オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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06 Beautiful World ~鋼鉄の都市02-2

2007.10.22

*ROシドクスクエストにつきネタばれ有り、ご注意願います。


 ビンデハイムの濁った色の瞳は、シイナのエメラルドの瞳を真っ直ぐに射抜く。だがそのまなざしは、シイナではなく別の誰かに向けられていた。
「オレたちは、一緒に見つけただろう? ……あの不思議な鉱石をさ。未知の鉱石の発見で、オレたちは手を取り合って喜んだじゃねえか。よお。あの鉱石は上に取られちまったが、そんなのかまいやしなかったさ。その後あの鉱石は二度と見つからなかったけどよ、けど、それでも良かった。オレたちの中に、でかい発見をしたって歴史は残ったから、それだけで良かったんだ。なのに、なあ、お前は……お前は……」
 シイナの襟を掴むビンデハイムの手が、ブルブルと震えた。ガツリと、襟を握った拳がシイナの首に押し付けられる。
「痛……ッ」
「お前はオレたちを裏切った!!」
 ビンデハイムの目が、怒りに燃えた。
「オレたちみんな、お前を信じてた! お前から、あの鉱石がまた発見されたと聞かされた時も、オレたちは誰ひとりとしてお前を疑ったりしなかった。だからみんなで、お前の言う場所を夢中になって掘り返したじゃねえか。だがそこに、何があった? なあ、何があった!?」

 自分は貴方の仲間ではないから、わかるはずがない。

 喉元まで出かかった言葉は、口にしなかった。ビンデハイムの神経を逆なでするだけのような気がしたからだ。
「……何も無かったよ。何も無かった! 代わりに起こったのは、あのでかい落盤だけだ! オレたちはみんな巻き込まれた。助かったのはオレだけだ。だがオレが助かったことも、お前には想定外だったんだろう!? オレたちの命を金で売ったんだからなァ!!」
「クッ……」
 言い募りながらギュウギュウと首元を締め付けてくる手が苦しいが、酔った老人を払いのけるのも気が引ける。しかし。
 どんなに怒りをぶつけられても、罵られても。自分はビンデハイムの眼差しの奥の誰かではないのだから、謝る事も、弁解する事もできない。けれど、それをわかってもらう事もできないとなると、ではどうすればいいのかなんて、さっぱりわからない。
「……私は、その人ではありません!」
 わかってもらえないと思いつつも、それだけを言うのが精一杯だ。

「あの日から、オレがどんな思いで……オレはお前を許さない! 復讐すら誓ったんだ!! その命をもって償え、シドクス!!」

 シドクス。
 やはり、初めて聞く名だった。

 グイ。
 後ろから肩を引かれて、シイナは仰天した。
 振り返ったシイナの視線の先には、ふくよかな体格の初老の女性の険しい顔がある。
 シイナの襟をガッチリと掴んで放さなかったビンデハイムの手を、女性は慣れた手つきで自然と解く。
 あれだけ締め上げられて自由を奪われていたというのに、こうも簡単にそれを開放できてしまうとは。慣れているとしか思えない。ならば、この女性が慣れてしまうほどに、このビンデハイムはいつもこんな調子なのだろうか。
「アンタ、こっちにおいで……!」
 酒場の従業員であるらしい女性に引っ張られて、シイナは酔っ払った男から引き離された。あれほど食らいついていたビンデハイムだが、もう椅子に崩れるように座り込んで、テーブルに突っ伏してブツブツと何かを囁いている。

「旅の人だろう? あの人に捕まったら長いから、気をつけなよ」
 やはり、これはいつもの事であるらしい。
「すみません、助かりました……あの……?」
 戸惑うシイナの腕を引いて、女性はビンデハイムの視界に触れない位置にあるテーブルまで導いた。
「奢りだよ、飲みな」
 手近なタルから注いだ果実酒を目の前に置かれる。あまりに自然な動作だったので、シイナも自然に頭を下げてしまった。
 別にビンデハイムの事はこの酒場の責任という訳でもないから、当然この女性にも酒を奢ってもらういわれはないのだが、他人の好意は素直に受け取るシイナだ。
 ガタンと音を立てて、女性はシイナの向かいに腰掛けた。片肘をテーブルについて、その手で頬杖をつく。
「普段はグダグダに酔いつぶれてるだけの人なんだけどね。時々発作的に、ああいう風になっちまうのさ。アンタも災難だったね」
 注がれた果実酒をクイとあおりつつ頷くシイナ。
 空気や水の良くない場所で美味い酒は出来にくいものかもしれないが、安っぽいこの果実酒はシイナの好みと良く合った。何においても安物好きなシイナの性格が、ここでも発揮されている。
「あの人は……ビンデハイムさんと言っていましたが。何かあったんですか?」
 シイナの質問に、女性は訳知り顔でため息をついた。





==椎名の呟き==
たまには月曜日以外にも更新できないものかね、椎名さん……?

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