オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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Vol.40 コーラス・ブレイド ~呼ばれて飛び出た額

2007.02.04

 目の前に見知らぬ少女が現れて、さすがにウェルバーさんも驚いたようだ。
 や、今オレもちょっとびっくりした。
 わかってはいたことだけど、やっぱりちゃんと結界が張ってある場所に、易々と入って来るんだもんなあ。人間の魔法師なら、絶対に出来ない。
「あれ、サウロは?」
 飛んできたのはミリネだけで、深緑色のやかましいのがいない。
「ここにいるわボケ!!」
「うわあああ!」
 ミリネの額から顔だけ出して怒鳴るのはやめてくれ!!
「貴様は何様のつもりだ坊主!! ひょいひょいとお手軽に呼び出しおって、こちらにも事情ってもんがあるんだからな!!」
「え、今忙しかった?」
「いや、別に」
 ならいいじゃんよおおお。
「……まあいいや。ミリネ、サウロ、そこにいるのがハンターギルドの総督、マジュレ・ウェルバー殿だ。3年前からの異変についての協力者となってくれる人だよ」
 サウロが相変わらずの横柄さで鼻を鳴らす。
「フン……ハンターギルドか。組織としてはでかいな、確かに」
「ウェルバー殿。召喚師のミリネと、その召喚獣であるサウロです。その、少女の方がミリネで、額からはみ出てるのが召喚獣ですが……」
 目を見開いてミリネたちを凝視していたウェルバーさんが、ハッとしたように我にかえった。
 そりゃ驚くわな。
「これは驚きました……。召喚師であるエルフのことは、多少なりと知識として持っていたつもりでしたが、こうも簡単に意思の疎通や空間の移動が出来るとは。陛下、あなたが呼び出したのでしょう?」
「ええ、まあ」
 サウロが苛立ったように、クワッと胸まで飛び出してくる。
「さっさと用件を話せ、坊主!!」
 わかったから、そこまで出てくるなら全身出て来いよお。
「用件というか、総督殿にミリネを紹介したかったってのが大きいんだけど、この場であらためてお願いしようと思ってね」
「お願い?」
 オレは、ミリネとサウロに視線を合わせる高さで片膝をついた。
「今起こっている異常事態の原因を探り、それを取り除いて平穏を取り戻したいという目的は、我々人間も召喚師も同様であるはずだ。我々の戦力は微々たるものながらも、召喚師たちの役に立てると思う。だから我々からも、あらためて依頼申し上げる。召喚師方にも、全勢力を挙げて我々に力をお貸し願いたい」
 サウロが、バサリと羽音を立ててミリネの額から飛び出した。
 アメーバ状でなくても出て来られるんじゃん。どっちにしても気色悪いに変わりはないけどさ。
「フン。長い歴史の中、こちらがどれだけ対策を講じても、人間というのは同じ種族同士で対立をしたがる。永遠に治らんな。それもこの世の理とはいえ、鬱陶しいことこの上ない。では訊ねるがな、亡国の王よ。貴様が今後、どれだけ人間同士でいさかい合うもそれは勝手だが、この世界を、そしてそれを守護し、貴様らを傍観する召喚師の存在を、脅かすことを一切しないと誓えるか。人間は我々と違って統率力がないからな、人間総てを挙げて誓えとは言わん。コーラス・サンレイク。お前は、誓えるか」
 サウロの目が、こちらを真っ直ぐに見つめる。
「誓う」
 人間のひとりとして。
 人間が、その住むべき世界を脅かしてまで何かを成し遂げようとするなら、その世界を平穏に存続させようとする人間は、たとえ同じ種族であってもその行為を許容することはないだろう。たしかにそれは、サウロの言うように情けなくて、悲しい対立でしかないけれど。
「同じ人間だからこそ、他を圧しようとする存在を捨て置くことはできない」
 サウロは頷いた。
「それが世界の理というものだ。わかった。では我々は、貴様らに助力を仰ぎ、また出来る限りの力を貸すことにしよう。その言葉、違えるな」
「わかった。感謝する」
 ミリネがス、と小さな動作で両膝をついた。
「……私どもからも、感謝申し上げます」
「うん」
 相変わらず、主人の方が奥ゆかしいなあ。

「そういうことです。ウェルバー殿。我々には、召喚師が味方についてくれます。彼らの特性については後にお話しすることとして、私があなたにお願いしたいのは、ハンターギルドの精鋭の全勢力を挙げて、暴走するモンスターの沈静にあたっていただきたいということです。普段請け負っている人間の諸犯罪その他に関しては、手続きは面倒ですが、各地自警団にあたってもらった方がいいかと」
「そうですな。そちらの手配は我々で行いましょう。陛下の方は、いかがなされるんです?」
「我々は、向こうの出方を探りつつ、状況によっては機を見て彼らが根城にしているらしいサンレイクに乗り込むことも考えています」
「そうですか。その件についても、打ち合わせが必要ですな」
 ちょっとばかり長くなりそうだ。
 でも面倒な各手配に関してはハンターギルドに一任するしかないから、今ここでしなければならないのは、触り程度の打ち合わせだけだし。

 一通りの打ち合わせが終わったところで、サウロが痺れを切らしたようにバサッと羽を広げた。
「つまらん話し合いはその辺でよかろう!!」
 つまらんってお前な。
 でもおおよそキリがついた絶妙なタイミングで言ってくるあたりが、さすがサウロというべきか。
「話が済んだらここで宴会だ!! ついでに下でやたら女に囲まれているソルダムも呼べ!!」
 良くご存知で。
 って、宴会!?
「なんだよ宴会って!!」
 サウロはエヘンと胸を張る。鳥だけに鳩胸だ。
「お前らは召喚師と関わった数少ない人間だ。少しおとぎ話を聞かせてやろうというのだよ。話の肴はあったほうが良かろう」
 おとぎ話?
「ウェルバー殿、時間は大丈夫ですか?」
 ウェルバーさんは、何も問題はないと頷く。
「おそらく、その話は我々にとって重要なものなのでしょう。何をおいても優先させるべきであると考えます」
「物分りがいいな、人間。そこの小僧も見習え」
「別に嫌だとは言ってないだろ!!」
 急に宴会とか言い出されれば誰だって驚くっての。
 誰も話を聞かないとは言ってませんよ、ええ。

 ああその前に、事務所で女性に囲まれて食器の講釈をさせられてるソルダムを、呼んでやらないとなあ。





==椎名の呟き==
総督室でのお話は……以下略。
召喚獣のクセに妙に庶民臭いサウロです。いつも宴会やってるんだろうか。

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