オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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Vol.29 コーラス・ブレイド ~馬の尻尾をめぐって

2007.01.21

 何をするにしてもまず、やらなければならないことが、オレにはある。
 とりあえず一度ポーラス西地区に戻って、ディク先生にイエローストーンのグラスセットを届けて、その後中央ギルドに帰って、事務のおねーさんにもグラスセットを渡さなければならない。
 やっぱり約束は守らないとなあ。

「コーラス」
 ミリネと出会って一晩経って、これからのことなんかをぼんやりと考えていたら、テーブルを挟んだ向かいに座るシイナから声が掛かった。
「なんだー?」
「悪いけど、ちょっと手伝ってくれ。左手がうまく使えないんだ」
 何をやっているのかと思えば。いつもは頭のてっぺん付近で馬の尻尾みたいにまとめ上げている長い髪の毛を、下ろした状態からうまく持ち上げられなくてシイナは難儀している。
「うまく使えないって、昨日折ったから? お前怪我とか魔法力で治せるんじゃないのかよ? てか昨日なおしてなかったっけ」
「応急的な処置をしただけだ。緊急事態でもない限り、あんまり治癒魔法を乱用するのは良くないんだよ。それを続けていたら、身体そのものの治癒能力が落ちる」
 そういうモンなのか。オレがそんな能力持ってたら、ポンポン使っちまいそうな気がするけどな。
 この前のデコクラッシュとか、切った指の止血ってのは、やってもいいことなのかな? ていうか、アレもある意味では緊急事態って言えるのかもしれないけど。
「魔法ってのは小難しいもんだねえ。で、髪を縛るの手伝えばいいんだろ? ちょっとお前床に座れよ」
 シイナを床の上に座らせて、オレはその背後に椅子を引っ張って、そこに腰掛ける。こうすると高さ的にちょうどいいんだよね。
「こう、でいいのか?」
「あだだだだ! 違う! 急にまとめて引っ張るな!!」
 んなこと言ったって。
「オレやったことないんだよ。お前器用だよな。いつもこんな量の多い髪縛り上げてるんだから。面倒くさくない訳? いっそ手が治るまで、解いたままでいるとかさ。そもそもなんでこんな面倒な髪型してるんだよ」
 まとめて引っ張るなと言われたって、じゃあどうやって少しずつ持ち上げればいいのかさっぱりわからない。
「なんでって、この髪を解いてたら、何をやるにも邪魔で仕方ないだろう。もともとオレがこの身体に入る前からケティがやってた髪型だから、それに倣ってるだけだ。実際動くにはいい。まとめている部分が痛くなるのはちょっと困りものだが」
 そりゃあ、長い髪ならまとめておいた方が便利かもしれないけどさあ。
「切っちまおうって思わないわけ?」
「……」
 あれ。
 オレの言葉に振り向いたシイナ、その顔が、なんかポカンとしてる。
「……いや、故人のものとはいえ、一応、他人の身体だし、生前の意思を尊重するなら、やっぱり無闇にそれを変えるってのは、色々と……」
 ああ……。
 必死だなシイナ。つまり、切れば楽になるなんて事実、これまでこれっぽっちも思いつきもしなかったって訳だ、この顔は。変なところで天然なヤツ。というか思考が固すぎるのか。
「何ニヤニヤしてる!」
「べーつにー」
 面白いけど、変につつくと何だか燃え上がりそうだからやめとこう。
「まあ、別にこのままでいいけどなー。長いの似合うし、お前言うところの女ならではの武器ってヤツには、長い髪ってのも入ってるし。色気を演出するには有効だぞー」
 髪の短いシイナなんて、ただの暴れ馬以外の何ものでもない。そうでなくとも中身が大雑把なんだから、見せ掛けだけでも磨いておけ。
「もっともらしいことを言いながら、髪で遊ぶな! 絡まる!!」
「いや、遊んでるわけじゃ」
 結構必死なんですけど。
 しかし、うん、なんかどんどんどツボにはまって行きそうな気配ではあるな。

 ふと、視界の隅に小さな影が現れた。
「あれ、ミリネ」
 相変わらず気配のないままに、ミリネがそっと傍に立ち尽くしている。
「……」
 無言、無表情のまま、ミリネはオレたちに近づくと、オレの脇からそっとシイナの髪に手を伸ばした。
 横から静かに、スイと髪をすくい上げる。
 おお、器用だな。
 ミリネが何をやろうとしているのかを理解して、オレは彼女に場所を譲った。オレは椅子に座っていたけど、ミリネは立ったままくらいの高さが丁度いいらしい。
 大して時間もかけずに、ミリネはシイナの髪を綺麗にアップでまとめ上げてしまった。
 さすがだ。女の子ならではか、それともシイナやミリネに比べて、オレが不器用すぎるのか? いやでもこれって、結構難しいような気がするんだけど。
「ありがとうな」
 シイナが声をかけたが、ミリネは無言のまま一歩下がる。
 相変わらず、しゃべることに関しては不器用なんだな。
 割れたままになっている額には、サウロの身体と同じ色の石が嵌め込まれてるみたいになってるんだけど、それって本当に石なのかな。それとも何か違う物体なのだろうか。ここに初めて来た時には額に割れ目なんてなかったはずだけど、こっちのが普段の姿なのかな?

 その額の石らしきものが、急にちょっとだけ蠢いたように見えた。
「お嬢は一応怪我させた詫びに世話してやってるだけだぞ! いつもこんな風に使っていい存在だと思うなよ!!」
 げ、サウロ。
 ていうか、額の石に点目と小さい口が浮かび上がってそれがしゃべってる。気持ち悪いぞ、それ……。

 ミリネはきっといい子なんだろうし、顔も可愛いんだけど、使ってる召喚能力のセンスだけは最悪なんだよな。
 絶対口に出しては言えないけど。
 召喚師って、みんなそうなのかなあ……。





==椎名の呟き==
面倒くさいですよ。ポニテ。
個人的には好きな髪形ですけどね。自分では面倒くさくてできない。ていうか、ここ数年髪短いから、そもそも不可能ですけどね。

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