オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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39 Beautiful World ~感謝祭03

2008.07.16

 収穫感謝祭当日。

 アインブロックからプロンテラへの移動は、シイナのワープポータルでの移動も可能だったが、二人はあえてそれは使わず、シュバルツバルドとルーンミッドガッツを繋ぐ飛行船を使った。
 時間も金もかかるが、その方が観光気分を満喫できるというものだ。
 主に飛行船のターミナルで仕事をしているララクセルズは、しかし自分は実際に飛行船に乗ったことはなかった。他の街や他国に移動する用事が無かったのだから仕方がない。
 空を飛ぶ乗り物の珍しさに、ララクセルズはあちこち眺めて回る。
「凄いよなー、これ。落ちたりしないのかなー」
「ターミナルの案内員とは思えない言葉だな」
 ララクセルズの言葉にシイナは苦笑し、まあ落ちる時は落ちるんだろうけどね、などと意地悪な事も言ってみる。それでララクセルズが動揺して騒ぎ立てるようなこともなかったが。

 飛行船を国内線から国際線へと乗り換え、その国際線が降り立つのが、プロンテラの衛星都市となる、イズルードだ。海沿いにある小ぢんまりとした都市だが、ここも感謝祭の賑わいで、いつもよりも人出も多く華やいでいた。
 首都プロンテラへの交通手段はないが、歩いてすぐの、隣接した都市だ。イズルード自体がそんなに巨大な都市ではない。隣町、といった感覚だ。
 以前訪れたゲフェンとは趣が違うが、相変わらずの自然豊かな景色と空気のよさに、ララクセルズは感嘆した。
 吹き抜ける潮風の匂いも、はためく万国旗のような祭り用の派手な飾りつけも、アインブロックでは感じたことも見たこともない。色とりどりの新鮮な収穫物も、目に鮮やか過ぎて眩しいほどだ。
「プロンテラはもっと派手だぜ」
 苦笑するシイナが、なぜ苦笑しているのか一瞬わかりかねたララクセルズだが、すぐに眉根を寄せてシイナを睨みつけた。
「田舎者とか思ってるんだろ」
「そんなことはないよ。シュバルツバルドのリヒタルゼンなんかと比べれば、プロンテラだって充分に田舎の域に入るんだろうし」
 リヒタルゼンを訪れたことはないが、近代文化の象徴であるような華やかな都市だと、シイナも聞いている。
 ただ、シイナのようにあちこちを旅してまわっている訳ではないララクセルズの反応が新鮮すぎて、面白かっただけなのだ。
「ほら、もうすぐプロンテラだ」
 シイナの言葉通り、その景色は徐々に、彩りを増してきていた。

 そこは首都の名にふさわしい、荘厳で華やかな都市だった。

 計算しつくされた幾何学的な模様の石畳や、煉瓦を基調とする街並み。シュバルツバルドの大統領制とは違い、ルーンミッドガッツは王制であるから、街の北側には巨大な王の城も鎮座している。人も建物も数はアインブロックの比ではないが、排煙もないから、空気は全然悪くない。甘い果物や花の匂いで溢れかえる、美しい街だ。
 普段はそうでもないらしいが、今日はお祭真っ只中という事で、あちこちで臨時のバザーがひらかれ、大道芸人の姿も見えた。それぞれの団体が、それぞれの個性を駆使してさまざまなイベントを用意しているらしい。
「綺麗な街だな、ここは……」
「うん、そうだね」
 ララクセルズの感嘆の言葉に、シイナもいらぬ謙遜をすることもなく頷く。
 誰が暮らすどこの街にも、それぞれの良さがある事がわかっているから、それを素直に認めているだけだ。

 シイナに案内されて見た、騎士団の模擬戦も、臨場感たっぷりで白熱した。
 弓手村主催という的当てや、商人組合の渡来品バザーも楽しかった。
 これが、祭というものか。

 個人の出す収穫物の臨時販売を眺めている時に、シイナがチラリとララクセルズを見て切り出した。
「そろそろ、オレ行かなくちゃ」
 できるだけ無難に切り出したシイナに、ララクセルズも戸惑うことなく頷く。
「ああ、そろそろイベントの時間なのか」
 追求されることなく頷いてくれたララクセルズに安堵したシイナが、大きな噴水を指差す。
「あれがこの街で一番の目印だから。あそこで二時間後に待ち合わせな。あそこなら、もしどこかで迷っても誰でも知ってる場所だから、誰かに声をかければ連れてきてもらえる」
 劇の所要時間は一時間ほどらしいが、色々準備があるらしく、シイナは二時間と指定した。
 わかったと頷くララクセルズに手を振って、それ以上の追求を許さないように、シイナは走り去ってしまった。
 感心するほどに早い。

 ――さて。

 あの様子では、シイナは本当にララクセルズの企みに気付いていないのだろう。
 あれほどシイナが隠したがるほどに楽しいイベントが待ち構えているというのに、ララクセルズが素直にシイナの言う事を聞いて大人しく待っていると思っているのだろうか。
 そこがシイナの敗因だ。

 ララクセルズは、誰かに大聖堂の場所を尋ねようと、辺りを見回した。
 地元なら誰でもおそらくは大聖堂の場所くらい知っているだろうが、この地に慣れない観光客も多いだろう。
 逡巡してうろうろしていると、雑踏の中からはっきりと聞こえる声があった。
「シイナ、大聖堂の劇に出るんだってな」
「うん、本人から聞いたわけじゃないけど」

 シイナの知り合いか!

 渡りに船というべきか。運がいい。
 シイナという名前は多いだろうが、大聖堂のイベントに参加するシイナというのはおそらくひとりしかいないはずだ。

「あの、ちょっと!」
 ララクセルズは、シイナの名前を出した二人の男に向かって駆け出した。





==椎名の呟き==
彼らと彼の邂逅です。やっと出番がまわってきた彼らです。
(Beautiful Worldの最初にしか出てない気の毒な彼ら)

個人的にクリティカルヒットな出来事があって茫然自失であった椎名ですが、なんとか頑張ってます。ははははは。
いえ、諸兄にご心配をかけるような出来事があったわけではないのでご安心を、と申しておきますが。

ただ単に、半年しか使っていないPCのマザーボードがオシャカになっただけですから。ええ、ええ。
(死)

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