オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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15 Beautiful World ~鋼鉄の都市05-2

2007.12.21

*ROシドクスクエストにつきネタばれ有り、ご注意願います。

「でもなあ」
 ララクセルズは、しげしげとシイナを眺める。
「アンタみたいな聖職者ってのは、みんな上流階級かと思ってたよ」
 彼の率直な見解に、シイナは笑いがこみ上げてくるのを感じる。
 ギリギリのところで、声を立てずに済んだが。
「そんな事ないない。私なんか、大聖堂から派遣されてるってのに、ここに来るのにも全額自費で、持ち金すっからかんだよ」
 それでも今日生きていくくらいの金はすぐに稼げるのが、冒険者と名の付く人種のいいところだ。まあそれも、ある程度生きる要領を得ている人間の話だが。

「金はないが、旅はできるよ。いつも行ってる修道院跡地なんて、ゾンビの巣窟で凄いよ。今日の礼に、今度連れてってやろうか」
「遠慮するよ……」
 渋い顔を見せるララクセルズに対して、声を立てて笑うシイナ。もちろん本当に連れて行く気など、さらさらない。モンスターが大挙して押しかけてくる修道院跡地に行くなんて、彼に死ねとでも言っているようなものだ。

 一瞬、シイナは目を伏せる。
 ほんの、一秒ほど。

「修道院にはね。死んでも死に切れなかった者が、沢山集まってくる。あそこにいるモンスターは、ほとんどが不死者ばかりなんだよ。で、不死者ってのは聖なる属性に弱いから、それを持つ私たちプリーストは、そういう場所でなら単身乗り込んでモンスターを討伐することもできる」
「へえ……」
 ララクセルズから見ても、シイナのような聖職者は戦う力に恵まれていないように見えるから、それは意外な事実だったらしい。心底感心しきった顔をしている。
「他の観光客みたいに、他の誰かと一緒に出かけたりはしないのか?」
 ララクセルズがいつも見る観光客たちは、何人かの団体で行動している人間が多かったように思う。どこかにモンスターの討伐に出るという時は尚更だった。
 けれどいつも行く修道院に、単身乗り込むということは、つまりシイナはいつもひとりで行動しているのだろうかと、ララクセルズは解釈したらしい。そしてその解釈は、まあ正しい。
「たまにはそういうのもあるけどね。そういう場合は当然、純然たる攻撃職の人間をフォロー支援する方にまわる。これで案外支援者ってのは、討伐パーティには欠かせない存在だったりもするんだ。だからまあ、普通は力のない聖職者はそうやって誰かと戦うものなんだがね」
 そうやって誰かと、戦うものなんだが、ね。
 シイナは自嘲気味に肩をすくめた。
 聖職者とは、戦う者たちを支援するためにいるようなものだ。不死者が聖職に弱いから単身闘うことが出来るが、本来聖職者は、そんな事のためにいるのではない。
「修道院に執着しつづける不死者はさ。一体何を求めてあそこにいるんだろうと、そういう風に思ったりするんだよ」
 歴史の中に埋もれようとしている、滅びの古城、グラストヘイム。そこに生きて生活する者はなく、薄闇に包まれた城壁の内側には、生あるものを阻むように、無数のモンスターたちがひしめきあっている。
 その古城跡のほぼ中央に、修道院跡はある。
 廃墟となった修道院の闇の中で、彼らは何を祈るのか。どうしてそこに、集まるのか。死してなおこの世にしがみついていなければならない何かを抱えて。
 それは怨念か、この世に対する未練か、それとも他の何かか。
 そんな彼らを、シイナは倒すことで浄化してきた。これまでそれこそ、何千体という数の不死者たちを。
 浄化――いや、はたして本当にそうだろうか。
 シイナがこれまで倒してきた彼らの魂は、どこに、何に向かって旅発つのか。そこには何があるだろう。何も無いかも、しれない。
「死者を眠らせることも、生きている仲間を護ることと同じくらい、大切な事だと自分を納得させてここまで来たよ。けどそんな大義名分を抱えてさ。要は、この世に留まり続けようとする彼らを手当たり次第消滅させてるだけの話だよね。そんな自己満足な討伐に、誰かを連れて行ってはいけないような、そんな気がしてたんじゃないかと思う」

 多分、理由はそれだけでは、ないけれど。

 ララクセルズは、首をかしげた。
「なにがいけないんだ? それって凄いことじゃないのか?」
「うーんまあ、自分の闘いに自分なりに誇りを持ってはいるね。けどまあ、結局キレイ事ではないな。彼らを倒すことで、彼らの存在を自分の強さへと変換して。彼らを倒せば倒すだけ、当然経験も増えて強くなっていくからさ。だから、自分の強さのためだけに乱暴に狩りまくる連中も確かにいる。そして多分、そう言う私も大差ない。――うん。君が最初に言ったような、奇麗な衣装なんかではないんだ、これは。これまで倒してきた彼らの恨みも呪いも憤りも、咆哮も流れる血も。それこそ何もかもをあまさず染み込ませてきた」
「ちょっと、ちょっと待てよ」
 ララクセルズは、言い募るシイナを遮るように身を乗り出した。
「なんでそんな風に言うんだよ。オレが、昨日あんな事言ったから……」
 シイナは慌てて首を振る。ララクセルズを困らせたかったわけじゃない。
「違うよ、違う。ごめん、愚痴みたいな言い方したな。別に後悔してるわけでも、この日常がイヤなわけでもないよ。実際むしろ楽しんでるくらいなのが、まあ君のカンには障るかもしれないけど」
「う……それは、アレだよ……」
「いや、いいんだ。単に、あらためて因果な商売だなあ、と思っただけでさ」
 こんな事をベラベラとしゃべるつもりではなかった。これまでにだって誰にも話したことなどないし、普段いちいちこんな風に理屈を考えながらモンスターを狩っている訳ではない。
 ララクセルズがまっすぐに疑問を投げかけてきたものだから、ついこれまでの自分の生き方を振り返って整理してしまったのかもしれない。
 ルーンミッドガッツではそれが当たり前の生き方だったから、誰もそれについて深く考えたりはしていない。だから、これまでこんな風に話す機会などなかったし。なるほど、そういう意味でも、外交というのは考える以上に大切なものなのかもしれないと思う。違う角度からの視点というのも、時には必要なものなのだろう。

「でもシイナは、そういう風に考えてるとしたって、その生き方を変えようとは思ってないんだろ?」
「うん。正しいとか間違ってるとか、そんな事はどうせ私たち人間には判断できないんだし、究極にそんな明確な答えがあるものなのかもわからないしね。結局人間は、人間にとって良いか悪いかで動くことしかできない。もっとも悪いとわかってても、そうにしか動けない人間もいるけどさ。だから、正しくても間違っててもさ、まあ乱暴な言い方をしてしまえば、結果はどうあれこれが私の生き方、だ。これまでの過去を悔いてるわけじゃない」
 迷うつもりなんて、ない。
 どこにも答えがないのなら。

「……」
 シイナの言葉に、ララクセルズはふと視線を外す。
 それは、何かを探している時の眼差しに良く似ている。
 そんな風に、シイナは思った。





==椎名の呟き==
いや……純粋に楽しいんですよ……修道院狩り……w

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