オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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29 Beautiful World ~小さな恋のものがたり02

2008.05.07

*RO恋人クエストにつきネタばれ有り、ご注意願います。

 カペルタ家のカーラ。
 もとはと言えば、シイナがその名を知ったのは、街で聞く彼女に関する噂からだった。

 外出させてもらえないらしい、カーラお嬢さん。
 いくら深窓の令嬢とはいえ、日がな一日家の中に閉じこもりきりでいたのでは、身体と心に良くないのではないか、というような話は、以前からところどころで囁かれていた。
 アインブロックは重労働者が中心の街だから、大雑把で気のいい連中が多い反面、労働で成り上がった人間の差別意識も強いきらいがある。
 その気のいい連中の話から察するに、カペルタ家の令嬢がまったく外に出なくなったのは、割合最近の話なのだという。
 空気も環境も良くない街で成り上がってしまった家のお嬢様だから、年頃になってきて、衛生上の事情やら下等な人間と交流させたくないなどという理由で急に外に出してもらえなくなったのだとしたら、それではあまりに気の毒な話だ。それならば、彼女を環境のいいどこかに住まわせた方がよほどいいのではないかというのが大半の意見である。いくら環境に問題があるとはいえ、家の中に閉じこもりきりというのは逆効果のようにも思える。
 アインブロックという街で成功を収めているのだから、家族そろって他の街に移り住むなどということは、カペルタ家の選択肢の中には存在しないだろう。だからといって一人娘だけを他のどこかに住まわせるのには抵抗があるのか。真相は誰も知らない。
 せっかくこの街で一番と言っても遜色ない器量を持っている少女なのに。可愛らしいその姿は、この街での数少ない目の保養でもあったのだ。
 確かにシイナも、カペルタ家の噂だけは良く耳にするが、そのお嬢さんの姿を目にしたことはなかった。シイナがこの街で暮らすようになってどのくらい経ったか。その間一度も外に出ていないというのは確かに……問題があるような気はする。

 そんな折に、シイナは何気なく散歩に出た先で、初めて彼女の姿を目にしたのだ。
 富豪と言われるだけはある、大きなお屋敷。ここがカペルタ家かと納得すると同時に、一階の窓の内側から外を眺める彼女の姿が目に入った。
 カペルタ家は、家は大きいが、それ以外の敷地はほとんど無い。この街の特徴なのか、庭を持っていたり、塀で建物を囲んでいるような一般家屋は皆無に等しい。カペルタ家の建物の隣接した部分には小道を挟んで隣家があり、裏手には少々大きな通りがある。
 その裏通りを歩いていたシイナからは、塀も何もない、手の届きそうな位置にあるカペルタ家の一階の窓の内側にいる少女の姿をはっきりと捉えることができた。

 ふと、目が合う。
 これが噂の絶えないお嬢さんか。

 噂にたがわずきれいな人だと、納得してその場を去りかけたシイナの目の前で、ぴったりと閉じられていた窓がそっと開いた。シイナは自然、足を止める。
「こんにちは。旅人さん」
 可愛らしいのは容姿だけではなかった。その声も歌う鳥のように高く、鈴を転がしたようなという形容がぴったりだ。
「こんにちは」
「ああ、旅人さんではないですね。最近この街で暮らすようになった他国の聖職者さんがいると、父の取引先の人が話しているのを訊きました。あなたですよね?」
 はんなりと笑う彼女に、シイナは曖昧に微笑み返す。閉じこもりきりの彼女にさえ知られてしまうほどに、自分も有名であるということか。確かにこの街で他国の人間が暮らすようになるという変化は、住人にとっては珍しい現象かもしれない。これは迂闊な事はできない。いや、するつもりがあるわけではないが。
「そうですよ。シイナといいます。ところで、窓なんか開けてしまって大丈夫ですか」
 噂から察するなら、悪い空気を吸うのは良くないのではなかったか。そう思って出た言葉だったが、少女はきょとんと目を開いたあとで、おかしそうに笑って見せた。
「ああ……それは大丈夫なんですよ。そうだわシイナさん。もしお時間がよろしければ、うちに上がってお話して行きませんか?」
「え?」
 その提案にはシイナも驚いてしまう。噂に聞く富豪のお嬢さんが、こんなに簡単に知らない人間を家にあげていいものなのか。
「今は父が出かけてていないんです。父は私の交友関係に厳しいですが、母は訪ねてきた人をいきなり追い返すようなことはしませんから、どうかお茶でも飲んでいって下さい。退屈していたところなんですよ」
 退屈していたところというか、一日中家にこもっていたら、いつでも退屈なような気がしなくもないが。
 せっかくの誘いを断わる理由もない。自分の暮らす街の人のことを知るのも、悪くはないだろう。シイナはお言葉に甘えてみることにした。
「ご迷惑でなければ」
 シイナの一言に、少女の表情はパッと明るくなる。
「ありがとう! どうぞ玄関にまわってください。美味しいお菓子もあるんですよ」
 本当に嬉しそうな少女は、すぐにその場から離れて姿を消した。玄関先へとまわるつもりなのだろう。それほどに話し相手が欲しかったのだろうかと、シイナも少しだけ歩を速めて、屋敷の表へと向かった。





==椎名の呟き==
カーラが外出させてもらえないというのは捏造でーす。
親が交友関係に厳しいだけだった気が……。

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