オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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16 Beautiful World ~鋼鉄の都市05-3

2007.12.28

*ROシドクスクエストにつきネタばれ有り、ご注意願います。

 遠く広がる景色をただ見つめるララクセルズ。その瞳は何事かを考え整理しているようにも見える。
 少しの間彼が黙ったままだったから、シイナも口をはさまずその場に佇んでいた。
 ややあって、ララクセルズは口を開いた。
「オレは立場が違うから無責任な事は言えないけどさ……だからやっぱりこれも個人的な意見だけど。シイナは、間違ってはいないだろ」
 シイナの言葉を、思考の中でずっと噛み砕いていたのか。
 少しの間で、けれど色々考えていたのだろう。ララクセルズはゆっくりと、言葉を選んで組み合わせるようにしながら呟いた。
 それがたどたどしく見えてしまったものだから、シイナはつい微笑む。
「どうしてそう思う?」
 その口調と笑顔が自分を子供みたいに扱っているように感じたのか、ララクセルズは一瞬ふくらみかけたが、それを今表に出してしまうのも大人気ないと思ったのだろう。居住まいを正して、口を開いた。
「不死者を消滅させてって言うけどさ。それこそオレたち誰でも、必ずいつかは死ぬだろ。どんなに未練があろうが生きていたかろうが、それは絶対に避けられない事で、受け入れなきゃならないものじゃないか。死してなお何かにしがみつこうとしたって、そこには掴めるものなんて何も無い」
 その言葉に、シイナはほんの少し、目を見開く。
「本来行くべき場所に導くことを、悪いように感じる必要なんてないよ。胸を張って威張ってたっていいくらいだ」
 自分の言葉に答えを得たように、うん、と頷くララクセルズに、シイナは今度は本当に明るく笑った。
「あーやっぱりそう思う? 私もそう思ってたんだよねー」
 がくり。
「おーい……」
 笑顔のまま、シイナは柔らかく目を伏せる。
「そう思ってはいるけど……人から言ってもらえると、安心するもんだね」
 行くべき場所なんて、本当はないのかもしれない。
 ただ消滅するだけなのかもしれない、けれど。
「……」
 言葉につまったように、ララクセルズはそのままそっぽを向いてしまう。
 昨日会ったばかりの短気な案内員は、そうは見えないけど実はとても、懐の深い人間なのかもしれない。

「君はいつでも、そうなのかな」

「は?」
 出会ったばかりの見知らぬ男の言葉を真剣に聞いて、その疑問も不安も、何もかも一緒に考えて。まったく関係のない他人の事なのに、こんなに一生懸命になって、まっすぐに答えを導き出そうとする。
 いつもこんな風なのだとしたら。
「君に救われる人は多いだろうね」
「へ?」
「いや。ひとりごと」
 鋼鉄の敷かれた通りと鉄板を打ち付けられた壁。トタンを敷き詰めた屋根とそこを這う煙。そんな中で余裕なく働き生活する人々の社会の中でも、こうしてあたたかいと思える気持ちを持つ人間は生まれるものなんだなと思う。
 いや、そういう風に労働を尊ぶ人の中にあってこそ、なのかもしれない。
 シイナはそのままクルリと振り返り、再び煙に包まれる都市を見下ろした。
「こうして見てみると、さすがに工場は多いな」
 柵から身を乗り出すシイナの隣にララクセルズは立った。
「そりゃあ、鉱石加工に製鉄にと、それぞれ用途も違うしな。一番の大工場はあそこだ。アインベフから移住してきた人間が、多く働いてる」
 ララクセルズの指差す先では、言葉通りの巨大な工場が大量の煙を吐き出している。

 ――あそこにある、なんてことは……。

 ふとシイナは謎の鉱石の行方を考えた。
 大工場であるなら、鉱石が運び込まれた可能性もなくはない。しかし一般の労働者も数多くいる施設のなかに、極秘らしい鉱石を運び込んだりするだろうか。
 シイナの視界の端に、小さな建物が映った。
「あれってなんだ?」
 工場よりも南、街の一番隅っこに隠れるように佇む建物。良くは見えないが、周りに鉄線のバリケードが張り巡らされているようにも見える。
「あー、あれな。何かの研究所らしい。けど一般人は立ち入り禁止になってるし、出入りしてるのは変な科学者とかだし、近寄る人間はいないよ。中で何をやってるとか、噂も流れてこない」
「へえ……」
 噂も流れてこない研究所。
 それはつまり、よほどの機密事項を抱えているからではないのか?
 ドンピシャとは限らないが、調べてみる価値はあるかもしれない。
「なんだ? あんなところに用事があるのか?」
 シイナがずっと研究所を見つめていたから、ララクセルズはいぶかしく思ったのかもしれない。
「ん? いやそんな事ないよ」
「そうか?」
「アインブロックやその周辺のことを地質とか産業とか、一般的なことについて調べろとは、大聖堂から言われてるけどね。別に研究所の中には興味ない」
 大聖堂からの使命についてはその通りだ。が、それ以上に、今のシイナは研究所に用事がある。というか、たった今できてしまった。けれどそれをララクセルズに洩らすわけにはいかない。
 ――嘘というのは、思っている以上に胸を痛めるものだ。
「それならいいけど、あそこにはあんまり近づかない方がいいぞ。出入りしてる研究者も、たまに外で見かけても意味不明なことしか言わないような奴らだし、ここ何日か妙にコソコソした奴らも何人か出入りしてる」
 変な研究してるんじゃなきゃいいけどな、とララクセルズは呟く。
 妙にコソコソした奴ら――。
 シドクスが言っていた連中と合致するだろうか。だとしたら、部外者立ち入り禁止と言われるその研究所の中に、炭坑夫たちの抹殺を企てた連中と、その原因となった謎の鉱石が揃っていることになる。
「シイナ、聞いてるか?」
 隣から顔を覗かれて、シイナはハッとなった。
「ああ、聞いてる。そんなに心配しなくても、研究所には近づかないようにするよ」
 シイナの曖昧な笑顔に、ララクセルズは腑に落ちなさそうな顔をしながらも頷いた。シイナは内心であーあと呟く。彼の嘘が苦手な性格がはっきりと出てしまった。
「アンタ、余裕そうに見えて、どうも危なっかしそうでもあるからさ……」
 ――図星かもしれない。
 よもやこんな風にあり地獄にでも嵌まるように、ずるずると得体の知れない事件の渦中に引き込まれるなどと、プロンテラを発った時には考えもしなかった。
 そしてシイナがこういう状況に陥るという現象も、今に始まったことではないのだ。時を選ばずその気もないのに深みに嵌まっていくシイナの性格は、ララクセルズの言うように、危なっかしいものなのだろう。
「君が心配するような、無謀な事なんかしませんよ」
「……ふぅん……」
 納得しているような、そうでもないような、ララクセルズ。
 要修行だなあ、などと、胸の中で呟くシイナだった。





==椎名の呟き==
死んだ者はどこに行くんでしょうねえ。
少なくとも修道院は、倒しても倒してもまた沸いてくるわけですが。横から。
カモン、経験値(爆)。

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