オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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12 Beautiful World ~鋼鉄の都市04-3

2007.11.30

*ROシドクスクエストにつきネタばれ有り、ご注意願います。

 シドクスは確かに、金を詰まれて仲間の命を売った。

 細々とした収入でその日その日を暮らしている炭坑夫にとって、それは目もくらむほどの大金。言い訳も出来ないほど真っ正直に、シドクスは仲間よりも富を選んだのだ。
 なぜあの時鉱石を発見した炭坑夫が命を狙われるのか。それはシドクスも未だに知らない。だが自分がその事を依頼されていなければ。誰か別の人間がその役を負ったとしたら、自分こそが仲間と共に葬られていたかもしれないのだ。どこに迷う必要があるだろう。

「しかし、それは甘すぎる考えだった」

 自分だけが助かるはずが、なかったのだ。
 自分は”彼ら”の手駒。彼らが直接手を下す必要がないようにと、選ばれた人材。
 約束された金が支払われることはなく。シドクスもまた、彼らに命を狙われる立場となった。役目を果たしたがゆえに、もう用済みなのだと。そして彼らに関わったからには、誰よりも最優先で抹殺しなければならない人物であると。

 そして、彼の、長年にわたる逃亡の旅が始まった。

 何故、こんなことになった。
 仲間も死に、自分も居場所を奪われ。
 仲間を売ったのは、確かに自分だ。それは言い訳しない。だが、どうせそれがなかったとしても、仲間も自分も死んでいた。何故、どうして。

 あの鉱物が原因なのか。

 あの不思議な石を発見して、すべてが変わってしまった。
 すべては、あの石が。

「その鉱石とは、一体何なんです?」
 シイナの言葉に、シドクスは弱々しく首を振る。
「それは私にもわからない。そして、それこそが私のもっとも知りたい事でもあるんだよ。だから私は、この街にやってきた」
「何故?」
「私は随分と長いこと逃げて逃げて、大陸中を逃げ回った。何年も何年も。だが最近になって、その鉱物がアインブロックに運び込まれたという噂を聞いたのだよ」
「アインブロックに……」
 それで謎はひとつ解けた。なぜ今になってシドクスがアインブロックに姿を現したのか。
「けれどそれは、あなたにとって危険な行為ではないんですか?」
 謎の鉱石がここに運び込まれているという事は、それに関わる人間もここに集結するという事だ。
「もちろんだ。だがどうせ私はいつでも追われている身だからね」
 何年もたったひとりで逃げ続けたシドクス。しかし、腑に落ちない謎もある。なぜそれほどにひとりの人間に執着しなければならない?
「いつも追われているからこそ、それほどまでしなければならないその物体が何なのか。私もそれが知りたいのだよ」
 結局その鉱石が何なのか、何の目的があるのか。シドクス自身何もわかっていないのだ。
「だがここまで来て、私の身体も限界を迎えてしまった」
 シドクスの口調が重くなった。
「すっかり弱ってしまってね。せっかくここに最大のヒントがあるかもしれないのに、もう身動きすることさえ、ままならない」
「シドクスさん……」
「シイナくん。もしも君が鉱石の正体を知りたいのであれば、それは間違いなくここにある。”彼ら”がこの辺をうろついているのを見た。情報は確かだった。だがこれは、命に関わる事だからね。……良く考えた方がいい」
 シイナが関わろうとしているこの件は、想像以上に尋常でない何かが裏に潜んでいた。それは、この事を知っている人間の命にも関わる事で、シイナは既に片足を突っ込んでしまっている。これ以上進むなら覚悟が必要で、誰にも相談もできない。

 ――誰も、巻き込みたくないなら。


 コンコン。
 ドアをノックする音に、シイナたちはギクリと視線を動かした。
「あの、シイナ様、シノータス様? よろしいでしょうか?」
 ホテルのフロント係だ。
 そういえばシイナは、荷物だけ取ってくると言い残してこの部屋にやってきたのだった。すっかり失念していた。シイナが降りてくるのが遅いので、何かトラブルにでもなっているのではないかと心配したのだろう。
 シイナが慌ててドアを開けた。
「あの、シイナ様、お話はどのように」
 シドクスとシイナが何事かを話している様子を見て取って、従業員は恐る恐るといった体で進行状況をうかがってきた。
「その事ですが」
 口を開いたのはシドクスだ。
「後からこの部屋に入ったのは私ですしね。どうも私も体調が優れないので、治癒療養に長けている聖職者の彼がいてくれれば、助かるのですよ。ホテル側に都合が悪くなければ、相部屋という形で収められればと、今話していたところなのですが」
「シド……シノータスさん……」
 自分の頭の中にぼんやりと形作られていたシナリオを、シドクスがスラスラと代弁してくれたので、シイナは驚く。
 従業員は、姿勢を正して二人を見つめた。
「基本的に当ホテルはツインもしくはダブルの作りになっておりますから、今回はこちらの不手際という事もありますし、もしもお客様がそれでよろしいのでしたら、それはもう……」
「それでは、そのようにお願いします」
 最後はシイナがそう告げた。
 それでは、と従業員が扉を閉めて去った後で、シイナはシドクスに向き直った。
「それで良かったんですか?」
「君だって、そのつもりだったんじゃないか?」
 確かにその通りだ。
 はじめは老人に部屋を譲るつもりでいたシイナだが、それがシドクスだと知って、そして彼と話をして事情が変わった。
「明日になったら鉱石について調べに出ますが、それまではここにいることにしますよ。ホテルの中だって、決して安全地帯じゃない」
 シドクスは過去に仲間の命を奪うような真似をしたが、いま命を狙われているのは彼である。過去の事件と今現在の状況は、まるで別問題だ。日がな一日張り付いている訳にもいかないし、シイナに何が出来るという訳でもないが、あまり長いことひとりにはしたくない。
「君も、外で夜明かしをするのは危険すぎるからね。窮屈ですまないが」
 だが、決心をしてしまったか、と、シドクスは少し哀しそうな表情になった。
「君が私のように、一生追われるような事態にならなければいいが……それはあまりにも過酷で、辛すぎる人生だよ」
 それを実際に経験したシドクスの言葉は何よりも重い。
「――後悔、していますか」
 シイナの言葉に、シドクスは目蓋をきつく閉じた。
「しているとも。私の周りには、誰もいない。誰にも心を許せない。許したが最後、その人物にも刃は向けられる」
 そんな誰かが、シドクスにもいたのだろうか。

 シドクスの眼差しは、どこか遠くへと、向けられていた。





==椎名の呟き==
この話でのシイナって、なんか自分で知らないうちに、でかい墓穴掘ってるタイプなんじゃないかな……w
しかもそこに片足突っ込んだ時にハッと気付いて、まあいいか、と両足入れちゃう、みたいな。

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