オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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Vol.63 コーラス・ブレイド ~ヘタレでラッキー

2007.03.07

 城に近付くにつれて、草の丈もどんどん低くなってきて。
 焼けたままの大地がむき出しになっているそこは、ただの岩場にしか見えないけど。
 これまでも続いてきた勾配が少し急になってきて、目指す場所が見え始めた。遮るものもなくて見晴らしの良すぎるその景色。もう城があった場所まで見えているけど、そこにエルベルンの姿はまだ確認できない。
 見えるのは、元は城だった瓦礫の山だけだ。
 建材に殆ど精霊石は使ってなかったとはいえ、あれだけ強固な造りだった巨大な城を、こうもたやすく石の屑に変えてくれたエルベルンの魔法力ってのは、どれほど大きなものだったんだろう。
 だけど城そのものを破壊してくれたおかげで、エルベルン自身もここからすぐに逃げ出すことは出来ない。
 王座があった場所にはその場の結界を解くための鍵となる場所があって、そこからオレは外に放り出されたんだけど、もうその鍵は存在しない。瓦礫の向こうは断崖絶壁、はるか下には海が広がっているけど、結界が解けない限り、エルベルンがそこから脱出するのは不可能だ。

「何故……貴様らがここにいる……」

 その瓦礫の山の頂上付近に、エルベルンはいた。
 無造作に積みあがった岩の上で、その岩に全身をもたせ掛けるような格好でいたから、遠目では判別できなかったんだな。
「結界の中なら安全だと思った?」
 まさか昨日の今日くらいの勢いで、攻めて来られるとは思ってもみなかったんだろうな。理論上、精霊石で出来た結界を外から解くのは不可能。だからこれまでの3年間、誰にもジャマされずに力を蓄えて来られたんだろうから。
 今度は何年かけて、力を回復させるつもりだったのかな。
「サンレイクの子せがれが生きていることを知ったくせに、それを放置してたお前が迂闊なんだよ、エルベルン」
 あの状況で、そこまで考えて、さらにどうにかする余裕なんて無かったかもしれないけど。
「まさか……貴様が結界を」
 エルベルン、岩場からゆるゆると頭を持ち上げる。
 おっくうそうだなあ。
「サンレイクの跡取りは、結界についてぜーんぶ学習済みなんだよね。オレは誰とも継承権争ってなかったし」
 祖父の後は父。その後はオレ。わかりやすい図式の下で、継承権のあるオレたちは、国の結界についても精霊石についても、門外不出の扱い方について全て受け継いできた。
「お前を招き入れたヴェルネッティからは、何も聞かされてないだろうけどね。彼女自身も知らない話だから」
「……」
 否定の言葉は返ってこない。
 ということは。やっぱりエルベルンに加担したのは、彼女だった訳か。ヴェルネッティというのは、オレの母親の名前だ。
「もったいない話だな。父親の身体から他の身体へ、そしてその身体で力を使いきったらすぐシイナの身体へ。そこでも派手に力を使い尽くしてとりあえず篭城。それだけ無茶苦茶な力の使い方が出来るほど大きな魔法力を持ってたんだから、上手く使いさえすればホントにこの世界だって手に入れられたかもしれないのに」
 そう上手くは行かないのが世の中ってものかもしれないけど。シイナの身体でどこまで保てるかも謎な訳だしね。でも結構イイ線までは行けたと思うんだよね。エルベルンほど、激情に走ったりしなければ。
 そもそも他人の身体を渡り歩いてって計画自体が、破綻してるって話もあるけど。それすらもものともしない何かがあるんじゃないかって思ってたけど、そういうことでもなさそうだよなあ。本当に計画性がない。
 まあそんなヤツだったおかげで、オレたちにもそれを止める道が開けたんだけど。
「今のお前に勝ち目はないよ。お前はここから逃げられない」
「……黙れ」
 エルベルンはゆるゆると立ち上がった。
 あまり無理をしてはいかんよ。腹に穴は開いてるし、左手骨折してるし。ケティさんの身体、大事に扱って下さいな。
「この身体が人質だということを、忘れるな……」
 まあ、確かに。
「人質を傷つけることができない甘ちゃん集団だって読みは当たってるけどね」
 でも何の対策もないまま、ここにいる訳じゃないよ。オレたちは。

 人が人を裁くには、本来それ相応の手続きが必要なものだとは思うんだけどね。
 殺された多くの人のためだとか、この世界を壊させないために、なんて。そんな大それたことを口上に出来るほど、オレは人間の代表みたいな立場じゃないんだけどさ。本当は。
 だから、まあ。
「私怨だと思っておいてくれていいけどさ」
 それでもオレは、お前を許すことはできない。
「お前ももう、愛した人のいない世界で無理して生きることもないよ」
 モーラはもういない。
 お前が手にかけたんだよ。
 この世で一番愛したはずの人をさ。
「黙れ……黙れ黙れ!!」
 怒りの形相に変わったエルベルンは、右手の先に赤い炎を生み出すと、瞬時にしてそれをオレに向かって放った。
「無駄だ」
 オレの前に立ちはだかったシイナが、ゆるりとした仕草で槍を横にひと振りしただけで、その炎の球は弾き飛ばされて、瓦礫の一部に小さな穴あけた。
 どうしてそんな風に力を使っちゃうかなあ。

「見なよ、エルベルン。ここに映し出されているものが、何なのかさ」
 オレは、腰に差していた愛用の剣を、目の高さくらいで空に向かって突き立ててみせた。

 エルベルン。これがお前を導く、精霊石の剣だよ。





==椎名の呟き==
書いてて一番ヴィジュアルで想像できちゃったのは、おっくうそうなエルベルン……。
こんな時がありますよ、椎名にだって(笑)。
次回決着ですかね~。どうですかね~。
まだ最終話にはなりませんけど!

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