オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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Vol.59 コーラス・ブレイド ~いくら奢ればいいのかな

2007.03.01

 ポーラスからエンデリックまでの道のりは、馬で移動させてもらえたおかげであっという間だった。実際は、オレが走らせる馬の後を数十台の馬車が追いかけてくるという大行脚だった訳だけど。こんなにいたんだな、ハンターって。
 エンデリックから船へと乗り換えて、一路サンレイクへ。
 サンレイク近海(正確には港付近)のモンスターは、先着したハンターたちが殆ど片付けていてくれた。素晴らしいチームワークに感謝感激。そしてありがとう、ウェルバーさんと召喚師たち。

 海に突き出している船着場は、精霊石の結界の外にある。
 わずかばかりしかない外交でも、島全体を結界で覆ってしまうのは色々不便だったからね。ここだけは今も、結界のうちには入ってないみたいだ。
 港付近の結界に穴をあける計画、多分これにはエルベルンは気付かない。自分で張った結界ならともかく、もとからサンレイクにあった精霊石の結界をそのまま使ってるんだろうからね。精霊石による結界に関しては、いくら魔法師でもその有無が殆ど判別できないくらいなんだ。よほど近くにいれば、さすがに切った張ったはわかるけど。

 サンレイクの景色は夜の闇に沈んでいる。
 予定通りだ。隠密行動は夜のうちがいいってね。とはいえ、オレたちが城に着くのは、次の夜になる予定だけど。
「伝達。これからオレとシイナでサンレイクの結界の一部を切る。合図を出したら、総員速やかに結界の内側へ侵入してくれ。その後は各部隊の代表の指示に従うように。よろしく頼む」
 ハンターにはエルフがそれぞれに結界を施しているから、よほど騒がない限りエルベルンはその存在に気付かない。彼らがモンスターをひきつけてくれている間に、オレたちは城跡へと近付くって寸法だ。
 もし騒ぎに気付いても、とても動くどころの話じゃないと思うけどね。彼も。

「というわけでだ。シイナ、その槍の出番だ」
 説明済みにも関わらず、いぶかしげなシイナの顔。だからそれ鍵石になるって言ったじゃんよ。
「これ、槍に加工してあって大丈夫なのか?」
「だいじょーぶ。形の問題じゃないから」
 これはいわゆるマスターキー。サンレイクの結界がいつどんな風に張られても切られても、これがあれば必ず開閉できる、王と父とオレしか存在を知らされていなかった鍵だ。
 だから王は、この石を持たせてオレを逃がした。
 いつか、ここに戻ってくる日が訪れても大丈夫なように。
 これは普通の鍵とは違うから、形が合うとかそういう問題じゃないんだよね。鍵となる石さえ存在すれば、どんな形になっていても大丈夫。
「ここが結界の壁」
 オレは指差してみせる。
 結界って言っても、普通に壁があるみたいな感じじゃなくて、その先に進もうとしても、足が進まないというか何気に押し戻されるというか。柔らかく拒絶される。これは魔法師が普通に張る結界と変わらないらしいけどね。
 でも前の戦闘でミリネが張ってたみたいなホントの壁もあるから、このジャンルは奥が深いね。
「このポイントだな。間違いない。ここにその槍を刺して。あとは打ち合わせどおりにな」
 どこから見ても、何の変哲もない港付近の路上。だけどオレはその場所をしっかりと記憶している。3年前のエルベルンのおかげで、この場所も見るも無残な大災害の跡、だけどね。
シイナが槍を固定したのを確認して、オレはそこから離れた。
 50メートルほど離れた場所まで来て、オレはシイナに向き直る。手で合図して、その地上の一点に、オレは自分の精霊石の剣を突き刺した。

 このふたつの石が、結界の鍵。
 オレは生まれたその時から、鍵のひとつを預けられていた。

 これで、結界の一部が切れる。
 そうだなあ、半円形のゼリーの端に、スッとナイフを入れる感じかな?

 オレが手を挙げるのと同時に、一斉にハンターたちが港の路上を駆け抜けた。
 うん、ソルダムとディク先生が指揮してくれてるから、彼らは安心だな。
 時折、行ってくるぜーだの、後で奢れーだの声を掛けて行く連中がいる。普段ツルんでる連中だ。彼らも参加してくれてたんだな。きっと、詳しいいきさつなんて説明されてないだろうに、ここにオレがいることを、詮索もせずに。ありがたい話だ……ホントに。
 全員が結界の内側に入って、立ち止まることなくそれぞれの持ち場へと駆け出していく。彼らと共に、おそらくは姿を見せない召喚師たちも。そして最後にミリネとサウロ。これで全員だ。
 オレとシイナは鍵石を固定したまま、身体を結界の内側に入れた。そして、せーので剣と槍を引き抜く。
 これでまた結界は元通り。
 この仕組みのせいで、オレひとりだと、どうにもならなかったんだよなあ。
 海で手を振るハンターたちに手を振り返して、オレは普段港の結界を開けるのに使われていた施設の跡へと向かった。まあ、目と鼻の先だけどね。

 何かが残されているかもしれないなんて、毛の先ほどの可能性を考えてその小さな施設の跡を探ってみたけれど。

 本当に、残ってるなんてなあ。

 小さな小屋のような造りだった建物の跡の、元は床だった地面に半分ほど埋もれた精霊石のブローチ。正確にはその装飾部分。
 人間なんて微塵も残さず焼き払ってくれたエルベルンの魔法でも、これだけは残ったんだなあ。決定的な証拠として。
「なんだ、それは?」
 シイナがそれを覗き込む。
「エルベルンが結界の中に入り込んだ時に、ここにいた人間のものだよ」
 そのタイミングでここにいた人物。エルベルンが国を襲撃したあの時、この場にいる必要はなかったはずの、人物の。
 あの人はいつも、これを付けてたよな。
「これの持ち主が、エルベルンを招き入れるために、結界を開いたんだ」
「……!」
 結界を開くことの出来る人間は、ほんの僅か。

 そして、その中でこのブローチを身に付けていたのは。
 間違いなく、たったひとりだ。





==椎名の呟き==
ゼリー以外に例えられるものはなかったのか。

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