オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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Vol.15 コーラス・ブレイド ~街の片隅の本屋の片隅で

2007.01.03

 ズルリと棚から落ちかけた本を慌てて押さえて、ふとその背表紙に目が留まる。
 なんだこれ。
「世界のモンスター その歴史と生態……?」
 へえ。
 モンスターに対抗するために、多少の知識は詰め込んでるけど、歴史とかまで詳しく勉強したことがなかったな。こんな分厚い本とか出てたんだ。
 調べる奴っているもんだなあ。
 興味本位でページをめくってみる。おお、モンスターごとに挿絵まで付いてるんじゃん。
「……世界中に生息する生物とモンスターとでは、確実に異なる点があり……そもそも彼らは……」
 うーん、でも歴史っていってもなあ、当面俺には必要ないことだし、結構ここに載ってるの、知ってるヤツが多いなあ。なんて、こんなこと言ってるから勉強不足になるのかもしれないけどさ。

「お前は仕事中に何をやってるんだ……」

 うおっと。
 シイナ、そっと背後に立つな。
 しかめっ面で仁王立ちする赤毛の美少女、すすけた前掛けが似合うんだか似合わないんだか。
 そうでした。今は街の片隅の本屋さんでアルバイト中なんでした。
「ほらシイナ。モンスターの生態だってさ。この前遭ったこいつ、やっぱり水が嫌いだったんだよ。盲点だったなあ」
「どれ? ああ。じゃああんなに手こずることもなかったんだな」
「ていうかよく観察してるよなあ。オレこいつに爪が6本あるなんて初めて知ったよ」
「どれ?」

「お前さんがた……?」

 うおっ!
 今度こそ、うおっ! 雇い主の店主様!!
 たっぷり出っ張った腹と片方つりあがった眉がワイルドで印象的デスヨ。
「サボっているとみなしていいのかね?」
 いや待って、違、いや違くないけど、あのね。
 あたあたしているうちに、シイナがオレを押しのけて、ズイと前に出た。
「すみません! 私、今コーラスにサボっちゃダメよって注意してたんです! でも彼ったら……いえ、ちゃんと止めることのできない私が悪いんですね。ごめんなさい、こんな役立たずで……」
 おいおいおいおい、シイナさんてば?
 そんなシイナの言葉に、店主のオッサンは目尻を下げまくる。
「いやいやいや、わかってるよ、ちゃーんと。シイナちゃんはいい子だ、なーんにも悪くない。坊主の給金半額にして、シイナちゃんに上乗せちゃおうかねえ」
「本当!? いいんですかあ!?」
 何を言ってる、オッサン!
「おいこら待て待て!!」
「一番エライのはワシじゃあ! その決定に不満なんぞ受け入れんぞお!」
「横暴だあ! 何だよシイナ、わざとらしく涙ぐみやがって……」
「コーラス、怖ぁい」
「少女に暴言を吐くお前が横暴じゃあ!」
 横暴に横暴って言われたああ! オレは断固抗議するぞ!!

「……何をやってるんだ、君たちは……」

 うひゃ。
 シイナ、店主ときて、次に背後に立っていたのは。
「あれ、ディク先生」
「おや、ディク先生」
 長身の青年、じゃなくて女性、ディク先生がいつの間にか店内に来ていた。
「随分楽しそうだが、一体君たちは何をやっているんだ?」
「何って、バイト」
「なんでまた」
 そりゃ先生、アナタに薬代払ったら、飯食う金も無くなっちゃったからですってば。
 解毒剤があんなに高いなんて知らなかったよ。オレこれまですこぶる健康体だったし、前に笑い茸食ったのはまだサンレイクにいる時で、自分で薬代払わなかったしさ。
 この先無一文じゃ当然困るし、ここは給金日払いでくれるって話だったから、好都合と飛びついた訳だ。
「先生の知り合いですかい?」
 店主のオッサン、キョトンとしてる。
「知り合いというか……昨日薬を売ったばかりでね。それはともかく、頼んであった本は見つけていただけましたか?」
 ああハイハイもちろん、と、店主は愛想よく頷く。さすが接客業、切り替えが早いなあ。
「お前さんがた、今日はもう仕舞いにしていいぞ。家内から給金もらってってくれ」
「はーい」
 もうそんな時間だったのか。窓の無い店の奥に詰まってると、時間の感覚なくなるな。
 でもこれで今日は、まともな飯が食えるー。


「てかシイナ、お前ズルイぞ。ついでにキモいぞ」
 本屋を出て、開口一番で文句が出てしまった。そりゃーあ、最初にサボってたのはオレだけどさー?
「キモいって言うな」
 ゴツン。痛ェ。最近鉄拳多いぞシイナ。
 彼は人に拳を喰らわせた後で、呆れたように肩をすくめる。
「どうせお前の給金がオレに来たところで、結果は同じなんだからいいだろ。それに女の容姿ってのは、ああいう場面でも使えることがあるって見本を見せてやったんじゃないか」
 良くない良くない。
 それにオレはこの先女をやる予定はないから、見本見せてもらっても困るっての。そんなこと言ってると、お前をずんどこ利用しちゃうぞ。
 ……利用のしどころが、イマイチわからんけど。
「とにかく飯食おうぜ。鍋焼き麺が美味そうな店見つけたんだよ。それに小鳥まんじゅうってのもあって、それもかなり美味そうな」
「金が飛んでくから!」
 またみっつとかよっつとか食うんじゃないだろうな。せっかく稼いだ給金、貯めなくちゃ意味がないだろうがー。
 一体その身体のどこに入っていくんだ、大量の主食と更に大量のデザートは。つうか、まんじゅう愛好家ですか、キミは。
「心配しなくてもひとつにしておくよ、小鳥まんじゅうは」
 あ、そう?
「おごりじゃないしな」
「……」

 もう、絶対、こいつにはおごらない……。





==椎名の呟き==
バイトで終わった……。
いやむしろ、きっとこんなんばっかですよ、この話。

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