オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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Vol.41 コーラス・ブレイド ~ところでおいくつですか

2007.02.05

 人間が出現するずっと前から、のちに召喚師と呼ばれるエルフたちは、この世界で暮らしてきた。
 人や他の生物たちのように、この地の上に『暮らす』のではなく。
 この世界そのものと『共存する』という意味で。
 この地に存在する全ての物質の元素を、自ら使役するために形を変え、召喚し。エルフたちのその力は、全て世界の安定のために注がれる。この世の全ての物質と溶け合いながら、この世界の、平穏なる存続のために。
 個々の姿をとりながら、全ての物質と融合しながら生きるエルフたちは、すべての同種族と意思の疎通が可能だ。もともとひとつに溶け合う者なのだから、当然のこと。
 彼らは、世界中に散在する個々であり、同時にひとつなのだ。

 この世界を形作ろうとする力が人の形を取ったのが、エルフの始まりなのかもしれない。

 やがてこの世界に、エルフとはまったく違う次元である『地上』に足を据えて生きる種族、人間が出現した。
 独自の進化を遂げながら、消費と生産を繰り返し、この地を活性化させていく人間を、エルフは彼らと交わること無く見守ることを決める。
 エルフは、地上で生きる生物を、この地を繁栄させる者と判断したのだ。
 そうしてエルフたちは、繁栄を生物たちに託し、大半の時間を大樹海と呼ばれるひとところで集い、自らはただただ世界の安定のために、彼らを傍観する役目を果たしてきた。
 世界を護る者として。

 しかし長い年月を経るうちに、人をはじめとする生物たちは、より強くを求める遺伝子本能のままに、争いを繰り返し始める。
 それこそが、この世を活性化させるための理であるとはいえ、特に目覚ましい発展を遂げた人間は、己の繁栄のための手段を選ばず、時に世界そのものを破壊するほどの力で他を圧しようとした。
 永きに渡る歴史の中で、何度も繰り返された争いの痕跡。
 壊れたものを修復する間もなく、争いは繰り返される。

 世界がほころび始める前に、エルフたちは一計を講じた。
 そうして彼らが世に放ったのが、モンスターと呼ばれる、エルフとも生物とも異なる存在だ。
 モンスターを生物たちの天敵とすることで、同種族同士の争いの沈静を計ったのだ。
 モンスターたちは独自の手段で繁殖繁栄を繰り返すが、他の生物のように巨大な社会を持つことはない。縄張りや権力のために争うことをしないモンスターの存在は、確かな効果をもたらした。
 狩らなければ狩られる緊張の中で、同種族同士の争いは激減した。己の社会を守るために闘わなければならなくなった生物たちは、同士討ちに興じている場合ではなくなったのだ。そして、大きな組織を持たないモンスターを狩るのに、人間が世界を壊すことはない。
 そうしてまた安定した繁栄を取り戻した世界ではあるが。

