オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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Vol.26 コーラス・ブレイド ~大丈夫、こわくないから

2007.01.17

 今になってふと思いついた。
 ソルダムの工房でやっかいになっている間、それなりの礼は尽くそうと、雑用は自分たちに言いつけてくれと申し出たオレだけど。その言いつけられる用事ってのがイモ堀だったり魚釣りだったり草刈だったりしたのはつまり、作業している間、オレたちが家の中でどっかんどっかん暴れるのが邪魔だったんじゃないかと。
 さすがはソルダム、抜かりがない。
 シイナに言ってみたら、そんな自慢にもならないようなことを嬉しそうに報告するなと殴られた。

「コーラス、シイナ。来いよ」

 薪割りをしながらやいやい言い合っていたら、そこにソルダムが顔を出した。
「ご所望の品、出来上がったぜ」
「え、マジ」
 ここに来てから3日。暇を持て余して迷惑行動を繰り広げていた毎日だったけど、ようやくお目にかかれる訳だ。新しい武器。

「うわー。カッコいいなあ」
 それなりの装飾を施された槍の柄に、遜色ない美しさで取り付けられた精霊石の刃先。精霊石自体が高価なものだけど、それを最大限に活かすソルダムの仕事は一級品だ。オレが長年愛用している剣も、見てわかるくらいにその輝きを変えた。
 精霊石を扱える鍛冶屋ってのは、本当に数が少ないんだよね。ソルダムはそれを扱える技術があるって点を公にしていない。さすがに剣だの槍だのって大物は無いにしろ、小型のナイフだの装飾品だのの加工の依頼で忙殺されてしまうこと間違いなしだからだ。金を儲けるにはイイ話だが、ソルダムはそういう生活は、あまり望んでいないらしい。
「言っておくけど、金は取らないからな」
 ソルダムの先制攻撃に、シイナが目を見開いた。
「でも」
 精霊石はただでくれてやるって話だったけど、シイナは技術料は払うつもりでいたんだろう。
「オレはこれでもコーラスには期待してるんだよ。得体の知れない敵を前にして、いつか起こるかもしれないその凶行を止めようなんて動きをしている男にね。だからコーラスからは金は取らない。そのコーラスと同じ目的で一緒に行動してるお前さんだって同じことだ。……まあ理屈云々は抜きにしても、それが友達ってモンだよ」
 いい友を持ったよ、オレは。
 正直、ここでもし技術料をソルダムに支払ったとすれば、オレたちはまた一文無しに返り咲きだぜ。シイナはそのつもりだったかもしれないけど。
 シイナは、加工の施された槍を食い入るように見つめた。
「……ありがとう。本当に助かった。心から感謝する。ソルダム、コーラス」
 感謝しなければならないのはこっちかもしれないんだって。きっとこの先、シイナのその力は物凄く必要になるもので、お互いひとりでいたら、どうにもならなかったかもしれないんだから。

「でさあ」
 ソルダムが、ふと思いついたように声をたてた。
「それ、誰?」
「え?」
 オレたちの方を向いていたソルダム、正確にはその視線はオレたちの背後を捉えていたようで、つられて振り返ったオレたちは、開け放たれたままだった外への扉を見た。

 え?
 誰?

 いつの間にか、本当にいつの間にか、オレに気配すら読ませずに、そこに小さな少女が立っていた。
 耳の下でふたつにまとめられている髪は濃いこげ茶で、それに対して薄い水色の目がかなりミスマッチな少女。正直、その目はクリクリと大きすぎて、今にも零れ落ちそうだ。
 オレたちの腰ほどしかない身長のその少女は、一見普通の子供だけど、見たこともない瞳の色と、オレに一切気配を悟らせないその立ち姿は、一種異様だ。
 でもどういうわけか、自分の意志でそこまで来たであろう少女の瞳は、まるで脅えているかのように揺れている。
「あの、どちらさま?」
 うっかり出た間抜けな問いにも、少女は無言。
 無害……なのかなあ?
 一歩を踏み出したら、その少女の身体がビクンと跳ね上がった。うわ、マジで脅えてるよ。最初にオレたちを驚かせたのはそっちでしょうが。
 警戒しつつさらに一歩を踏み出すと、ジリ、と少女の片足が後退する。いやあの、勝手に現れて、速攻逃げられても困るんですけど。残されたオレたちが怖いじゃん。
「えーと、オレたちは別に怖い人じゃないから大丈夫だよ。っていうかむしろ、キミが怖い人じゃないかの方が不安なくらいなんだけどさ。キミ、どこから来たの?」
 なるべく脅えさせないように、じりじりと愛想よく近づいていく。それ以上は後退しないけど、一層色濃くなっていく脅えの色が、なんか理不尽だ。
「ここに、何か用事?」
「あ……」
 やっと一言。
 言うというより漏れたその声は、普通に子供の女の子の声で、しかもたった一言なのに、震えているのがわかりすぎるくらいで。ホントに何者ですか、キミは。
「もしかして、迷子なのかな?」
 嘘くさい笑顔を貼り付けつつ。おおよそ手を伸ばせば届くくらいまで近づいたら、今度こそ彼女は動きを見せた。
「あ……あ、あ……」
 一歩退いて、その勢いで数歩飛び退る。うわ、異様に俊敏。
 泣き出しそうに、彼女の顔が歪められた。
「せ……いれ……」
 震えながら、何かを呟いて。
 で。
 うわーあああああああ。

 こっちをまっすぐに見つめる彼女の額が、額が……縦にぱっくり割れた。
 うそおおおおおお。
「コーラス、気をつけろ!」
 シイナが素早くオレの隣に駆け寄ってきたと同時に、その割れた額が、いきなりカッと輝いた。うぎゃ、ハゲオヤジのつるピカフラッシュも勝てない輝き!? ってそんな場合じゃない、オレ!!
 その輝きから何が飛び出してくるのかと身構えた瞬間、額の割れ目から、なにかこう、ドロドロとした、ヘドロ状のものがダラーっと流れ出して、モリモリと地上にゼリー状の山を築き上げていく。彼女の目は、脅えたように見開かれたままだ。
 うそおおお……。
 趣味悪うう。

 何が起こっているのかわからないまま、その光景に目を見張っているオレたち三人の目前で、地上に山になったヘドロが、急にうねうねと動き出して、にょろっと立ち上がった。多分。
 バカンと、その一部に穴があいたように見えた。
「お嬢に危害を加えるヤツは、どこのどいつじゃーい!!」
 その穴、口ですか――ッ!?
 ていうか、生きてる!?
 驚愕に固まってしまったオレの目の前で、そのしゃべったであろう口らしき部分が、不可思議な色で輝き始めた。
「許さんぞお――――――ッ!!」

「コーラス、避けろ!!」
 カカカッと強烈な光が直線になって、その口から放たれた。
「グ……ッ!!」
 咄嗟にシイナがオレの前に立ちはだかって、出来上がったばかりの槍を構えてその光を受け止めた。シイナの全身が、すでに魔法力で青白く覆われている。
「クソ……ッ!!」
 大振りの槍を振りかぶって、シイナが渾身込めてその光を跳ね返す。
 あらぬ方向へと力の矛先を変えたその光は、工房の前の木にぶち当たって、その部分を瞬時に焼ききった。
 ばさばさばさばさ、と、その木の立派な枝々が、支えをなくして地上へと落下した。

 一体、何が起こってるんですかあー!?





==椎名の呟き==
こっちが聞きたいわ。あははは。

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