オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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37 Beautiful World ~感謝祭01

2008.07.02

「休み?」
 自分の言葉をオウム返しにしたララクセルズに、シイナは頷いた。
「うん、今すぐじゃないけど、週末に二日くらいまとめて取れないかなって」
「それは調整すれば何とでもなるけど……」
 ララクセルズの仕事は交代制だ。そこそこ定期的に休みは回ってくるが、必ず同じパターンでシフトが回るという事はない。が、最近はそれほど忙しくない事もあって、休みを取るのは難しくない。
「けどなんでだ?」
 当然の質問に、シイナも淀むことなく答える。
「ふた月先に、プロンテラで収穫感謝祭があるんだよ。それで色々な出し物もあって、結構なお祭り騒ぎになるからさ、たまには観光してみるのもいいかと思ったんだけど」
 シイナの言葉に、ララクセルズはへえ、と目を丸くする。
 シイナの出身であるルーンミッドガッツの国には、シイナのワープポータルに乗って一瞬足を踏み入れた事しかない。確かそこはゲフェンとかいう土地だったっけと思う。あの時は一時話をしただけで、どこを見て回るでもなく帰ってきてしまった。
 今更だが外国からひとっ飛びなんて、魔法の力は偉大だ。
 あの都市も随分華やかで、豊かなイメージがあったが、あそこはシイナの生まれた首都よりも、随分静かなんだと言う。
 雑音的なうるささで言えばアインブロックも負けてはいないが、人が賑わい昼も夜も活力に満ちているという首都プロンテラに、いつかは訪れてみたいと思ってはいた。
 シイナの生まれ故郷でもあるし。
「それなら別に大丈夫だよ。二日や三日くらいの休みなら、すぐに取れる」
 収穫感謝祭とはどんなものなんだろう。ララクセルズには経験がない。
 楽しみだなと笑うと、シイナも同様の笑みを返してきた。

 今から一番近いお祭りである収穫祭。プロンテラを観光として巡るなら、ちょうどいい時期だとシイナも思っていたのだ。
 賑やかなあの街を一緒に歩いて案内できそうだと、シイナも嬉しく思っていた。


 が、現実はなかなかそうは上手くいかないのである。


「シスター・テルーザ、それは……」
 シイナは苦虫を噛み潰したような顔で室長の顔を見つめる。
 プロンテラ大聖堂、室長室。
 収穫感謝祭ではそれなりにどこも何がしかのイベントを用意しているもので、大聖堂も例外ではない。だから、そこに所属しているシイナも、そのイベントでは協力を余儀なくされる。
 それはいい。
 それだけなら、予想のうちというか、多少の仕事はあるだろうなと漠然と思ってはいた。
「しかし室長、それは私ではなく、だれか別の人間のほうが……」
 心底嫌がっている素振りを隠そうともしないシイナの言葉を、室長テルーザはぴしゃりと遮った。
「このイベントを担ってくださるプリースト・トリーシアの指名です。ですからこれは、大聖堂の総意でもあります」

(総意って、みんなここぞとばかりに難を逃れてるだけじゃないか!)

 それにしても、トリーシアの指名とは。
 油断した。
 彼女をイベントの中心人物に置く事に、何の異議もなかった。むしろふさわしいとすら思っていた。まさかそれが、こんな結果になって返ってこようとは。

 トリーシアも、生まれた時から大聖堂にいる。同世代であるシイナとは、だから幼馴染で、まるで兄弟のようにして育ってきた。勿論トリーシアだけでなく、大聖堂にはそういう人間が沢山いる。家族のように育った人間は多い。
 厳格な大聖堂にあって、一般的な家族と同じ意味での家族になる事は出来ないかもしれないが、ずっと共にいる慣れ親しんだ間柄の人間が多いというのは事実だ。
 その中でも、シイナとトリーシアは、本当の兄弟のように仲が良かったのだ。
 こんな事になるなら、トリーシアの役目に断固反対しておくんだった。
 が、今更何を言っても遅い。

 反論の余地もなく室長室を追い出されたシイナを、廊下で佇んでいたトリーシアの笑顔が迎えた。
「よろしくね、シイナ♪」
 聡明な美しさを持つプリースト・トリーシアは、腰まである長い黒髪を、優雅に揺らしてお辞儀して見せた。
「トリーシア! 君は私に何の恨みが」
「あら心外。私は私のパートナーとして、もっともふさわしい人物の名を挙げただけだわ。違うと思うのなら、相応の誰かをここに連れてきてちょうだいな」
 そんな事を言って、誰を指名しようがトリーシアは断固として受け入れないに違いない。のみならず、誰を指名しようが、指名された本人が首を縦に振らないだろう。
 すでにシイナは人身御供なのだ。
「人聞きの悪い事言わないでよ……感謝祭は皆で楽しむものよ。協力して頂戴ね」
 にっこり。
 シイナに逆らいようがないのは、テルーザから話を出された時点でわかっていたことではあったが。
 しかし。これは。

「はああ……」

 今更ララクセルズに、感謝祭の観光はなかったことに、なんて。
 言える訳もないよなあ……。

 シイナは心底困った面持ちで、プロンテラの高い空を見上げるのだった。





==椎名の呟き==
今回は初の、クエストとは関係のないオリジナルのお話です。
あ、プロンテラに収穫感謝祭なんてイベントは本当はございませんが(笑)。
クリスマスとかはあるんだけどねー。

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