 やはりそれでも、それを壊そうとする者は現れる。
 今回のように。


 ……というのが、サウロのおとぎ話というか昔語り、なんだけどね。
「初耳だよ……モンスターを作り出したのがエルフだなんて」
 グラスを傾けながら呆れ顔を作って見せても、サウロは知らぬ存ぜぬどこ吹く風、みたいな顔。
「当然だ。人間なんぞが知る由もない話だ」
 浅い皿に注がれた果実酒を、くちばしでビシビシとつつく鳥。
 宴会って言ったけど、まさかこいつまで酒を飲むとは予想だにしなかった。
「もっとも、モンスターを作り出した、というのは随分昔の話だからな。お嬢のように歳若いエルフは、その事実は種族としての記憶でしか持ち合わせてはいないが」
 今もモンスターを作ってるわけじゃないのか。
「エルフはモンスターの祖先を作り上げただけだ。奴らは奴らで勝手に繁殖と進化を続けている」
 う、また考えを読まれた。オレ、そんなに顔に出やすいのかな。
 サウロがギロリと睨むから、その皿に果実酒を注ぎ足した。
「エルフが直接石を投じたのは、その時だけだ。本来なら成り行きに身を任せるが最善だろうが、ただ眺めていたら世界が滅びる。面倒なことだ」
 返す言葉もございませんけどね。
 歴史が長すぎて、エルフと人間の存在が違いすぎて、なんだか話に実感が持てない。モンスターを放たれて怒るのも、人間同士のいさかいを止めてもらって感謝するのも、どっちも何だか違うような気がするし。
 本当に、散々言われてたことだけど、生きてる次元が違うんだなあ。
「この世界に関して、エルフは何をやるのも大抵可能だ。人間で言う神のようにな。だが、エルフはその力を使って人間のように私利私欲や征服のためにその力を使うことはない。これは絶対だ。だが今回のように、この世界の存在をも脅かそうとする輩を黙って見ているつもりもない」
 だからこうして、オレたちに協力してくれる訳だよね。
「オレ様も生まれて100年あまり、のんびり暮らしていたというのに……」
 100年も生きてるのか、お前。
「じゃあ、ミリネの召喚獣になる前はなにやってたんだ? お前」
 オレの質問に、酒をつついていたサウロは勢い良く振りかぶり、オレに酒を浴びせる勢いで怒鳴り散らした。
「阿呆かお前は!! オレ様はお嬢の召喚獣だぞ!! お嬢がその力で作り出したに決まっておろうが!!」
「え? だって」
 だってサウロ、100年生きてるって……100年生きてるサウロを作り出したのがミリネって……。
「ミリネって、何歳なんだ……?」
 サウロが再び怒鳴りかけたけど、酒をなめていたミリネがついと顔を上げて呟いた。
「200年近く生きているとは、思います……」
 ぶは。
 うっそーん。
 200年生きててその外見!? じゃあ一体エルフの寿命ってどのくらいなわけ? それとも生まれてから死ぬまでずっとその姿なのかな。ていうか、エルフって死ぬの? 子供とか産むの?
 色々疑問は浮かぶけど、聞いたらまたサウロに怒鳴られそうだ……。
「なんだ、そんなに驚いて。さてはお前、出会ってこれ幸いとばかりにミリネを手懐けて、大きくなったらモノにするつもりでいたのか?」
 突然傍らのシイナから恐ろしい言葉が出て、サウロが羽をバサッと広げた。
「なんだとお――――ッ!?」
「うわー! バカシイナ、おかしなこと言うな!! んな訳ないだろ!! 誤解だサウロ!!」
 ていうか何だ、なんでみんなオレのこと寄ってたかってそういうキャラにしようとしてる訳!?
「だよなー。お前鈍くさそうだしな、そんな計算高くないよなあ」
「おいシイナ?」
 なんかおかしくないか。
 オレの隣にあぐらをかくシイナをマジマジと凝視してみれば、両手でグラスをゆらゆら揺らしながら、ヘラヘラと気味の悪い笑顔を浮かべている。
「しこたま酔っ払ってんのか、お前――!!」
 ニヤついてたシイナ、急に眉間にしわを寄せてオレを睨み上げる。
「別に酔ってない。酒に弱いのはオレじゃなくてケティの身体だ。だから酔ってるのはオレじゃなくてケティなんだからな」
 ダメだこいつ……。
「お前は全然酔ってないな。もう何杯飲んでる?」
 シイナの反対隣に座るソルダムがオレを見る。
「オレは多分、一晩で飲める酒の量では酔いません。鍛えられたのもあるけど、多分血筋かね。酒場で会計係はいつもオレだもんね」
 多分、酔う前に量的に飲めなくなるよなあ。酒飲んでても剣振るえるのは自分では良い体質だって思うけど。
「頼もしい限りですな。シイナさんの方は、そろそろ別の飲み物にして差し上げた方が良いかと思われますが」
 そうやってオレの事を良く言ってくれるのはあなたくらいですよ、ウェルバーさん。
 ……しかしアレだな。総督室で宴会ってシチュエーションも凄いけど、皆で床に輪になって座り込んでって状態は、想像してなかったな。総督殿までオレの正面であぐらかいてるし。
「じゃあフルーツでも絞ってくるよ」
 立ち上がりかけたオレを、シイナが止めた。
「待てコーラス。そんなもの絞らなくていいから、お前はこれを砕いてオレによこせ」
 木の実割りを使わないと割れない硬い殻を持つ木の実の皿を、オレの目の前にズイ、と差し出す。
 タチ悪いな、お前……。
「いいよコーラス。フルーツはオレがやるから。大体お前にやらせたら、フルーツもグラスも粉砕しかねない」
 サッとためらいも無く立ち上がるかいがいしいソルダム。

 しかしね。なんつうか、その。
 ソルダムだってそこそこ酔ってるように見えるのに。
 素面ですら、そこまで信用されてないオレって、一体。





==椎名の呟き==
いつまで続く、総督室での宴会。いや、終わりますけど。
飲み会で会計係なのは、はい、椎名本人です。
だって酔う前におなかいっぱいになっちゃうんだもん。やはり私は、気分良く酔うためには日本酒ですね。ええ。

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