オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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41 Beautiful World ~感謝祭05

2008.07.30

 街道を埋め尽くす露店を冷やかしながら歩いていたソルダムが、一点を指差した。
「ほら、あそこ」
 指さした先を、ララクセルズは仰ぎ見る。
「あそこがプロンテラ大聖堂」
 あそこの礼拝堂で、劇の発表をするんだよと、ソルダムは笑う。
 礼拝堂で劇の発表とは。プロンテラ大聖堂が個性的なのか、それともどこの教会もそんなものなのだろうか。ララクセルズには判断できかねるところだったが。
 しかし。

 荘厳な大聖堂の佇まい。
 大聖堂に限ったことではないが、この国のこんな神聖な建物群を見ていると、この国に溢れ返る法力だとか、シイナの振るう魔法の力の源となる『何か』の存在も、感じ取ることができるような気がする。

 大聖堂の入り口で、柔らかな笑顔のシスターから劇のパンフレットとかいうものを受け取る。
 コーラスが、それを見て首をかしげた。
「神聖なる地、ミッドガルドの神の御許で繰り広げられる、愛と正義あふれる大逆転劇……だって」
「やけにスペクタクル活劇っぽいコピーだなあ」
 ソルダムも覗き込むが、ククク、と含み笑いをする。
「ま、なんだかんだで大聖堂の連中って、変わってるからなあ」
 ……そうなのか。
 何であれ、この出し物にシイナが関わっているということで、それがどんな風であるのかは、三人とも大変に興味がある。
 礼拝堂に設えられている椅子に腰かけて、劇の始まるのを待つ。まだ幾分か時間はあるようだった。


 客席側の明かりは落とされ、臨時で作られた壇上に光が射して舞台が始まった。

「……え」
「ぶ……ッ」

 一瞬、何が始まったのか、わからなかった。
 何やら魔物の脅威に怯える村のエピソードがナレーターの声で告げられ、それに合わせてぞろぞろと登場してきた、村人役の人々。
 そこに、違和感があった。
「えーと」
 村の女性役と男性役。全てが、逆だった。
 つまり、男性の役を女性が、女性の役を男性がやっていたのだ。
「なんだこれ……」
 ララクセルズは思わず口を半開きにしてしまったが、会場のあちこちからも、笑い声が聞こえてきた。
 男性役をこなす女性の方はともかく、女性役をこなす男の方はどうしても違和感を隠せないというか、すでに滑稽でしかないのだ。
 これは……どうしたものか。
 大聖堂がまさかこんな、お笑いを目指していたとは。
 大逆転劇とは、まさにそういう意味だったのか。
 笑い声が、おお、と、感嘆の声に変わる。もちろん笑いを含んだものではあるが。

『聖騎士の名において、私が指揮を執る者となろう!』

 長い黒髪を揺らして登場した、騎士の正装をまとった人物の、高いながらも精悍な声。
 その騎士の役をこなしているのも、女性だった。その細い身体と高い声は女性特有のものだが、もともと美人なのだろう、身長も高くて男装が似合い、格好良いと言ってよかった。
 この騎士役の女性を中心に、話は進んで行くようだ。きっと彼女扮するこの騎士が主人公なのだろう。
「これって……もしかして」
 呟くララクセルズの声に、頷くコーラス。
「このノリでいくと……」
「そうだなー」
 ソルダムの声がやけに楽しそうだ。

『私も、共に行きます!』

 どわっはっはっは!
 ひと際高くなる客席の笑い声。
「……………………」
「……クッ」
「し、シイ……」
 女物の聖職者のドレスをまとい、登場したシイナ。
 展開は予想できていたが、まさか、ヒロインで登場してくるとは。
 呆気にとられたララクセルズも、自然と身体が震えるのを止めることができない。笑いたい。しかし笑っていいものか。でも笑わせるのが目的なのだろうし。そうでなければこの滑稽な配役の意味がわからない。
 会場での笑い声も、他よりも豪快な反応を見せている一角は、どうやら舞台では仕事のない聖職者の集団らしい。
 なるほど……シイナが見せたがっていなかった理由がわかった。

 身長は、シイナは確か170cmほどはあるはずだが、主人公の女性との釣り合いは取れている。女性側が、高いヒールの靴で底上げしているのだろう。素で165cmくらいあればなんとでもなる。
 見た目は悪くないが、あくまでシイナは男だから、それを知ってしまっていると違和感は隠せない。が、確かシイナは以前、度々女に間違われるというようなことを言っていたような気もする。なるほど納得だ。
 それから、それで……。
「だ、だめだ」
 どんなに考え事で気を紛らわそうとしても、舞台上のシイナの姿を視界に入れてしまうと、集中が途切れてしまう。
「笑ってもいいんじゃねーのー?」
 ソルダムに肩を叩かれた。
 コーラスは、すでに腹を抱えている。

「はは……はははははは」
 遠慮なく楽しんでいる二人に挟まれて、ララクセルズもとうとう、こみあげる笑いに身を任せることになってしまうのだった。





==椎名の呟き==
今再放送している鬼嫁日記が気の毒すぎて、集中できませんでした……(´Д`;)
そして某新聞屋に「いらないって言ってんの。わかんない? 聞こえない? しつっこいよ?」と断りを入れるのにいらん労力を使いました……。
そして注釈ですが、シイナの女ものの衣装はオリジナルです。決して女プリーストの衣装ではございません。
いくらなんでもあの巨大なスリットとガーターベルトは 無 理 です。
(ていうかROの女プリーストって一体)

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