オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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11 Beautiful World ~鋼鉄の都市04-2

2007.11.26

*ROシドクスクエストにつきネタばれ有り、ご注意願います。

「失礼します……」
 小声で呟いて、その扉を開ける。
 先ほどベッドの上にいた老人は当然ながら見間違いなどではなく、未だにそこに横たわったままだった。
 が、その頭が微かに動き、シイナはピタリと動きを止める。

 ――目が覚めたのかな?

 できれば面倒な説明など無しに、そっと部屋をあとにしたかったのだが。
 ググ、と鈍い動きでうつぶせの頭が動き、皺の刻まれた顔が、こちらに向いた。その目蓋は微かながら開かれている。
「あ……」
 やはり、目を覚ましたのだ。
 どのように説明したものかと、シイナは逡巡する。老人にしてみれば、鍵をかけたはずの自分の部屋に、見知らぬ男が忍び込んで来たようにしか感じられないだろう。
「あの」
「もう嗅ぎつけられたのか……目標を目の前にして、私の命もここまでか……」

 何?

 意識がまだハッキリしていないのだろうか。再び目を閉じた老人は、うわごとのようにひとりごちたが、シイナの姿をしっかりと捉えようとはしていないようだった。
「あの……?」
 何だか物騒な物言いが聞こえたような気がしなくもない。
「これも因果応報か? ……ビンデハイム……」

 ――え?

 今、彼はなんと言った?
 ビンデハイム。確かに目の前の老人は、そう呼んだ。
 その名前は、アインベフで知ったばかりの、あの名前だ。シドクスという男の罠にかかり、仲間を失い正気さえ手放してしまった、あの老人の。

 なぜその名前を? って、答えは決まっている。

『アインブロックで、シドクスを見かけたって噂が立ってるのさ』

 酒場で聞いた言葉が、鮮明に脳裏を過ぎる。
 彼が。シドクス?
 そんなまさか。
 偶然の同じ名だろうと。心の隅を過ぎる思考があるが、そんな訳はない。目の前の老人は、因果応報という言葉も、発したのだ。
 たまたま同じ部屋を取ってしまった、本来何の接点もないはずのこの老人が。
 特に面倒ごとに係わり合いになりたい訳でもないし、係わり合いになる可能性も低いだろうと思っていたのに、どうしてよりにもよって、こんな偶然?
 それとも、これもめぐり合わせ――なのか。

 今このまま知らぬフリをしてしまえば、それで終わりだ。何も無かったような顔をして、このままホテルを出てしまえばいい。厄介ごとに巻き込まれる必要はない。
 けれど。
 シイナは、静かな動作で後ろ手にドアを閉めた。
「……あなたが、シドクスさんですか」
 シイナの言葉に、老人ははっとしたように、顔を上げた。そこに立つのが見知らぬ男だとわかって、ブルブルと首を振って、枕に顔を押し付けてしまう。
「いえ、いえ違いますよ。ええ人違いですよ。私はシノータスといいます」
 違う違う、と、老人は枕に突っ伏したまま首を振り続けた。
 だがもう、遅い。
「アインベフで、ビンデハイムさんに会いました」
 その名に、老人の動きが止まる。
「私はこの件の関係者ではありません。ルーンミッドガッツの大聖堂から派遣されてきた者です」
 恐る恐るといった体で、老人はそっと枕からはずした顔を、シイナへと向けた。
「……君は、私を殺しに来たのではないのか」
「違いますよ」
 すぐに老人の言葉を否定してから、シイナはふと考える。
 シドクスは、何者かに命を狙われているのか? 炭坑夫たちを殺害した連中と結託していたのは、シドクスの方ではないのか。だが目の前にいる老人からは、殺気も危機感も何一つ感じない。本当にただの疲れた老人、だ。
「私はアインベフで偶然ビンデハイムさんの話を聞いただけです」
「聞いた、だけ……」
「はい。ビンデハイムさんと、酒場のご婦人から、炭鉱の事件の事を。だから、貴方の名前を知っていた。それだけです」
 観念した老人は、力の抜けた顔でベッドの上からシイナを見上げた。
「なぜ君は、私の居場所がわかった?」
 シドクスの言葉に、シイナは困ったように頭を掻いた。別にシイナがシドクスの居場所を突き止めたわけではない。第一シドクスを探す理由がない。すべては偶然である。
 最初から話したほうがいいだろうと、シイナは口を開いた。

「そうか……」
 シドクスは深く頷いた。部屋のダブルブッキングなどという変なめぐり合わせに、彼も苦笑しているようだ。
「シイナくん。何故君は、私に声をかけた?」
 シドクスの問いかけに、シイナはほんの少し神妙な顔つきになった。
「私は――真実が知りたいと思ったんです」
「真実?」
「何故炭坑夫たちが命を狙われなければならなかったのか。姿を消したあなたがどうしてアインブロックを訪れたのか」
「……」
「謎の鉱石とは、一体なんなのか」
 シドクスは弱々しく首を振る。
「興味本位で聞くような話ではない」
「……」
 そんなシドクスを、シイナはただ見つめる。視線を外すことなく。
 そんな風に口を閉ざすシドクスだったが、どこか、何というか、この件に関する話を、聞いて欲しがっているような、そんな気もしたのだ。けれどそれを躊躇わせる深い事情が、あるのかもしれない。何人もの命を奪った事件の、渦中にいた人だ。
「貴方が話してもいいと思うなら、話して下さい」
「君の、命を脅かす事になるかもしれない」
「……」
 それを知ってしまえば。
 つまり、そういう事だろうか。
 けれど、それでも。
 知りかけてしまった事の真実を抱く人間を目の前にして、何事もなかったかのように身を翻す事ができるほど、シイナは器用な人間ではない。
 命を危険にさらすような事態には、過去に何度も遭ってきた。
「それでも、です」
 シイナの言葉に、シドクスは目を閉じてため息をついた。諦めとも失意とも――逆に決意とも取れる深いため息。
「ひとつ、確認したい」
「はい?」
 シドクスの低く小さな声に、シイナも神妙な眼差しを向ける。
「君の知り合い縁者で、この件に関わっている者はいないか?」
「いません。アインベフで過去の事故の話を聞いた事のある人はいるでしょうが、少なくとも私の周りで、この件に関する調査をしている者は、誰も」
 シイナだってついさっきまでは、この件にこんな風に関わろうという気など、さらさらなかったくらいなのだ。シドクス本人と、出会ってしまうまでは。
「……そうか」
 それでは運命に任せて引き受けてくれるか。私の抱えているこの謎を。
 そう言って、シドクスは静かに口を開いた。

 異国の聖職者を前に、まるで懺悔でもするかのように。





==椎名の呟き==
クエストの進行上仕方のないことですが、シイナ思い切りが良すぎw
命は大事にしてください(切実)。

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