オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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9 Beautiful World ~鋼鉄の都市03-2

2007.11.17
*ROシドクスクエストにつきネタばれ有り、ご注意願います。

 案内員は、壁に向かう形で設えられた机のそばの椅子を引くと、ドッカリと腰を下ろした。シイナには中央付近にあるソファを勧める。
「ありがとう。……えーと?」
「ララクセルズ」
「そう。私はシイナ。ルーンミッドガッツの首都プロンテラ大聖堂に籍を置いているプリーストだよ」
 案内員――ララクセルズは、へえ、というようにあらためてシイナを見つめた。この辺ではあまり見かけない聖職者という人種が珍しいのかもしれない。

「……あの時は悪かったよ。最初にアンタを案内した時。オレから喧嘩をふっかけた」
 俯いたその顔を、シイナは少しだけ目を見開いて見つめた。
「いや、私も乗ったからお互い様だけど。随分御機嫌ナナメだったようだね?」
 シイナの言葉に、ララクセルズは自嘲気味に微かなため息をつく。
「ちょうどその直前に案内した客が、おかしなヤツらでさ。来るなり強いモンスターのいる場所はどこだとか、もっと便利な道具を売っている店はないのかとか、文句ばかりつけられて。大体、観光で来ている奴らみんな、警報が出ても避難もしないでモンスター相手に暴れまわってるし――そう、街の外に出て行く連中もさ、あからさまに楽しそうに、まるでモンスター討伐が目的みたいに、意味もなくモンスターを倒しまくってるような奴らが目立ってたんでさ。アンタの国の人間ってのは、よほど好戦的な人種なのかと思うくらいで」
 ルーンミッドガッツの国が、魔法や戦闘に長けている国で、そこに籍を置く冒険者の多くが各所に出かけてモンスター討伐を生業にしていることは、知識としては知っていた。しかし、これまでそれを間近で見る機会がなかったララクセルズには、彼らのその行動が理解しがたかったのだ。
 シイナは肩をすくめた。
「確かに、目に余る奴らってのはいるものなんだよね。それはこっちも悪いかな。けど……まあ、ね」

 自分たちが生きる道。

 誰もが、当たり前のように選び、進んでくる道。
 誰もが、時々ジレンマに心を支配されながら。
 それでも。

「世界中各地を横行するモンスターってのは倒しても倒してもキリがないものでさ。多分一生かけても終わることがなくて……いかにも楽しそうに狩りをしてるように見えるんだけど、ん、まあ実際楽しんでる人間もいるんだけど――楽しむくらいの気持ちでなきゃ、やってられない時もあるんだ。申し訳ないとは思うけど、少しだけ大目に見てもらえるとありがたい、かな」
 ララクセルズは、存外に素直に頷いた。
「今はわかるよ。さっきアンタ、モンスターに遭っても全然動じてなかったもんな。そういう能力に長けていて、そうやって生きているんだって事が、良くわかった。冷静に見てみれば、他の観光客だってみんなそうだった」
 お互い、初めて知る国の事だ。最初は理解しがたいのも無理はない。
 二人は、苦笑を投げかけ合った。
「もっとも、だからこそ気にいらないヤツでもいた時には、一発くらいブン殴ってやっても動じやしないから大丈夫だよ」
 あははは、とシイナが笑うのに、ララクセルズは呆れた表情を向けた。
「アンタ、可愛げな顔してけっこう口悪いなぁ」
「可愛げはやめてくれ……」
 さっきアインベフで老女に女性と間違われて「娘さん」などと声をかけられた事も、けっこうへこんだりしているのだ。昔から、シイナはその容姿について、女の子のようだとからかわれることが多い。本気で間違われることは滅多にないが。
「はは、それはすまない。……ああ、警戒が解かれたようだな」
 そう言われて窓から外を覗くと、相変わらず煙で視界は悪いままだったが、若干見通しが良くなり、モンスターの姿はいずこかに消え失せていた。
「そうか。じゃあそろそろおいとまするよ。世話になったね」
「オレも持ち場に戻らないとな。またわからないことがあったら声をかけてくれ。今度はちゃんと案内するからさ」
 顔を覆っていたマスクをはずした彼の、本心からの笑顔。

 ――真面目でいいヤツなんだな。うん。

 ララクセルズの言葉に、ありがとう、と言い置いてシイナは外に出た。相変わらず空は最初に見たときと変わらず、朱に染まって本来の色を失ったままだったが、それでも先ほどよりは遥かに呼吸しやすい。
「ホテルに帰らないとな……」
 休みたいと思っていたのを、ふいに思い出した。次から次へと何かが起きて、今日は忙しい。何もない一日よりは有意義かもしれないが、そんな呑気な事態でもないような気がするし。
 まあいい。とにかくホテルだ。

 石とコンクリートと鉄板で出来た道を、シイナは歩き始めた。





==椎名の呟き==
いやもちろん、楽しくて狩りをしているんですけどね? 紛れもなくw

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