オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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Vol.24 コーラス・ブレイド ~食えない漂流物

2007.01.15

 林の中の土の上を凝視していたシイナが、ふと思いついたようにオレの顔を見た。
「ソルダムとはいつからの知り合いなんだ?」
「ん? 国がなくなってすぐの頃だよ」
 シイナの方をチラリと見て、あ、見つけた。
 シイナの後方の土の上にひっそりと顔をのぞかせている細い葉っぱに近づいて、それを引っこ抜く。
『むきゃあ!』
 その隣にあった同じ葉っぱを、シイナも引き抜いた。
『むきゃあ!』
「大体、お前はどうやってサンレイクからここまでたどり着いたんだ?」
 もひとつみっけ。
『むきゃあ!』
「最初にさ、海ポチャした時にはさすがにオレも意識喪失状態だったわけよ。精霊石の守りのおかげか知らないけど、気付いた時には無人島に流れ着いててさ」
 もっとも、そこが無人島だったってのを知ったのは、後になってからの話だ。無人島っていっても人がいないってだけで、実際にはポーラスやエンデリックの属するレーデンバルム国の国土なんだけど。
『むきゃッ』
 ……あ、折れた。
「で、そこで目を覚ましたオレ、とりあえずこんなところでのたれ死ぬ訳にはいかないと、そこにあった、多分昔本土の漁師が使ってた小船を拝借して、レーデンバルムの方角へと漕ぎ出したんだな」
「よくレーデンバルムの方角がわかったな」
「簡単な天文学と地理だわな。サンレイクの位置を考えると、どこの海に放り出されたとしても、東に向かった方が早く陸地に着くんだ。サンレイクの西側は大海が広がってて、相当の時間をかけないと陸には行けない。だから空を見て方角を判断して、で、レーデンバルムの国土は広いからさ、東に向かって着くのはこの国だろうって予測はついた」
「ふうん……」
「けどまあ、いつ乗り捨てられたのかもわからないような小船だからさ、ボロいわけだよ。で、ボロいってのは、海の上でガンガン水とか入って来るんだよな。結局どんぶら海を流されながら、何度も沈みかかって結局沈んだりして、陸地が見える前にまた溺れたりして」
「……」
「結局意識不明のまま打ち上げられたのがエンデリックの海辺で、そこでソルダムに拾われたってわけ」
『むきゃあ!』
「精霊石の守りってのは、眉唾な話でもないんだな……よっと」
『むきゃあ!』
「そりゃそうだよ」
 魔法師の魔法力増幅、なんてのにも使える精霊石、お守りになるなんて話も普通に聞くけど、それはでたらめじゃない。意志を持つ無機物の名は伊達じゃないんだからな。だから城から海に投げ出されても、何日も海を漂流しても、こうやってオレは生きてる。オレ自身の運がいいとか、それだけじゃ生きちゃいられなかったよ、多分。

「びっくりしたもんだぜ。たまには魚でも食おうと思って海辺に来てみたら、こいつが転がってたんだから」

 ザクザクと落ち葉を踏みしめて歩いてくる音に、オレとシイナは揃って振り向いた。
「ソルダム」
「食えもしないモン拾ってもしょうがないとは思ったけど、そのままにしとくわけにもいかないしな。食えないどころかまたこいつがよく食うもんだから、食費のかさむこと」
 だからー。悪いと思ったから仕事も手伝ったしー。魚も釣ったし食い物もいっぱい収穫したじゃんよー、毎日。
「お前ら随分採ったな。それ全部食う気か?」
 大丈夫。オレも食うけど、シイナもかなりの大食漢だ。

 オレたちがさっきから引っこ抜いていたのは鳴きイモの一種だ。
 イモの部分にいくつも空洞があって、その作用だか何だかで、引っこ抜く時にいちいち悲鳴のような音をたてるんだけど、別に動物のように生きているだとか、その悲鳴を聞くと死んでしまうだとかいう逸話がある訳じゃない。決して。
「まあいいや。そろそろ戻れよ。オレも腹が減ってきた」
 ソルダムが親指でちょいと家の方を指すから、オレたちも屈めていた腰を上げて伸びた。確かにこれだけあれば充分か。

 精霊石の加工には、それなりに時間がかかる。オレの剣も鍛えてもらうんだから、その間くらいはオレとシイナで飯の用意くらいはしようってんで、イモの収穫に出かけて来たんだけど。
 確かにソルダムに呼ばれなかったら、話に任せて超大量収穫してたかもしれないな。危ない危ない。自然は大切に。


 工房の隅にある調理場で、鳴きイモに包丁を入れる。
『むひゃあ』
 最後の断末魔的な音。
 ゾリゾリとイモの皮をむきながら、適当な大きさに切ったイモをポイポイと鍋に放り入れる。
「コーラス! まだ鍋の肉に火が通ってないんだからちょっと待て! ……ってェ!」
「ぎゃ、シイナ指切ったのかよ」
「切ってねえよ。気のせいだ」
「嘘つくな! イモが赤い! みるみる赤くなってる! とんでもスプラッタ料理になる前に血を止めろ!」
「今止めたよ、うるさいな。それよりそっちの香草忘れるな! あああ、焦げてる、焦げてるぞ!」
「わーかってるよ、こんなのさっさと鍋に移せば問題ない……ぶわあーッ、煙が目に、目にー!」

 ぐい。
 オレとシイナ、急に首根っこをつかまれて後方に引っ張られた。

「お前ら、オレを食中毒死させるのが目的か? それとも台所壊滅が狙いか?」
 ふたりの間に、ソルダムの笑顔。
 そんな、滅相もない……。
「危ないものこしらえてないで、おまえらはあっちで遊んでなさい。ここはオレがやるから」
「はーい……」
 有無を言わさず、調理場から追い出された。

 シイナと野宿なんかしてた時には、案外うまくいってたんだけどなあ。
 というより、何とか口に入れられるものが出来れば問題なかったというか。
 やっぱり、よく食う人間は、胃も丈夫に出来てるんだよ、多分……。





==椎名の呟き==
ホントにお育ちのいいふたり組なんですかね。あまりにも味覚が大雑把。
まるで椎名みたいです。

★『コーラス・ブレイド』最初から読みたい方はこちら★


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