オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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Vol.31 コーラス・ブレイド ~旅で食すは

2007.01.23

 ディク先生のいる西地区への道中も、もちろん行きと同じく徒歩だ。きっと街にたどり着くのは、何事もなかったとしても夕方になる。だからまあ、一回くらいは食休みをとりたい。
 というか、素直に腹が減った。
「やっぱり腹が減ってきたなあ」
 丁度いいタイミングで、オレではなくソルダムがそう呟いた。
 けど、ソルダムの荷物をあさっても、僅かな干し肉しかないらしい。もしかしてソルダム、これ噛みながら街まで行くつもりだったのかな。それも不可能じゃないんだけど、やっぱり食べられる時にはちゃんと食べた方がいいと思う訳だよ、オレは。
「何か食べられるもの採ってくればいいじゃん」
 森の中では結構色々と食材が見つかるものだ。もちろんその中にはあの笑い茸も含まれているわけだけど、あれだけ酷い目に遭ったのだから、いくらオレでもさすがにもう同じ間違いはしない。
「オレ、その辺探してくるからさ、ちゃんとしたもの食おうぜー」
「それもそうだな。手分けするか」
 オレはエンデリックに行く時この森を通過するから、どこいらに何があるのかの見当がだいたいついている。確か冬場に美味いキノコと山菜が、この付近には多いはず。
 ひとりで入り込んだ藪の中で、落ち葉を払い除けてみれば、やっぱり。食用キノコの群生発見。近所には冬限定山菜も点在している。
 これだけあれば、充分一食分にはなる。

 バシバシとその辺のものを収穫して数分程度で戻れば、シイナとソルダムはもう元の場所に戻ってきていた。早いな、随分。
「コーラス、そんなに採ってきたのか? 3人で集めるんだから、そんなに大量に持ち帰らなくても良かったのに」
 あ、そりゃそうか。
 この辺は冬でも食材豊かだから、それぞれ草だの木の実だのを持ち帰ってきていた。
 んー、でも、立派な体格の割に暴食しないソルダムと違って、オレやシイナはやたら食うから大丈夫だよ。
「だいじょーぶ、大丈夫。これくらいペロリだって。これあわせて煮込んだら、きっと美味いぜー」
「おいおい、煮込むって、どうやって。オレさすがに鍋やらフライパンやらなんて持ってきてないぞ」
 そう言うソルダム、なるほど、彼は生でも食べられるものしか取ってきていない。
「んー、こうやって」
 その辺に転がっている肩幅ほどの石を、広い場所まで移動する。
「シイナ、よろしく」
「はいよ」
 その石に向かって、シイナは片手をかざした。ブワッと、青い光がその掌を覆う。瞬時にその光が大きな石に向かって発射されて、大きな石の中央部に直撃、粉砕。そこに丸い窪みができた。
「で、こう」
 再びシイナの青い光。今度はその窪んだ石を、光が隙間無く包み込んだ。
「もういいぞ」
 そこに持ってきた飲み水を注げば、瞬時に沸騰して気泡と湯気を一気に放出した。
「はい、食べ物入れて入れてー。肉とキノコでいい出汁とれるよー」
 これぞ、瞬間石焼鍋だ。魔法で石に穴を開けて、そこを高温で熱する。石は焼けるとしばらく熱を保つから、火を起こす手間もないし、魔法を使いっぱなしでシイナが疲れる、なんてこともないしね。もっとも、シイナ自身はこんなことで疲れるほどヤワじゃないと主張してはいるけど。
「……」
 ソルダム、無言でぼんやりと即席石鍋を眺める。
「お前ら、いつもこんな調子なのか……」
 フウ、とため息。
 何か色々と納得されてしまったような雰囲気なんですけど。いいじゃんよ、旅のさなかで食べる鍋ってのも、結構美味いんだぞ。そしてこの石鍋だって、そこいらに放置しておけば、きっと雨が降った後とか、小鳥たちのいい水場になるって。
「ほらほら、まずは肉~」
 ふつふつと沸騰している石鍋に、次々と食材を放り込む。
「……っと、コーラス!」
「え?」
 シイナにガシッと手を掴まれて、動きが止まる。
「お前……これは、なんだ?」
 今まさに鍋に入れようとしていたキノコを指差された。
 なにってこれは、あ。
「もしかして、笑い……」
「もしかしてじゃねーだろ!!」
 うわー、あっぶねえ。これ笑い茸か! ついさっき同じ間違いはやらないと豪語したばかりなのに!! まあ、心の中でだけだから、誰に聞かれてるわけでもないから安心。
「いやでもだって、何かこれ笑ってる顔ってよりは、ちょっと歪んでるから怒ってるみたいに見えたんだよ!! だから気付かず……」
「顔みたいな模様が入ってる時点で疑え、ボケ!!」
 ゴメンナサイ、スミマセン。でも。
「そんなに怒ることないじゃんかー」
 ちょっとした間違いじゃないか。……あ、シイナの目つき、変わった。
「そうか、なら責任とってお前、これ食うか? 遠慮はいらないぞ? ただし、薬代は一切出さないがな?」
「ホント、すいません……反省してます……」
 笑ってるシイナは怖い。どのくらい怖いって、オレたちが爆発させた魚の内臓を拭き取っていた時のソルダムくらい怖い。
 素直に謝るオレの手からもぎ取られたキノコは、シイナの魔法で一瞬にして粉砕された。
 ゴメンな、笑い茸。きっとお前も、採られたからには能力発揮して人を笑わせたかっただろうに。
 ……そんなわけないか。

「ホントにお前らって、いつも、こうなのか……」

 ソルダム、本日何度目かの大きなため息をついた。
 大丈夫、きっとすぐ慣れるよ。うん。





==椎名の呟き==
もうこうなってくると、誰がツッコミで誰がボケなのかわかりません。
ぶっちゃけ持ち回りですかね。

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