オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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14 Beautiful World ~鋼鉄の都市05-1

2007.12.14
*ROシドクスクエストにつきネタばれ有り、ご注意願います。

---5ララクセルズ

 次の日の朝早く、シイナはまだ眠っているシドクスをそのままにホテルを出た。
 広場に差し掛かったところで、意外な人物を目にして立ち止まる。

「シイナ!」

 ヒョイと片手を上げて、その人物は歩み寄ってきた。
「ララクセルズ?」
 知り合ったばかりの案内員。
 どうしてここに、と質す前に、ララクセルズは笑顔で口を開いた。
「今日は非番なんだよ。シイナが良ければ、いいトコに連れてってやるけど」

 ――これは、また。
 昨日の今日で、なんとマメな男か。たまたまちょっと話をした旅人のために、非番の日に朝っぱらから出かけてくるとは。昨日の侘びのつもりか、はたまたこれで結構シイナのことを気に入ったのか。
「いいトコ?」
 街全体を見下ろせる展望台があるんだよ、と、ララクセルズは言った。
「展望台……」
 好都合かもしれない。
 この街に鉱石が運び込まれたといっても、それがどこにあるのか皆目見当もつかなかったところだ。まずはじめにしなければならない事は、どこに何があるのかを正確に把握することだ。
 この場面で渡りに船、というのも何気に失礼な話かもしれないが、ここは好意に甘えるべきではないかと思う。
「じゃあお願いするよ」
 シイナが言うと、ララクセルズはよし、と早速歩き始めた。いちいち細かいことを考えないでさっさと行動を始める性格は、シイナと似ているかもしれない。


 展望台の受付に着くと、ララクセルズはシイナを振り返った。
「リンゴ付きとそうでないの、どっちがいい?」
「は?」
 素っ頓狂な声をあげるシイナに、ララクセルズはおかしそうに笑顔を見せた。
「高見の見物といえば、リンゴだろ。リンゴ付きなら見物料は20ゼニー、そうでないなら10ゼニーだ。どっちでもオレの奢りだけどな」
 見物にリンゴが付き物かどうかはわからないが、地元の人間が言うなら、そうなのかもしれない。それに、彼の奢りだと言うなら。
「じゃあリンゴ付きで」
 シイナの素直な言葉に、調子いいな、とララクセルズは笑う。この地に来てから奢られてばかりのシイナだが、まあ20ゼニーならいいだろうと、お言葉に甘えることにする。

「はあ、これは確かに街中見渡せるな」
 シイナは素直に感嘆のため息をついた。煙で視界は良くないが、展望台から見渡す景色は、地上で見るそれよりも遥かにハッキリと見通すことができた。
 そして受け取ったリンゴを袖でゴシゴシと擦ると、シャリ、と一口かじりつく。
「うわ、ホントに食ったよ」
 驚くララクセルズの言葉に、シイナは顔をしかめる。
「せっかくもらったモン、食わなくてどうするんだよ」
 展望台ではリンゴだと言ったのは、ララクセルズではなかったか。
「いやそうなんだけどな、えーと、ナイフとか取り出して皮でも剥きはじめるんじゃないかって思い込んでたから」
 どうも何か、誤解があるようだ。
「君が思うほど、私はいいお育ちじゃないよ。大体モンスターの討伐中だったら、その辺に生えてるものだって適当に食べるぞ」
「……意外」
「子供の頃から大聖堂でまかないはやらされたから、そういう事も多少はできるがね。面倒だしあまり得意でもないし、素材は丸ままが一番楽だ」
 展望台の柵に手を付くシイナを、ララクセルズが見つめた。
「子供の頃って、シイナ、両親とは別々に?」
 素直な疑問だ。シイナはララクセルズの方へと向き直った。
「両親はいないなぁ。私は大聖堂の裏の墓地で生まれたからね」
「は!?」
「いや冗談。でもまあ、墓地に落ちてたらしいよ。もちろん私は憶えてないが」
 落ちてたって、そんなあっさりと。
 まずい事を訊いたかなとでも言いたげなララクセルズの微妙な表情に、シイナは苦笑した。
「神妙になるなよ。大聖堂では珍しくないさ。あそこで聖職者なんてやってるのは、そういう身寄りのないのが多いしね。もちろんそうでないのもいるけど」
「あんたの国って……」
「首都ならではさ。人が集まるだけに、そういう事も多いよ。それにプロンテラ大聖堂に置いていけば、確実に拾われるのがわかってるからね。生活苦に悩む人間は多いから、それも自然なことだ」
 家族は多いよ、とシイナは笑ってみせた。
 血の繋がった家族がいないなんてことは、まるで問題にもならない。生まれた時から大勢の家族に囲まれて、そんな家族の記憶しか、シイナにはないのだ。
「プロンテラでそれを気にする人間は誰もいないよ。私にしたって、大聖堂の人間たちは優しいやら厳しいやらで、それだけでおなか一杯胸一杯。幸せなもんさ」
 その言葉に、嘘はひとつもない。

 あっけらかんと笑うシイナの言葉に、ララクセルズは呆れたように、けれど少し安心したようにも見える表情で、ため息をつくのだった。





==椎名の呟き==
シイナが大聖堂裏の墓地で生まれたっていうのは、本当の話ですけどね。
だって、キャラ作成時に聖職者の職業を選ぶと、墓地に転送されるんだもん(笑)。

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