オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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38 Beautiful World ~感謝祭02

2008.07.09

 アインブロック、ララクセルズとシイナの暮らす家。
 ソファに深く座ったシイナがついた微かなため息に、ララクセルズは振り返った。
「どうした?」
 うっかりした。ため息をついているつもりはなかった。お茶をひと口すすって軽く吐いたつもりの息が、ララクセルズにはきっちりため息と認識されてしまったらしい。
 シイナは両手で持っていたお茶のカップを、さりげない仕草でテーブルに置く。
「ああ、いや」
 笑顔で返すも、シイナは困惑を隠せない。
 頭にあったのは、収穫感謝祭の事だ。
 まさか、あんな展開になるとは思っていなかったから。
 自分から誘っておいて、今更収穫感謝祭の話を無かった事に、なんてあまり言いたくはない。言いたくはないのだが。
「ララク、感謝祭の事だけど……」
「ああ、それならちゃんと休みとれたぜ!」
 ララクセルズ、笑顔全開。

 ……ああ……。

 やっぱり今更無かった事に、なんて言えない。
 そもそも、感謝祭自体が駄目になったわけではないのだ。案内するのも、さして問題はない。今更取りやめにする理由なんて、実はあまりない。
 ただ、どうしても。
「あ、あのさ。当日オレ、大聖堂の方のイベントがひとつ入っててさ、それの手伝いで、どうしても二時間くらい、時間取られちゃうんだよ」
「へえ?」
「その間、ひとりにしちまって平気かなって……」
 大聖堂の出し物、それは、劇の公演。
 そう、シイナが大聖堂で室長に打診されたのは、その劇への出演だった。トリーシアが主演となることだけが決まっていた、劇の出し物。そのトリーシアの助演として。まさか、自分が指名されるなどと、思ってもいなかった。
 あの内容を、ララクセルズには見せたくない。シイナが避けたいのは、その一点だけだった。要はそのイベントさえ、ララクセルズをやり過ごせれば、それでいいのだ。
 そう、他は何の問題もない。
「イベントって? 何だ?」
「ああ、ちょっと……劇を……」
「劇? シイナも出るのか?」
 劇と聞いて、ララクセルズは嬉しそうに食いつく。
「え、いや、そういうわけじゃ、……」
 シイナの返事は歯切れが悪く、ついでに表情にも出ている。
「……? でもなら別に、お前が劇の手伝いやってる間、オレはその大聖堂の劇を見てればいいだけじゃないか?」
「そ……ッ!」
 それが、困るのだ。

 とにかく、ララクセルズにその劇を見せたくないのだ。

 だったら劇をやるなどと言わなければいいのだが、何をやるのだと聞かれて、具体的な嘘はつきにくい。それに、その嘘がもしもバレた時に、多分ララクセルズは怒るだろうし。
 大体、普段の収穫祭は皆で育てた農作物や衣料品をバザーにだしたりとか、そんなことばかりやっていた大聖堂のくせに、何で今年に限って劇なのか。
 ここに至って心の中でだけ悪態をついてもはじまらない。
「劇なんか見たって面白くないぜ? 神様の恵みがどうとかいうつまらないものだし、大聖堂の有志だから、本物の舞台とはレベルが違うし」
 シイナ、必死だ。
「で、お前出るのか?」
「え、や、いや……少し、かな……」
「へ~」
 大体のところを、ララクセルズは理解した。
 おそらくシイナは、その劇にがっつりと出るのだろうと。そして、それはとてもララクセルズに見せたくないような内容なのだろう、と。
「大聖堂が劇をやってる間、他が何もやってないわけじゃないんだろ?」
 ララクセルズの言葉に、シイナはうんうんと頷く。
「だったら別に、その時間くらいその辺を見ててもかまわないけどさ。オレはプロンテラの街をよく知らないから、待ち合わせの場所だけちゃんと決めててくれれば」
「そうか……そうだな」
 あからさまに、ほっとした表情を見せるシイナに、ララクセルズは悪びれない笑顔で返す。

 何も、どうしても劇のことをごまかしたいらしいシイナに、ララクセルズが気遣って優しさを見せたわけではない。
 要は、黙って見てしまえばいいだけなのだ。
 これほどに見せたくないものを見たい見たいと連呼しても、シイナはどんどん深みにはまってしまうだけだろうし、そこから喧嘩に発展してもつまらない。あげくに、土壇場にきて病欠でもされた日には。もっとも、ララクセルズに見せたくないという一心だけで、そんな無責任な事をする男ではないと思ってはいるが。

 これはちょっと、楽しみかもしれない。

 この話は打ち切りとばかりに再びお茶に手を伸ばすシイナを尻目に、ララクセルズは隠し切れない笑顔を覗かせるのだった。





==椎名の呟き==
騙しあいですか、あなたがた。
シイナの、演技力とかはどうなんでしょうねー。舞台なんて懐かしいなあ。
(椎名さん、はるか昔の高校時代は演劇やってました)

それと、全然関係ないお話。
某友人との会話を受けて、ひぐらし数話とデスノの最終話をアニメで見たりしました。
(ちょっとそんな話題が出たので)
ふ~む~~。やっぱり、アニメよりも原作のが遥かに き っ つ い なあ(笑)。
凄惨シーンがあるってわけじゃなくてねー、心理的にきっつい作りになっていると。やっぱり、この辺全部アニメにしちゃうと、色々と問題があるんだろうなあ。時間の調整も難しいだろうし。
ひぐらしの滅菌作戦時の隊員の心情あたりと、デスノの月死亡後の松田たちの後日談とか、あの辺は入れてほしかったな~とか。月の死に様も、アニメも悪くは無かったけど、原作のほうが納得はできたかも。あまりにも無様で。
大分今更な話ですが(笑)。

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