オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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Vol.28 コーラス・ブレイド ~どっちが主人だ

2007.01.19

 彼らの話を要約すると。
 つまるところ、横柄で口の悪いオレ様鳥は、召喚師である少女の所有する召喚獣であるらしい。
 召喚師というのは人間ではなく、オレたち言うところのエルフという種族だけど、本人たちは自分たちの種族としての「名」を意識してはいない。だから人間が自分たちのことをエルフだとか呼ぶのをそのまま採用しているらしい。少なくとも、人間とは違う種族だってことだけは確かみたいだ。
 で、そのエルフってのは、仲間同士や召喚関係の間では、声を出さずに意思の疎通というのが可能なんだそうだ。だから必然的に、生まれながらにして召喚師は無口なんだって。
 なるほど、だからあの少女は全然口をきかないのか。

「召喚師ってのはしゃべり慣れてない上に、長い歴史を召喚師の集落だけで暮らしてきたのさ。だから人間との交流には大変な勇気と緊張が伴う。だからこのオレ様が、こうやってお嬢の代わりにお前らと話をしてやってるって訳だ」
 いちいち「やってやってる」発言はよせ、鳥。
 大きさ的に目線が合うようにと、工房のテーブルの上に鳥を乗せて、オレたちはその周りを囲むように椅子に座っているから、何というか、彼の偉そう加減が倍増。
「それで本題だがな」
 鳥の声音がちょっと真面目な方向に変わった。けど、なにぶん表情が変わらないもんだから、今イチ雰囲気が伝わりにくいなあ。
「お嬢が言うには、最近になって、急に大きく気が揺れたんだそうだ」
「気?」
「人間のものだ。でかい力が一瞬放出されたような、そういう類のものじゃないかと、各地に散らばった召喚師たちが感じ取ったらしい」
 でかい力?
 それってアレかな。シイナみたいな魔法師のもつ、魔法力みたいなものかな?
「場所はサンレイク」
「!!」
 サンレイク……。
「お前らも知っているかもしれないが、サンレイクも大樹海同様、魔法師の襲撃を受けて土地を壊された場所だ。そこにはこれまで、ずっと結界が張られていた。その結界の揺らぎのようなものも、その時に感じたらしい」
「結界の揺らぎ!? それは結界がなくなるとか弱まるとか、そういう!?」
 思わず乗り出して鳥に食いつくように近づいたら、思いっきりくちばしで小突かれた。かなり痛いぞ、鳥のくちばし!
「気安く近寄るな、人間。……結界が揺れたのは一度だけだ。今はまたこれまで通りにしっかりと強固な壁を作っとるわ」
 ……なんだあ。
「だが、微かだが、今でも乱れた気が各所で蠢いている。この3年間、そんなことは一度だって無かった。3年前に各地が襲撃に遭ったきり沈黙を続けていた何かが、動き出したかもしれない。だからお嬢は、その何かと対抗できる方法を探しに動き始めたって寸法だ。そしたらここで、普通ありえない強さの精霊石の反応が現れた」
 そういうことかあ。精霊石の気みたいなものを読む力は、人間の魔法師にもあるけど、召喚師ってのは離れててもそれが可能なのか。確かに凄い能力だな。
「で、まあ、お嬢が言うには……お嬢だぞ? オレ様の意見じゃねえぞ? お嬢が言うには、精霊石の近くにあるお前らの気が、素晴らしく綺麗なものに感じられたんだそうだ。これは絶対に、悪しき者の気ではないと。だから、とにもかくにもこうやって会いに来た、と」
 そういうことか。それならそうだと早く言ってくれればいいのに。って、それが出来ないから困っちゃった訳なんだろうけど。
「お嬢は極度の恐怖や緊張や驚愕で無意識に召喚獣を呼んじまうタイプだから、扱いには気をつけてもらわんと困るぞ」
 それはいくらなんでも不可抗力だったろうよ。
「悪くすれば世界の危機だ。それを危惧する同士なら、手を組むべきだ。そうすべき相手であるかどうかを我々は確認に来た。お前らにそのつもりがあるのなら、黙って我々に協力するが良い」
 またもや鳥、ふんぞり返る。
「随分とお偉い物言いしてくれるじゃないか。お前ら、どっちが主人だかわからないじゃんよ」
 正直に意見を述べたら、鳥、かなり憤慨した模様。クワッと羽を広げて食って掛かられる。
「オレ様はお嬢の従属だ!! お嬢より偉いわけがなかろう!! オレ様はお嬢の意思を代弁しているだけであって、あくまで主人はお嬢だ!! 大体だ、大した能力も持たない人間と召喚師とじゃあ、生まれ持った格が違うんだ!! 偉い者が偉い物言いをして何が悪い!!」
 あらあ、はっきりと言い切ってくれたなあ。
 面白いからもう少しつつきたい衝動にも駆られたけど、当の召喚師である彼女が、泣きそうな顔で鳥を押さえてフルフルと首を振っている。かわいそうだからやめておこうか。
「まあ、お前らがオレたちより偉いなら、それはそれでいいけどね。確かに召喚師の持っている能力ってのは、色々と貴重みたいだしな。オレたちは協力し合った方がいいと思うよ」
 言いながらシイナとソルダムを伺い見てみれば、ずっと無言のままそこにいるふたりは、そろって小さく頷いた。
 召喚師なんて、実物を見たのは初めてだけど、メンタルな面の能力値が高いだけに、実践となると弱そうだ。だからこそ、彼らだけではどうにもならずに、こうやって策を見つけに来たんだろうし。同じ目的があるなら、助け合わない手はない。
 と、ずっと黙っていた少女が、座っていた椅子から腰を上げた。身長が低いから、目の高さがあんまり変わらないんだけどね。
「ご無礼を……お許しください……。サウロも……悪気は、ないんです……」
 か細い、消え入りそうな声だ。なるほど、召喚獣が必要以上におしゃべりになるのもわかるような気がする。
 そうか、その偉い鳥はサウロって名前なのか。

「じゃあサウロ。オレたちはこれから、どうするべきなのかな?」
 サウロに向き直れば、彼(でいいよな)は、フンと鼻を鳴らす。だから、鳥がそういう仕草をするのって変だってば。
「お嬢と合い見えたからには、お前らはお嬢を守る義務がある」
 そうですかそうですか。
 ああ、オロオロする様子がわかりすぎるくらいの彼女が痛々しい。横柄な相棒を持つと大変だなあ。
「で、とりあえずはその各地で蠢いてる気ってのが何なのか気になるよな」
 サウロが頷く。
「それが何なのかを見極めるのが先決だろう。召喚師たちも目立たぬよう動いていることだしな」
「うん」
 オレは椅子から立ち上がって、テーブルをまわりこんで少女に近づいた。
 なるべく脅かさないように、ゆっくりと。
 触れないような距離で膝を突く。よしよし、逃げないな。
「協力をお願いするよ。オレはコーラス。キミはなんて名前?」
「……」
 こぼれそうな水色の瞳が、床を見る。
「……ミリネ」
 ミリネ、か。見た目に似合う可愛らしい名前だなあ。
「よろしくな。頼りにしてるよ」
 と、ついつい勢いで彼女の頭に手を置いてしまったら、テーブルの上から物凄い威力でくちばし攻撃が降ってきた。
 お前のくちばしも頼りになりそうだね……ホントに。





==椎名の呟き==
そこにいるのに出番のない人が二名ほどいます。
次回からは普通に動きますよー、多分!

★『コーラス・ブレイド』最初から読みたい方はこちら★


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