつけた。
「アンタみたいな観光客が増えてきて辟易しているよ。物見遊山でロクな準備もせずに訪れて、挙句に身体に悪いだの見る場所がないだのと文句ばかりを残していく。その何もない場所に遊びに来る金の余裕があるなら、他の観光地にでも行けばいい」
 フン、とそっぽを向く案内員。なんと聡明なことか。シイナ的には結構面白かったりもするのだが、これでお役目が務まるのかとこちらの方が不安になってしまう。
「その失礼な他国に大々的にアインブロックへの門を開いたのは、ほかでもないシュバルツバルドの方だがね。ああ、でも君個人に国の方針についてどうこう言っても仕方のないことだな。他の観光客の事を言われても私には関係ないのと同じくらいにね」
 楽しそうなシイナの言葉は、案内員の神経を逆撫でするには充分だったが、それと知っていてやっているのだから、シイナの方も始末に終えない性格をしている。
「案内員なんて接客業を続けて行きたいなら、我慢を憶えるのも必要な事だと思うがね。案内ありがとう。助かったよ」
「ちょっと、アンタ……」
 ニヤリと笑って歩き出したシイナの背中に言葉を投げかけた案内員だったが、それ以上は追っては来ないようだ。勝手に持ち場を離れるわけにもいかないのだろう。


 どこもかしこも錆びたような印象を受ける道を歩きながら、シイナは思う。
(確かに観光向けではない街だな)
 観光のために空路を開通させたわけではないのだろうが、初めてその存在を知る場所が表立ってくれば、当然好奇心旺盛な観光客も増えてくる。彼らが飽きるまでは騒がしく、そして飽きられればポイ、だ。
「まあ、あの案内員がヘソを曲げるのもわからなくはない、か」
 しかし、どう迎え入れられようが、シイナはこの街とその周辺を調査して、結果を大聖堂に報告しなければならない。観光を厳禁されているわけではないが、まあ仕事半分であるから、そうそうのんびり遊んでいるわけにもいかない。

 ――ホテルに部屋だけ取って、先にアインベフに行ってみるかな。

 アインブロックの基盤となった炭坑の村、アインベフ。アインブロックに住む多くの労働者は、もともとはアインベフの出身である者が多いと聞かされている。
 村の様子でも見て住人に話を聞いて、それから外を探索でもしてみるかなどと、頭の中で算段を立てながら、シイナはホテルへのチェックインを済ませ、アインベフへと向かう汽車に乗り込んだ。





==椎名の呟き==
アインブロックという街は、個人的にとても好きです。
景色が茶色くて赤くてねw
ミッドガルドにはない飛行船なんかも街中にあって、その際上部に上ってぼんやりすると気持ちがいい~♪

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