オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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13 Beautiful World ~鋼鉄の都市04-4

2007.12.07

*ROシドクスクエストにつきネタばれ有り、ご注意願います。

「私はね、アインベフを後にしたばかりの頃、この街に逃げ込んだことがあるんだよ。その時に、ひとりの料理好きなブラックスミス――鍛冶屋に会った」
 シドクスは、ゆっくりと語りだした。

 変わり者の彼だったが、そのブラックスミスはシドクスにとても良くしてくれた。逃亡に疲れた身体を介抱し、おいしい料理を食べさせ、彼を励まし、匿ってくれた。自分の息子と言ってしまってもいいくらい歳の離れた男だったが、彼のそばは、とても居心地が良かった。
「だが……」
 シドクスは、俯く。
「私と一緒にいたせいで、彼の背後にも不穏な動きを見せる輩が動き始めた」
「不穏な動き?」
 反芻するシイナに、シドクスは頷く。
「私と共にいる『誰か』が存在するという事は、その誰かに、私から秘密が漏洩するかもしれないという事だ。私が馬鹿だった。私は自分が命を狙われているあの時に、ひとところに留まり、誰かと共に過すなどという事をしてはいけなかったのだ」
 シドクスの所在はすぐに知れ、シドクスを助けてくれたその人物にも、監視の目が向けられようとしていた。
 だからシドクスは。
「だから私は、彼にも何も告げる事無くこの街を逃げ出すしかなかった」

 あれから何年が過ぎ去ったか。

 シドクスの眉間に、深く皺が寄せられた。
「どうせ私はもう長くは持たない。だから、ここで一目彼に会っておきたかったのかもしれない。このホテルに逃げ込む間際、広場で旅人に料理について熱弁を振るう彼を見たよ。……元気でいてくれた。相変わらず威勢が良かった。きっとその優しさも変わっていないんだろう……もう二度と話しかけることもできないが……良かった。本当に良かった」
「シドクスさん……」
「シイナ君。彼には、アークには、何があっても私の事を話さないでくれ。話せば彼は、その命を投げ打ってでも、私を助けに来てしまう」
 アークという名のその人物に対する、シドクスの思い。
 切実な、シドクスの願い。
 シイナは頷いた。頷くしかなかった。

 双方が命を懸けて相手を守ろうとしていたとして、守られてしまった方は、なんと不幸なことだろう。守りたいのは、自分だって同じはずなのに。そのアークという人物がこの事を知ったら、きっと烈火のごとくに怒るのだろう。
 けれどシイナは、シドクスの気持ちも痛いほどにわかってしまった。
「私がしでかしたのは……こういう事なんだよ。私だけの問題ではない。アークも、そしていま君も。関わるものすべてを巻き込む、最悪の行動だった。罪を犯した私はどうなってもいい、などと……それで済む問題なら、よほど簡単だった」
 シイナは頷いた。
 シドクスの、過去の自分の犯した過ちに対する分析への、肯定の意。
 けれど。シドクスの言う事は、確かに間違ってはいないけれど。
「でもね、シドクスさん。あなたの行動が最悪なら、その後ろに控えている連中のやっている事は何ですか? もっともっと、最悪なことではないですか? それはたとえ今のあなたや私では無理でも、必ずいつかは誰かが、明らかにしなくてはならないことではないですか?」
 そのための一歩を自分が踏み出せるのなら、私はそれをやります。
 シイナは言い切った。

 ――シスター・テルーザ。
 今更ですが、身軽な私をここに派遣してくれたことに感謝します。
 あなたの言ったことは、正しかった。

 おかげで私は、何を省みる事もなく、こんな厄介ごとに足を踏み入れる事ができる。

「シドクスさん」
「なんだい?」
 殺人と呼べるだろう。シドクスの行為は。
 それによって、どれだけの人間が命を落としたのか。そして、その何倍の人間が、大切な者を失って泣いたのか。
 大黒柱を失って、生活に困る者もいただろう。いつもそこにあった笑顔が消えて、途方にくれた者もいただろう。
 一瞬で命を失った者は、きっと自分以外の誰かから、愛されていたはずだ。
 その誰かから、愛する者を奪った。
 その罪は、決して軽くはない。
 けれど。
「後悔は、ある程度のところでやめておきましょう。誰だって間違えるんです。そしてそれが、取り返しのつかない事態を迎える事だって多々あります」
「シイナ君、しかし」
「ですが、あなたがそれを認め悔いた時に、許されない罪なんて絶対にないんです」
 許されるとか許されないとか、誰がそんな事を決めるのか。誰が許そうが、犯してしまった罪を、その事実を帳消しにすることなんて、神様にだって出来ない。
 けれどそれを悔いる彼は、一生その罪を背負ったまま生きていくのだ。それ以上の責め苦など必要ないんじゃないかと、シイナはそう思ったのだ。罪は絶対に消すことができないからこそ、許すという救済が必要なのではないかと。
「明日私は、鉱石のことを調べに行きますよ。誰に強要された訳でもなく、自分自身で決めてね。それについてあなたが自分を咎める必要はまったくありません」
「シイナ君……」
「もう休んでください、シドクスさん」
 それでも何事かを言おうとしていたシドクスだったが、シイナに身体の上から上掛けを掛けられておとなしくなった。身体を動かすのもままならない彼が、長いこと話し込んでいたのだ。疲れるのも無理はない。

 シドクスが目蓋を閉じたのを確認して、シイナはソファに静かに腰掛けた。そして深いため息をひとつ。
 明日になったら。
 どの辺りから調べをつけたらいいか。
 そんな事をぼんやりと考えるシイナの頭上にも、夜の帳がひっそりと降りてきていた。





==椎名の呟き==
シドクスさんは見かけによらず情熱的。
とか思ったのは、私だけでしょうかねえ。
いや、ここでそれに輪をかけているのは、他でもない私ですが(爆)。

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