オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

スポンサーサイト

--.--.--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Vol.52 コーラス・ブレイド ~暗躍する人々

2007.02.20

 少しの間黙っていたサウロは、少し雰囲気を変えてまた話し出した。
 サウロの雰囲気の違いを読み取れるようになってしまったオレってのも、どうかとは思うけどね。
「エルフというのは、この世界のあらゆる物質の持つ力が人の形を取ったものと考えて間違いない」
 あらゆる物質の持つ力? って何だ?
「大地の強固な力、炎の燃える力、水の流れる力、光の輝く力、その他様々な物質の特性、それらを体内に抱え、生まれ出でる。そしてそのいくつかの力を、エルフは召喚獣として作りだし、使役することができる。召喚獣という形を取らなくとも自身でその力を振るうことも可能だからつまり、この世界に存在するありとあらゆる力を、借りることが出来るという訳だな」
 サウロが前に言ってたことと合わせて考えてみれば、つまりエルフってのは人の形をしていながら、この世界の一部でもあるから、借りるというか、その力は自分自身の力である、と思ってもいいんだろうな。多分。
「エルフの生命体としての命は消えても、力は残ることがある。多分小僧の魂の秘術を可能にしたのは、モーラだろう」
 サウロはシイナを見た。
 モーラが? 死んでしまってもなお、その力を、エルベルンの行先へと飛ばして?
「お嬢がお前らに見た綺麗な色というのは勿論、お前らの心そのものの輝きもあるんだろうが、それ以外に」
 あら、サウロ様さりげなく認めちゃったよ。
「モーラの守護の力がかかっているんじゃないかと、オレ様は推測する」
「守護の力?」
「まずはシイナの、白の塔での魂の秘術の成功。半ば強引に魂の秘術を試みたケティという小娘が、シイナの魂を引き寄せるのに成功したのは、おそらくモーラの力がそこに加わったからだ。でなければ、そう簡単にそんな高等なマネが出来るわけがない。だが」
 だが?
「魂の秘術自体、それを術式として行使したのは、他の誰でもないシイナ自身だがな」
 サウロの言葉に、シイナが一瞬眉を寄せた。
「オレが?」
「そうだ。魂の秘術を受けた者は、その秘術を使えるようになることがある、という話はしたな。それは実際には、魂の秘術により身体から魂を追い出された者にも当てはまる。大抵の場合、身体を追い出された者の魂は当然死に至る訳だから、その力に目覚めることはまず無いがな」
 そりゃそうか。
 拠り所となる身体が無くて消滅する訳だから、その術を体得している暇はないって訳だな。
「だが今回のケースでは、モーラの力が加わり、ケティの身体にすぐに受け入れ体勢が整ったせいで、魂の秘術は成立した。エルベルンから術を受けたその一瞬のうちに、シイナは自分でも無意識のうちに、秘術の体得と行使を成功させたのさ。確かに稀に見る能力の高さだな」
 勿論それはモーラから聞いたわけではないから、推測に過ぎないと、サウロは付け足す。だがおそらく間違いはないだろう、とも。
「今回の騒ぎを起こしたのがエルベルンだと確定するまで、それは確信できなかった。だが犯人がわかった時点で、全て繋がった。コーラス、お前がケティが生きている、と言ったことも、その材料になった」
 え、そうなのか。なんでだ? ケティさんが生きている理由も、モーラさんが関係してるのかな。
「魂の秘術が成立した時点で、その身体に元からあった魂が、その身体で生き続けるのは通常不可能だ。元の魂を追い出してこその秘術だからな。だがそこに、モーラの力が加わった。モーラの力がケティの魂をその身体に留まらせ、奥底で眠らせた。普通、まずやらないことだが、今回ばかりはモーラはそうせずにはいられなかったんじゃないか。――お嬢が感じた魂の輝きは、おそらくモーラの力の片鱗も含めてのことだろう。今ならはっきりと言う事が出来る。そしてコーラス、お前もしかりだ」
「え、オレ!? の何が?」
「お前がひとり無事でいられたのも、モーラの力あってのことだ。精霊石の力もあるだろうが、それだけでは生きてエンデリックにたどり着けた可能性は、かなり低い」
 そう、なのか?
 あの時にすでに、モーラの力がオレにも?
「お前たちふたりの中には、とてもよく似た色の輝きがあったのさ。同一のものと言っても良いくらいのな。それが、モーラの力がそこにある証になっている」
 ふう、と、長く放し続けるサウロはひとしきりため息をついた。
「エルベルンの凶行から、できるだけ多くのものを救いたかったんだろうさ。もしかしたら他の壊滅させられた地域でも、モーラの力が加わって被害が軽減した場所があるかもしれんな」
 あれほどに惚れた騒ぎをしていたエルベルンも、モーラのその力に気付くことはなかった。それに絶望するように、サウロはらしくもなく俯く。
「エルフが世界を託した人間の言う愛などというものは、その程度か。幻滅させてくれる。だがここには、救いとなる純粋な忠誠心も存在したようだな」
「純粋な忠誠心?」
 ケティだ、と、サウロは言う。
「今回の魂の秘術は、ケティが行使したものだ。彼女もつまり『魂の秘術を受けた者』な訳だからな」
「あ、そうか」
 シイナと同じで、ケティさんの魂はそこから消えてしまった訳じゃないから。秘術を体得できる可能性はあった訳か。だとすればきっと、あの時シイナが意識を失った瞬間に。ケティさんはシイナの魂を、元の身体へと押し出したのか。
「だが彼女の力はあまり強いものではない。エルベルンの魂を追い出す力の無かった彼女は、魂の交換を行うことで例外的に秘術を完成させたのだろう」
 追い出すよりは、交換した方が簡単だ、ということなのかな?
 でもそれって、自分にとってリスクが大きいような気がする。あのエルベルンに、自分の身体を渡すなんて真似は。
 でも。
「ケティさんが何よりも望んでいたのは、シイナを元の身体に戻すことだったから」
 あの時オレにそのことを訴えたケティさんの必死な姿を思い出す。
 自分のことはどうでもいいと言った、彼女。
「そうなのだろうな。シイナがあの時自分の命を犠牲にしようとしなかったとしても、他人の身体で長く生きることは出来ない。エルベルンのように数十年保てる者もいるが、一年と持たない者もいる。こればかりはどうしようもない。だから、白の塔の頂点であるシイナを生かすために、彼女はどんな手段を用いても、シイナを元の身体に戻すことを最優先させたのだろう。その忠義は感心に値する」
「……」
 無言のまま、何事かを考えているシイナ。
 それもそうだろうな。当然だ。オレだってそうだ。

