オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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Vol.47 コーラス・ブレイド ~愛の劇場というか激情

2007.02.13

 次々と放たれる赤い光を避けつつ、オレとシイナは二手に分かれてエルベルンに接近を試みる。
 思っていたほどには速くもでかくもない魔法なんだけど……こっちには弱みがあるんだよなあ。
 エルベルンの身体、あれシイナのなんだもんな。
 ケティさんは、シイナの身体を取り戻す方向で、なんて言ってたけど、イザとなったらどうすればいいのかさっぱりわからない。実際彼女も、確実に上手くいく方法が存在するなんて思ってないんだろうけど。
 ミリネとサウロは涼しい顔をしてその場に留まったままだ。多分人間の魔法は彼らにはほとんど効力を発しないんだろうから、それについてはかなり助かる。

 シイナが、目にも留まらぬ速さでオレの至近距離まで寄って来た。
 小さな声で呟く。
「オレの身体を使っているくせに、魔法力が鈍い。多分……」
 そこまで言って、飛んできた赤い光を避けるために、また離れる。
 多分、なんですってー?

「お前たちに何がわかる! この私の……」
 エルベルンの身体全体が、赤い光で染まった。
 魔法ってどの瞬間に何が起こるのかわからないから、正直苦手だよー。これまで魔法師相手に戦ったことなんてないもん、オレ。それっぽいことするモンスターはいたけど、彼らの行動パターンは読みやすいことが多いし、やっぱり思ったより遅い小さいとはいえ、当たったらかなり痛そうなのには変わりないし。

 棒立ちになってエルベルンを凝視していたソルダムが叫んだ。
「コーラス! 今度の光はさっきまでみたいな鉄砲玉じゃない! 放出型だから避け切れないぞ。離れろ!!」
 うおっと、ヤバい。
「目がいい人間がひとりいるようだな」
 ものの本質を見る目というのは、先読みも得意だ。それを理解したエルベルンの矛先がソルダムに向けられた。まずい。

「モーラは消えた。なのに何故貴様はまだ愚行を繰り返そうとする」
 サウロの言葉に、エルベルンの動きが止まる。
 ぐるりと、狂気に染まる目をサウロに向けた。
「お前にはわかるまい。モーラと共に生きることだけを考え、永い時を過ごした私のことなど……どれだけ心を裏切られようと、共に歩むこと以外に道を見出せなかった者のことなど!!」
「裏切っているのは貴様の方だ。モーラによって生かされた力のない人間のくせに、その命を破壊で使い尽くそうとするその愚かさ。だから、召喚師は人間などと関わるべきではなかったんだ」
 ……えーと、どういう話なんだ、それ。
 こうなった原因は私怨? というか、それよりは……。
「なるほど、魂の秘術を施されたものは、その秘術を行使する力を得る、の見本のような男だな。そうやって次々と身体を取り替えて生きていくつもりか。人として生まれた以上、その魂の寿命は変えられんというのに……」
 はい?
 今さらりと、何か重要なこと言いませんでしたか?
 エルベルンと距離を取って、オレはサウロの姿を視界に入れた。
「なんだそれ、どーいうこと? 魂の秘術って、そういうものなの?」
 そんな場合でもないだろうに、サウロはその場でふんぞり返る。
「人間どもは知らんだろうが、魂の秘術は、どんなに獲得しようとしても不可能な術だ。それを行使できるのは召喚師と、魂の秘術を行使されたことのある人間のみだ。また、だからといって確実に使いこなせるものでもない」
 そうだったのか。
 要は伝染病みたいなものなんじゃん……。
 なるほど秘術とか言われるわけだ。必死になって体得しようとしてる人間もいるんだろうになあ。

「モーラと関わり命を救われ、彼女に懸想する愚かさは致し方ない。所詮人間だからな。だが召喚師と人間では生きる次元が違うのだということを、いつになったら理解するのだ、貴様は!!」
 あ……やっぱりそれ、そういう話なの?
 エルベルンが、見開いた目でサウロを睨みつけた。
「だから私は次元を超える!! 召喚師がそうであるように、この世の全てを手に入れ、人間よりも遥か高位に立ち、召喚師という枷から彼女を開放し……!!」
 あんた、無茶苦茶言ってないか。
 人間が人間を超えてって、そんなことができるものかね。
「ちょっとお前、一緒にいたいなら、それは可能だったんじゃないの!? 現にミリネとオレたちは、一応一緒にいるぞ!?」
 ずっと行動を共にしてたわけじゃないけど、同じ場所で話をして、姿を見て、そういうことは今までしてきた。そのモーラとかいう召喚師と知り合っていたエルベルンなら、それは可能だったと思うんだけど。
 しかしサウロは鼻を鳴らす。こんな時まで嫌味なヤツだな、お前。
「そうはいかんのだよ、坊主。人間の愚かさがそこにある。人間の持つ恋愛感情とかいう厄介な代物は、必ず、相手にも同様のものを求めるようになる。召喚師と人間ではそれも不可能だということを、ヤツはいつまで経っても気付かない」
 うわー、きっぱり言った。恋愛感情。
 なにそれ、つまりこれって痴情のもつれ、とかいうことなのか?
「坊主、お前のようにのほほんと呑気に暮らしてきた人間にはわかるまいが、人間の激情というものが、いちばん厄介なんだ。欲しいものを手に入れないと気が済まない傲慢さを引き起こす。お前にもいずれわかるかもしれんが……こうはなってくれるなよ。ウザいことこの上ない」
「ウザいってお前な……」

「エルベルン!! モーラは貴様に対し、愛情だけは存分に注いできた!! 貴様には特別に肩入れをしてきた彼女だ。だがそれ以上を求めても無駄だと、何度彼女に言わせた!! 人間のように遺伝子で繁殖しない召喚師に、貴様の求めるような恋愛感情など、存在しないのだということを、何度!!」
 ああ、そうなのかあ。
 愛はあるが、恋愛はないってか。繁殖する必要がないんなら、それはそうなんだろうなあ。
 今言われただけでオレは納得できたんだけど、どうしてエルベルンにはそれがわからないんだ?
 それが愛というものなのさ、とかいう感じ?
 ていうよりは。
「人間がするように愛し合っていけないなら、それなら自分が人間を超えた存在になって、せめて同等の立場で共に生きたかった、とかいう結論?」
 生きる世界が違うというなら、同じになろうとか。
 そういうこと?
 オレに視線を移して睨みつけてくるエルベルンは、オレの言葉を否定しようとしてないみたいだから、多分外れてはいないんだろうな。
 そして、モーラを召喚師という枷から解放するために。
 てことは。
 そのために、大樹海を襲撃して、召喚師の存在、その社会自体を一掃しようとした?
 彼女だけは、守るつもりで。

「じゃあなんで、モーラだけ消えるんだか……」
 頭の中だけで考えてたことの末端の疑問だけをうっかり口に出してしまったら、サウロの視線が一瞬こっちに向いた。
「見かけによらず、頭の回転はいいようだな」

 ――見かけによらずって言うな。鳥。





==椎名の呟き==
君たち話が長い。手が止まってますよー。

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