オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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26 Beautiful World ~鋼鉄の都市08-2

2008.03.07

*ROシドクスクエストにつきネタばれ有り、ご注意願います。

 穏やかな瞳を見せたシイナは、穏やかではあるが、強い意志を示してララクセルズを見つめる。
 これだけは忘れてはいけない。
「約束してくれ。アークには、何も話さないで欲しい。君ももう、この件に関わらないでいてくれ。オレもこれ以上は事件を追わない」
 この事がアークに知られたら、彼こそ自分から進んでこの件を追いかけに来てしまうだろう。彼が一番知りたがっているであろうシドクスの事を伝えられないのは、心苦しい。けれど、これだけは。
 そして、結局は自分の至らなさで、ララクセルズは巻き込むことになってしまった。だとしたら、これ以上、彼を危険な目に遭わせるのも、自分が危険に飛び込むのも、得策ではない。
 臆病風に吹かれたわけでも、自分を必要以上に貶めているわけでもない。事実を現実的に受け止めた結果だ。自分はこの件に、これ以上関わるべきではない。
 ――今は。
 そう。そうするべき時が来るまでは。
「……わかった」
 ララクセルズも、頷いた。
 個人でどうにかできる問題ではないと理解したからだ。

「でもオレはお前の知ってることを全部知ってる唯一の人間なんだからな。お前もオレに言わないで無茶なことはするなよ。絶対に」
 ララクセルズに言われてしまうとは、と考えなかったわけではないが、口には出さなかった。無謀なのはお互い様だろう。
「了解」
 シイナが微笑んで答えて、ララクセルズも笑って頷く。

 やっと、笑い合えた。

「帰ろう」
 シイナの言葉に、ララクセルズは少しだけ目を見開く。
「帰ろうって、アインブロックに?」
「他にどこに」
「いや……」
 ララクセルズが逡巡するのに、シイナはまた笑って言った。
「アインブロックの調査はまだ始まったばかりだ。当然それは続けるよ。君も協力してくれよ。それに」
「それに?」
「君はオレに負けないくらい無茶な人間だからね。何しろ重大な秘密を知ってしまってるわけだから、しばらくは心配で目を離してられない」
「また人を子供みたいに!」
 むくれるララクセルズに、だって子供みたいじゃないかと心の中だけで呟いてシイナは笑った。それを突いて楽しんでいる自分も大差ないとは思ったけれど。




 アインブロックに戻って、まず最初にシイナはホテルへと赴いた。つられてついて来るララクセルズは心配しているようだったが、飛び出したままでホテル側に迷惑をかける訳にはいかない。事情聴取で色々と勘繰られるうちに、あの謎の組織に感付かれる可能性がないわけではなかったが、どうにかやりすごすしかない。
 二階は未だ警官隊の捜査で騒がしいようだったが、一階のカウンターにはあのフロント係がひとり佇んでいた。来訪する客に失礼の無いようにとの配慮だろうか。

「あの……」

 シイナが声をかけると、フロント係はシイナへと視線を移した。
「さっきは勝手に飛び出してしまって……」
「ようこそ。初めてのお客様でしょうか?」
「えっ?」
 フロント係は、つと辺りに視線を巡らせた。付近に誰もいないのを確認して、ほんの少しシイナに顔を寄せ、囁くような声で話す。
「せめてものお詫びです。シイナ様の宿泊履歴は、現在抹消されております」
「え……」
「このホテルのあの部屋には、シノータス様だけが宿泊なさっておりました」
「あ……」
 フロント係は、姿勢をピンと正した後で深々と頭を下げた。
「大変心苦しいのですが、当ホテルは現在少々立て込んでおりまして、お部屋をご用意することが出来ない状況でございます。まことに申し訳ございません」
 柔らかな笑顔に、シイナは言葉をなくした。
「シイナ」
 後ろからララクセルズにつつかれた。
「だったらオレのところに来ればいいよ。無料だぜ」
 せっかくの心遣いを無かったことにしなくていい。ララクセルズの視線がそう言っていた。シイナは頷く。
「わかりました。では、またの機会に」
 シイナの言葉に、フロント係はその場面にそぐわぬ満面の笑顔を見せた。
「またのお越しを、心よりお待ち申し上げております――」

 シイナとシドクスとの関わりに、気付いたわけではないだろう。ましてや、シイナが追っている、あの事件のことなど、知る由も無い。
 けれどこのホテルのフロント係は、シイナがホテルの件に関わっていた事を、そっくり無かったことにしてくれた。
 純粋な、厚意のみの判断でだ。
 そしてそれは、彼の知らない、シイナとあの事件との関わりをも打ち消してくれるもので。

 この騒ぎが収まったら、あらためてこのホテルを訪れよう。
 そしてその時には、きちんと声に出して。

 フロント係に背を向けたシイナは「ありがとう」と。
 心の中で、感謝の言葉を彼へと贈るのだった。





==椎名の呟き==
そろそろ「鋼鉄の都市」も終盤ですね。
謎はまったく解けてないんですが;;

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