 気付かないうちに助けられてたんだな。オレたちは。
 モーラの命は消えてしまったけど。ケティさんは、まだ手遅れじゃない。いや、本当はそんなことわからないけど。でもそう信じてなければ、きっと彼女を救うことなんてできない。
 オレたちが、エルベルンを止めないと。
「まあ今は、詰め込みすぎた頭の中を整理するがいい。余裕のない脳みそは、ろくでもない考えしか生み出さんからな」
 相変わらず口の悪いサウロの物言いだけど、それでもオレは納得してしまった。
 そうだ。今は何を考えても、きっと混乱が先に立ってしまう。

 少し落ち着いて、それから考えないとだよな。
 これから、どうすればいいのかを。





==椎名の呟き==
状況解説の回、これにて終了!! ……ホントか?
書く方も大変だったので、見る方も大変なんじゃないかと推測しますがどうでしょう!!
一応念のため、このお話、大筋はライトですから! ライトって言っても、某死のノートの出てくるお話の主人公のことではなくってよ!!<そろそろ頭の中切れてきた模様。

★『コーラス・ブレイド』最初から読みたい方はこちら★


人気ブログランキング参加中!
よろしければポチッとお願いいたします♪
人気blogランキング



テーマ : 自作連載小説

ジャンル : 小説・文学

コメント
コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

椎名シイ

Author:椎名シイ
 
オリジナル&二次小説、ボカロKAITOやゲーム感想や普通の日記をとめどなく。
一部微妙に腐女子向けかも!

インフォメーション

Twitter

管理人へのメールフォーム

pixiv
pixivは二次創作腐向け小説と絵。ジャンルは雑多。

カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

10月 | 2017年11月 | 12月
 日  月  火  水  木  金  土
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -


訪問者数
ラグナロクTV

このブログ内における「ラグナロクオンライン」から転載された全てのコンテンツの著作権につきましては、運営元であるガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社と開発元である株式会社Gravity並びに原作者であるリー・ミョンジン氏に帰属します。 © Gravity Co., Ltd. & LeeMyoungJin(studio DTDS) All rights reserved. © GungHo Online Entertainment, Inc. All Rights Reserved. なお、当ページに掲載しているコンテンツの再利用(再転載・配布など)は、禁止しています。
ブログ全記事表示
ブログ内検索
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。