オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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Vol.56 コーラス・ブレイド ~王家の成年指定本

2007.02.25
「長い歴史の中では、稀にエルフが人間と深く関わる事例も無い訳ではない。例えば今回のエルベルンのようなケースもあるがな」
 サウロはエヘンと咳払いする。
「まああらためて話さなければならないほどたいそうなことでもないが、サンレイクの建国にも、エルフが関わっていた訳だ」
「へえ……」
 としか言いようがない。それは初耳だあ。
「前にも話したとおり、人間がこの世界に台頭してきた時から、エルフはその繁栄を人間に任せるようにしてきたわけだが、サンレイクの精霊石に関してもそうだった」
 サウロは遠い目をする。
 つってもサウロが実際にその場に居合わせた訳ではないだろうが。なんて言ったらくちばし攻撃が待ってるだけだから口には出さないけどさ。

 つまりが。
 精霊石の集積体である、この世にふたつとない島。
 その島を代々において護り生きていくという役目を、はるか昔、エルフはひとりの人間に託したのだという。
 それが、サンレイクという国の始まり。
「勿論ひとりだけでは人間の短い人生では限界があるな。託されたその人間は、ある程度の数の人間を集めて集落を作った」
 そして精霊石そのものを使って巨大な結界を作り、精霊石を護るという民族が誕生した。
「精霊石はその力ゆえに、それを欲して戦乱を引き起こす可能性もある。だからエルフは、その石の使い道を人間の間に氾濫させないように努めた」
 何がしかの力があるのに、それを使わないなんてもったいない気はするけどね。確かにサウロ様のおっしゃるように、人間はあまり頭の良い生物じゃないんだろうから、どちらかというとロクな使い方を思いつかないんじゃないかな、実際。
 だから、魔法力増幅だとか結界に使えるだとか、そういうことはサンレイクやハンターギルドの一部の人間しか知らされていなかったと思う。あと多分、白の塔かな。
 一応、長い歴史の中で頑張って護ってきた方なのかなあ。
 最初にエルフにそれを託された人間てのは、よほど信頼に足る人物なんだろうね。
「それを王であるお前が知らんとは何事だ」
 そう言われましてもー。第一オレが王位を継いだ一瞬後には国は滅びてたんですけどね。
「だって一度もそんなこと知らされなかったよー」
「代々それを伝え護っていくという約束を交わしたのだぞ、お前の祖先とは! まあもっとも、あまりに長い歴史だ。どこかで血縁も途切れている可能性もないではないが」
 そうでしょそうでしょ。
 だってオレだって建国史とか勉強しなかったわけじゃないけど、そんな始まりがあったなんて一度だって……あ。
「もしかして……あれかな」
「なんだ」
「そういやうちに、そんな本があったかなって」
「うちにそんな本がって、お前な」
 ソルダム苦笑。
 うむ、まるで絵本でも探すような言い方をしてしまった。
「なんか、オレが20歳を越えたら読みなさいとか言われてる古い書物は確かにあった。一度表紙を見せられただけで、普段は厳重に保管されてたから勿論内容は知らないんだけどね」
「発禁本かよ……」
 シイナ、発想がエグい。
 でももしかしたらその本に、そういう内容が書かれてたかもしれないな。今となっては当然知る由もないけどさ。
「まあ」
 サウロ、ややあらたまった口調になる。
「そうやって伝え受け継がれることが出来なくなった時には、こうやってオレ様のように口頭でそれを伝えてやる存在が現れる。そういうものだな。歴史なんぞというものは」
 確かにそれは言えている。
「それに、サンレイクがこうやって標的になったのも、何もこれが初めてというわけでもない。それくらいは知っているだろう」
 さすがに、それはオレでも知っている。
 ここ最近はなかったけど(最近といっても何百年という単位だけど)、国の歴史が長くなれば、そういう話がまったく無い方がおかしいってもので。サンレイクだって、何がしかの理由で結界が破られたりだとか、外交に手を伸ばしたおかげで侵略されかかったりと、それなりの危機は何度となく体験してきた。
「サンレイク以外の精霊石の産出国にも、同様に昔エルフが護人を配置したものだが、さすがに島国のようにうまくは行かなかった。その辺は人間がそれなりにうまくやっていたようだがな。それに精霊石は、一度無くなったらそれっきりというものでもない」
 まあね。乱獲されれば勿論なくなってしまうけど、精霊石自体は時間をかけて生成されるものらしいし。ホントに時間かかるけど。
「だがサンレイクは特別だ。あそこは精霊石の聖地と言ってもいい。精霊石がなくなったからといって、世界が滅びるわけではないが、あの大量の精霊石が間違った使い方をされれば、世界など簡単に滅びるのだぞ」
 ギロリとオレを睨むサウロ。
 どうしろっていうのさー。
「まあ、その運命すらも、エルフは人間に任せたのだから、どんな結果になろうとも容認するつもりではあったがな。本当の世界の危機なんてものが訪れたその時には、エルフが活動を始める覚悟があったわけだしな」
 その時には、人間の尻拭いに走るわけですね。
 ああ何というか、まさに今がその時なのかもしれないけど。
「大体において、あれほどの精霊石の力を使って張られた結界が、人間に破られるはずがないんだがな。エルフでも無理だというのに」
 そうなんだけどね。
 シイナの身体を得たエルベルンが大暴走して国を滅ぼしたってのも恐ろしい話だけど、あれだけ無茶な力の使い方が出来るヤツのやり方なら、それはまだありえない話じゃないと思える。でもサンレイクのあの結界を破るっていうのは。
「誰かが、故意に結界を解かない限り不可能だ」
 サウロの言葉には頷くしかない。
 誰かが、故意に、ねえ。
 それはサンレイクの中に、国を滅ぼそうとするエルベルンに加担した裏切り者がいるという訳で。エルベルンの狙いに気付いていたかどうかはともかくとして、許可無く結界を解くのはやってはならない重罪だ。
 それに。
 故意に結界を解けるなんて、そんなことが出来る人間自体が限られている。
 これまではもしかして、結界を破る方法なんてのがあったのかなあ、位に思ってたけど、ミリネたちに出会ってそれが不可能だと知ってしまえば。
 やっぱり結界を解いた犯人がいるってことなんだよなあ。

 オレが良く知っているはずの、要人の中の誰かが。
 もう、今更な話だけどね。





==椎名の呟き==
ハイキング続行中なんだけど、コーラス何も食べてない。
お腹すかないんですか。

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