オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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31 Beautiful World ~小さな恋のものがたり04

2008.05.21

*RO恋人クエストにつきネタばれ有り、ご注意願います。

 少しだけ沈んだ空気を払うように、カーラは明るい笑顔をシイナに向けた。
「シイナさんは、こちらへはお仕事でいらっしゃったの?」
「え? ……ああ、うん、そうだね。仕事ついでに、気に入ったからこの街に住み着いてる」
 シイナの答えに、カーラはクスクスと笑った。
「同居人の方とは、仲良くできてますか?」
 カーラの口から意外な言葉を聞いて、シイナは一瞬だけ目を丸くする。
「そんな事まで知られてるのか……まあね、ケンカはあまりしないなあ。色々世話になってるから、助かってる」
 アインブロックの住人のもとで世話になっている事実すら知れ渡っていることに舌を巻きつつも、まあ別に隠していることでもないから普通に答えると、カーラの表情がほんの少し曇った。
「こんな風に他人を受け入れがたい地域にも、そうやって溶け込むことの出来る人はいる……本当はとてもとても、難しいことだと思うけれど。むしろ彼がアインベフではなく、他の国の人だったら、今と同じ財力でも受け入れてもらえたのかしら」
 クルトの話題になってから、ついつい彼を思い出しては思考に沈んでしまうようだ。彼のことが、とても気になっているのだろう。
「カーラさん?」
 シイナが顔色を伺うように覗き込むと、カーラはハッとしたように明るく笑って首を振った。
「なんでもないです。アインベフへ行かれることってあるんですか?」
「あるよ。仕事でも行っていたけど、今は専らプライベートかな」
 アインブロック周辺の調査という大聖堂からの使命でこの地を訪れたシイナだったが、その調査は殆ど終えていて、派遣されていたルーンミッドガッツの人間は、その大部分が役目を終えて国に帰っているはずだ。シイナのようにこの地に居ついている人間は殆どいない。最近のシイナがアインベフに向かうのは、知り合った人間の御機嫌伺いや酒場に息抜きに行くといった用事で、である。
「もしも、もしもアインベフでクルトに会うことがありましたら、カーラからよろしくとお伝えください……元気でいますから、クルトも身体にはくれぐれも気をつけるようにと」
 伏せ目がちに、カーラはそれだけを言う。きっともっと言いたいこともあるだろうし、本当なら自分が会いに行きたいのだろうけど。そればかりはシイナもどうにもしてやることはできない。
「わかった、伝えるよ。もしも彼に会ったら」
 いつアインベフに行くとも、また彼に会うとも具体的に約束したわけではなかったが、カーラはシイナのその言葉だけで、本当に嬉しそうに微笑んだ。

 玄関付近で辺りの片付けに精を出していたカーラの母親に、シイナはお邪魔しました、と声をかけた。彼女は相変わらず勢い良く振り返ると、愛想を振りまくでもなく、本当に他人を見下すように豪快に笑った。
「ああ、お帰りかい。このカペルタ家に上がってもてなしを受けたんだ。他人に自慢してもいいからね!」
 シイナは曖昧な笑みを返す。
「……アインベフが、お嫌いだそうですね」
「カーラから聞いたのかい?」
 シイナの言葉に、母親は気を悪くするでもなく、フン、と片方の眉を吊り上げる。
「私はね、貧乏に甘んじて、そんな狭い世界から抜け出そうとしようともしないような怠け者は大嫌いなんだよ。アインベフの連中はみんなそうさ。娘に熱を上げている冴えない男だって同じ。まあ、このカペルタ家に鉱石やうちの工場の加工品材料でも献上しにでも来れば、同じ下等な人間でも、少しは格が上がるってモンだがね!」
 ガハハハハ、と彼女は笑う。
 財力がないことがイコールで怠け者に結びつくわけではないだろうに。どんなに頑張ったって報われない人間はいるし、最低限の金銭だけで慎ましやかに暮らそうとする者だっている。
 というか、つまり貢物さえあれば、この家での扱いは変わるってわけか? それがこの家での人間の価値なのだろうか。単刀直入にもほどってものがあると思うのだが。
 彼女は取り付く島もない様子で、再びシイナに背中を向ける。
「……それだけの努力をする根性と行動力のある人間が多ければ、アインベフだってもっといい村になってるだろうさ……」
「……」

 気になった。

 カーラの父親がどう考えているかは知らないが、あの母親は。
 本当にお金がないという理由だけで、彼らの仲を反対しているのだろうか。いや、大筋はそうなのだろうが、彼女はクルトに、もっと違うものを求めているような気もする。
 夢を持ち、財を成そうとする者は、皆アインブロックを目指す。アインベフが、その残り物の吹き溜まりだとでも言うような理屈は極端だし、全て彼女の言うようなやりかたで上手くいくはずはないが、彼女の言う事も、まるっきり間違っているというわけではないと思う。
 シイナは街道の真ん中で立ち尽くした。
「……」
 おせっかいだとは思う。
 そこまで自分が首を突っ込む義理はないと思う、のだけれど。
 カーラの俯いた顔と、彼女の母の背中が脳裏をよぎった。
「……ハァ」
 ため息ひとつ。
 シイナはその足で、アインベフへの汽車に乗るためのターミナルへと向かった。





==椎名の呟き==
余談ですが、カーラのお父上は実際には玄関の近くで仁王立ちなさっています。
正面から乗り込むと、ヒットポイントを削られつつ外に追い出されます(笑)。

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