オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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Vol.37 コーラス・ブレイド ~ポットをください

2007.01.30

 やっとだ。
 やっとの思いでポーラス中央地区繁華街に到着。
 行程的にはさほどの苦はないはずなのだけど、何しろモンスターに出遭いまくったのは痛かった。こちとらそんなに殺生趣味はないってのに、向こうが襲い掛かってくるんだから仕方がない。もっとも、モンスターってのは、大多数が攻撃的に出来ているからそれも当然なんだけどね。とにかくモンスターの数自体が増えてたからなあ。
「とりあえずは、オレの家に行こうかあ」
 中央に住み着いて以来暮らしている家は、そんなに広いわけじゃない。3人でくつろぐにはちょっと窮屈な感もあるんだけど、せっかく自宅があるのに宿を取るなんてもったいないことはしたくない。
 て、くつろいでる場合じゃないと思うんだけど、とにかく今は小休止したいんだよ。もう、ほんっと、疲れた。


「思ってたより狭いな……」
 シイナ、はっきり言いすぎだ。
 オレの家は賃貸の住宅が多くある住宅地にある一戸建てだけど、部屋はひとつしかない。飯を食うのもくつろぐのも睡眠をとるのも、この部屋ひとつで済ます。
 ひとりで暮らすには、このくらいで充分なんですよーだ。
「いじけるな。別に悪く思ってるわけじゃない。お前城に住んでたくせに、こんな狭いところで生きていけてるのか」
 今まで散々安宿に一緒に寝泊りしてて、今更何を言うか。
「別に、オレこれでも庶民派だもん。ていうか、衣食住は最低限でも華美でも、どっちでも問題ないよ、オレの場合は」
 生まれて以来ずっと暮らしていた城での生活は、あの頃はそれが普通で何の疑問も持たなかったけど、今の生活も別に不自由を感じるわけじゃない。ぶっちゃけ、生きていられりゃ何でもいいんじゃないかと思うね、オレは。固くて狭いベッドでも、天蓋つきの巨大寝具でも安らかに眠れる自信があるよ。
 昔と違って、今はちゃんと働かないと飯も食えないけど、城にいた頃だって、今と同じくらい身体は動かしてたし、勉強も山ほどしてたし。

「茶でも入れようか……って、しまった、酒しかない」
 誰かを家に呼んだことがない訳じゃないけど、大抵それはハンター仲間だったりするから、大体において酒で済ませてたんだよな。この面子でも問題はないはずなんだけど、これからハンターギルドに向かうのに、酒はまずいだろう。多少なら、酔っ払って出入りしちゃいけない決まりはギルドにはないけど、おそらく事務のおねーさんに張り手を喰らう。
「ディク先生から分けてもらった茶葉があるぞ」
「お、シイナ、ナイス。でもポットがない」
「いいから湯を沸かせ。何とかなる」
 ゴトゴトと並べた木製のタンブラーに、シイナは茶葉をひとつまみずつ直に散らした。
 なるほど、その中に湯を注げば茶にはなるわな。
「この茶葉は、葉のまま噛みしめても清涼剤になるって言ってたから、別に湯と一緒に飲み込んだってかまわないだろ」
「アクセントになるかな」
 湯を沸かしてそれぞれの容器に注ぐと、独特のハーブの香りがたち上がった。うーん、上出来じゃないか。
「……ホントに、お前ら一緒にしとくと何やらかすかわからんな……」
 ソルダム、片手で頭を押さえてる。なんでだよー。
「この光景ディクに見られたら、尻叩きモンだぞ」
 うわ、似合いすぎる。
「でも飲めればそれでいいじゃん。なかなか美味いよーこれ」
 顔を近づければ、ハーブの芳香がふんわりと鼻をくすぐるし、一口飲んでみれば、独特の青臭さと香草のさわやかさが絶妙なブレンドで口に広がる。む、葉っぱが口に入った。モグモグ。お、ちょっと舌に当たる苦味がこれまたなかなか……。
「お前なあ……」
「これがダメならコーラスにポットでも買ってやりなよ。そうすればもう少しマシな茶は入れられるようになる」
「自分で買う気はナシか……」
 シイナのダメ押しに、ソルダム撃沈。ところで問題はそこですか、おふたりさん。
「コンビでボケられたら手のつけようがない。いいコンビだよ、お前らは」
 別にボケてないけどなあ。
「別にボケてない」
 俺の思考とシイナの台詞、見事にかぶった。
「まあいい、もういい。ところでこれからハンターギルドに行くのか」
 ソルダムは、オレたちの中で一番常識人に見えるけど、立ち直りも相当に早い。この思考の柔軟さでオレを拾って帰ってくれたんだから、感謝しなくちゃなあ。
「うん、事務のおねーさんにグラスセット渡して、それからちょっとヤボ用を済ませて、かな?」
「ヤボ用?」
「まあ、行けばわかるよ。それより、ここまで来たんだから、ソルダムもギルドに顔出すだろ? ソルダムの商品の常連のおねーさんがいるんだから、挨拶のひとつもしてくればいいじゃん」
「それもそうだなあ」
 噂では、中央ギルドの事務所内では、ソルダムのイエローストーンのグラスが一大勢力を誇っているらしいよ。女性中心に、自分専用を決めて名札をつけているとかいないとか。これが微妙に色具合や形が違うものだから、微々たる争奪戦も勃発するらしい。実際その光景を見たことはないけど、オレが配達したグラス、通算10セットくらいはあるもんなあ。

 グラスセットを届けて無事を報告して。
 それからオレは、彼に、会わなければならない。
 今日、いるといいけどなあ。





==椎名の呟き==
コーラスとシイナのお育ちの良さを、作者である椎名が忘れがちです。
これはもう、彼らの性格でしょうからねえw

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