オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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42 Beautiful World ~感謝祭06

2008.08.06

 ベタな大団円で、物語は幕を閉じる。
 女性聖職者のナリで奔走していたシイナが最後のシーンでまとっていた衣装は、純白のウェディングドレスだった。
 言わずもがな、聖騎士との結婚式だ。
 騎士役を演じていた彼女が、最後にウェディングドレス姿のシイナを横抱きに抱き上げるという力技をもって、この舞台の終幕とした。
 それは盛大な拍手と笑いを取った、大聖堂初の舞台となった。

「劇の主演二人が、中庭でお披露目してるって話だぞー!」
 劇が終わってざわついていた客席で、誰かが叫んだ。
 叫んだその人も大聖堂の聖職者であるらしく、ノリノリな雰囲気だ。主演二人の普段の姿もよく知っているのだろう。
「格好の見世物だな……」
「気の毒に……」
 呟くソルダムとコーラス。しかし、顔は笑っていた。
「これは、見に行くしか!」
 喜び勇む二人。
 傍で見ているララクセルズは、しかし冷や汗をかく思いだった。
「黙ってこっそり観劇してたこと、バラしていいのかなあ……」

 中庭でウェディングドレス姿であくせくしていたシイナは、三人の姿を見て、一瞬で顔色を変えた。

「お、お、お前ら……ッ」

 シイナはドレスの裾を両手で掴むと、三人の方へと物凄い形相で駆け寄ってきた。
「見たなあ――――ッ!?」
「うわッ」
 その勢いに思わず半歩下がる三人だったが、シイナはまず、コーラスに狙いを定めたようだ。
 おののくコーラスのこめかみに、ぐわっと両の手のこぶしを当ててぐりぐりと動かす。
「イタイイタイ痛ーいッ」
「ララクをそそのかしたのはお前かァ――!!」
「ちがッ、オレはッ、そりゃここまで連れてはきたけど、彼は最初から痛ァ――ッ!!」
「ふうん……」
 言い訳をするか、と、シイナはクールダウンした眼差しで、コーラスを見てニヤリと微笑む。
「抱き上げろ」
「えっ!?」
 一瞬何を言われたのかわからず、コーラスはシイナの顔をマジマジと眺めてしまう。
「許してほしかったら、オレを抱・き・上・げ・て・み・ろ。非力な聖職者である彼女にも出来たことが、お前に出来ないとは言わないよなあ?」
「ば、馬鹿にするなよ」
 これでもコーラスは本物の騎士だ。相手が男であろうが、人ひとり抱き上げる事くらいは造作もない。
 シイナの意図がわからないまま、コーラスはシイナをよいしょ、と抱き上げた。
 するりとコーラスの首にまわした腕を、シイナはもぞもぞと動かし始めた。
 コーラスの頬に、首に、背中に。
「ちょっと、シイナ、くすぐった……」
「落としたら、タダでは済まないと思え」
「えぇ――――!?」
 低レベルないじめだ。言っている間にも、シイナはさわさわとコーラスの身体をまさぐる。
「やーめーろ――――ッ!!」

「…………」

 これまでシイナのこんな姿を見たことがないララクセルズは、驚きを隠せない。
 自分と接する時には、多少意地の悪い発言があったとしても、ここまでだったことはない。コーラスが「自分はいじめられてばかりだ」と言っていたが、今なら成程と納得できる。
「ま、コーちゃんはああいう役、だからなあ」
 ララクセルズの横で、ソルダムが笑顔で呟く。
「役?」
「コーラスはすーぐああやってシイナにつっかかるからな。シイナも遠慮なくあんな風にしてるけど。かといって、君やオレに対する態度が猫を被ってるのかというと、そういう訳でもなくてなー」
 ま、あれはあれでいいんだよ、とソルダムは楽しげだ。

 コーラスの腕から下りたシイナが、のそのそとララクセルズの許まで歩いてきた。
 舞台用のメイクだけは落としているが、ドレスが微妙に似合うというか、それでも笑えてしまうその姿に、目をそらすべきかどうか。
「なんだって、これだけの人の中で偶然出会っちゃうかなー」
 眉間に皺を寄せ、口をとがらせるシイナ。
 三人がここまで来てしまった経緯を、コーラスから聞き出したらしい。
「悪かったよ……でもそんなにむきになって隠すほどのことでもないじゃないか」
 それでも半笑いなララクセルズに、シイナはドレスの裾をグイ、と持ち上げる。
「ララクは自分のこんな姿、オレに見せたいと思うか!?」
「あー、それはー……」
 確かに、と笑うしかない。

「オレの時と随分な差じゃないかー。やっておしまい!!」
 怒り心頭なコーラスの声と共に、数回のフラッシュが焚かれる。
「!?」
 カメラを構えていたのは、大聖堂の聖職者の面々だ。
「ちょっと、こら! お前ら! それ寄越せ!!」
 追いかけようとするシイナの前に、大聖堂室長であるテルーザが歩み寄った。
「これは大聖堂の歴史の一端となるイベントの記念ですから」
 にっこりと微笑むテルーザの後ろから、騎士の扮装をしたトリーシアも歩み出る。
 表情を引きつらせるシイナの肩をグイ、と抱き寄せ、満面の笑顔が男らしい。
「さあ、記念写真をどうぞ」
 テルーザの一声は、聖職者でありながら、悪魔の囁きのようだった。

 気の毒に……。
 このイベントを必死で隠そうとしていたシイナの気持ちが、少しだけわかったララクセルズだった。





==椎名の呟き==
ミッドガルドにカメラってあるのかなーと思った椎名ですが、アインブロックの空港にいたキリシュとか、記念撮影に応じてくれたりしたから、あるんだろうなと(笑)。
次回でこのお話最終話にできますかね。
一応その予定なのですが、今のこのお話書き下ろしなので、はみ出たら持ち越しになりそうなんですけど、どうだろう(ぇー

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