オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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Vol.33 コーラス・ブレイド ~お嬢様誘拐事件

2007.01.26

 ディク先生の家で、思い出話なんかに花を咲かせるソルダムたちを眺めていたオレだけれども、そろそろ心配になってきた。
「なあ、ソルダム。ミリネ大丈夫かなあ」
 コソリと呟くと、ソルダムも首を傾げる。
「うん……ちょっと気になるよな。明確にどこで待ち合わせ、なんてしてるわけじゃないから、隠密で動いてるミリネをこっちは待つしかないし」
 ミリネも召喚獣と額をカムフラージュすれば、ただの人間にしか見えないから、きっとおかしなことに巻き込まれたりなんてことはないと思うんだけどね。気配消すの上手いし。
 なんてコソコソと話をしていたら。

 ガシャ―――――――ン!!!

 背後で硬質な破壊音。
 一斉に振り返るオレたちの視界で、家の窓がブチ破られて、深緑色の物体が転がり込んできた。

「大変だァ――――ッ!!」
 叫ぶと同時に、バサッと羽を大きく広げるそれ。
「サウロ!?」
「大変だァ――――ッ!!」
 左右の羽を扇形に広げて、サウロはなおも叫んだ。
 むしろお前が大変だ。
「どうしたんだよ、サウロ!! ミリネは?」
「お嬢がかどわかされた――――!!」
「はあ!?」
 何がどうしてそんなことになった。
 これまで単独で隠れ暮らしてても何とかやってきたはずのミリネが、なんでこのタイミングでさらわれたりするかな。
「落ち着け、サウロ。さらわれたって、誰に?」
「知るかそんなこと――――!!」
 やかましいっつうに。
「大体なんでミリネがさらわれるんだよ。お前なにやってたの!?」
「オレ様はお嬢の中にいたんだ!! 召喚獣は主人に呼び出されるか、主人の危機を感知しなければ表には出てこない!! オレ様がお嬢の身体から開放された時には、もうお嬢は薄暗い部屋の中に捕らわれてたんだ――!!」
 どういうことだ、それ。
「主人の危機を感知って、それが出来なかったのはどうしてだ?」
「お嬢が恐怖や畏怖を召喚獣に伝えなかったということだ!!」
 なんでそんなことになるんだ?
 オレたちの前に現れた時ですら、ミリネは緊張しまくって怖がって、額からこいつを吐き出したってのに、なんで今回は黙ってさらわれたりする?
「ミリネはちゃんと意識を持ってたか?」
「意識はあった。オレ様が外に出た時には、さらわれた、とひとこと言っただけだ。その時には辺りに何者かの気配はなかった」
 なんでミリネはそんなことになっても恐怖を覚えないで平常心でいるんだ?
「大体、お前ら人間と違って空間移動できるんだろ? なんでそれで逃げ出さないわけ? そういうのが通用しない結界でも張られてる?」
 オレの言葉に、サウロはクワッと目を見開いた。
「そりゃそうだ――!! なんでお嬢は逃げ出さないんだ――!!」
 忘れてたのかよ!!
 でもまあ召喚師を閉じ込められる結界なんてのが張られてたとしたら、サウロだってここまで来ることなんて出来なかったと思うけどさ。
「人間なんぞに召喚師が拘束されるわけがないんだ!! お嬢は何でそんな事態を甘んじて受け入れているんだ!!」
 ていうか少し落ち着け。
「ミリネに訊けないのか?」
「やかましい!! 今訊こうと思ってたところだ!!」
 やかましいのはお前だ。
 叫ぶや否や、サウロは急に無言になった。彼ら独自の方法で、ミリネと話をしているらしい。相手がそこにいるわけでもないのに、しきりに頷いたり妙な独り言を洩らしたりしている。お前、人前に出たら人目は気にした方がいいぞ。
「なんてこった……」
 はあああああ、とサウロはため息をつく。なんだなんだ。
「お嬢は、自分をさらった人間に、大樹海を潰した犯人の気配を感じたらしい。その人間を探るために、あえて姿を晒して捕まり、そのままになっているんだそうだ」
 おいおいおい。
 大樹海を潰したって、それはあの3年前の事件だろ? サンレイクや白の塔と、同列の事件のはずだ。それを引き起こした犯人の気配を感じる人間に、あえて捕らわれている、だって?
「ちょっと、それはまずいんじゃないか。いくら何でも危険だろ。逃げ出すように言ってくれ」
「当然だ!!」
 事件を引き起こした張本人かそうでないかはわからないけど、いくらなんでもそんな人物の懐に、単独でいるのは危険すぎる。だって相手は、ミリネのことを、大樹海を潰したときに滅ぼしきれなかった召喚師だって気付いてさらってるってことだろ?
 下手すりゃ殺されるじゃないか。
「ふむ……」
 サウロが意味ありげに声を洩らす。
「お前らには一応感謝しとくべきだろうな」
「何が」
「お前らに危険が及ぶのを恐れて、お嬢は思いなおして逃げ出してくれたようだ」
 それは何より……。
 でもなあ。サンレイクも丸ごと潰して、白の塔を壊滅に追いやって、しかもシイナの身体を奪ったり、大樹海を丸焼きにしたような連中の仲間かもしれない人間から、じゃあさよなら、なんて簡単に逃げ出せるものなのか?
 オレの疑問に、サウロは安心したのか、いつもの通りに偉そうに鼻を鳴らした。
「人間と召喚師じゃ、生きている次元がまったく違う。連中はそれにまだ気付かないと見える。攻撃されれば痛くはあるが、空間を泳ぎ渡る召喚師を、人間の力や結界で閉じ込めることなど不可能だ。唯一それができるとすれば、大自然の驚異である精霊石の加護を受けている強大な力のみだな。それも、お前らが持つような生半可な精霊石ではダメだ」
 生半可で悪うございましたね。
 しかし、召喚師ってのは、話だけ聞いてると、確かに人間から逃げることに関しては無敵っぽいな。
「あえて自分から正体をさらさなければ、人間に召喚師を見分けることは出来んから、もう安全だろう。ここにお嬢を呼んでも大丈夫だな?」
「ああ」
 オレたちは、もしかしたらかなり心強い仲間を手に入れてることになるのかな?

「色々と取り込んでるところ、話の腰を折るようで申し訳ないんだが」
 背後から、突然低いトーンの声が掛かった。
「事の顛末を、説明してもらえるかな……?」

 あ。

 忘れてた。ここ、ディク先生の家なんでした……。
 説明を求めて歩み寄ってくるディク先生は、据わった目をサウロに向けて、口許だけで笑った。
「ブチ破られた窓の修繕費の請求先は、このしゃべる鳥でいいのかね?」
 ディク先生、怖い……。
 ていうか、微妙に論点ズレてますけど。
 どうしたもんかとソルダムを振り返れば、彼は諦めたようにただ首を振った。
 どうやら、洗いざらい話さなければならないらしい……。





==椎名の呟き==
この面子の中で、最強人物って誰なんでしょう。

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