オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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02 逢魔が時! 第一話【逢魔が時、来たる!】…2

2007.03.14

 とりあえず、だ。
 未知との遭遇を果たした巡、思いつく選択肢はふたつあった。
 とにかく少女を枝から下ろしてやるか。もしくは、見なかったことにするか。
 迷わず後者を選びかけた。別に枝に絡まって難儀している訳でもなさそうだし、むしろ幸せそうな顔で眠っているのを、起こすのも申し訳ない。
 そうだ。知ったことではない。

 しかし、微笑む寝顔で逆さ吊りになっていた少女が、うっすらと瞼を開き始めた。

 手遅れだ。逃亡失敗。
 パカンと開ききった大きな瞳は、逃げ腰だった巡の姿をしっかりと捉えていた。

「おお~」
 逆さ吊りの少女。ニヤリと満面の笑みを作った。
「ひさしぶりだのぉ~」
 ひさしぶりと言われても。お前なんか見たことも会ったこともない。
 声にできずに心の中だけで反論する巡にはまるで構わずに、少女は下半身に絡まっていた枝から、実に簡単にスルリと抜け出した。今までずり落ちなかったのが不思議なくらいの滑らかさだ。
 そのままクルンと半回転して、ストンと地上に着地する。
 幼児のクセに器用な。いや、何でも体得するのが早い幼児なら、これ位のことは朝飯前なのか。
 着地した時に巡に背を向ける形になった少女は、元気にクルリと振り返った。
「元気にしていたかの」
 ニコニコと巡を見上げる満面の笑顔。
「誰だ、お前」
 見た通り自分は元気だが、見たこともない幼児に、そんなお伺いを立てられるいわれはない。木の枝に絡まって逆さで熟睡する知り合いなど、いないはずだ。心当たりがない。
「なんだ、冷たいな。……まあそうか、人間はいちいち面倒くさいからの」
 齢10年に満たなそうな幼児、まるでこの世を悟ったような口調だ。
「人間と話をしたのは、実に久しぶりだ。ぬしという個人に会ったのは、初めてかもしれんがの。どうだ。人間は元気かえ?」
「……」
 なんだ、こいつ。
 言動が、かなりヤバいんじゃないか。というか、何かを言われても、それが意味のある言葉として頭の中にまで届かない。
 巡は、ジリ、と足を後退させた。
 こんなおかしなヤツと、係わり合いになるのはマズい気がする。
 巡は、クルリと踵を返すと、物も言わずにその場から駆け出した。見なかったことにするのは手遅れになったが、とりあえず気持ちが逃げを打った。
 走りにくい雑木林だが、全力で逃げれば幼児に追いつかれるはずはない。ここで逃げればもう会うこともないだろう。家や学校の近所というのが少々引っかかるが。

「急に走り出すとは何事だ」
 耳元で、声が聞こえた。
「うわああああ!!」
 幼女が、いつの間にか自分の背中におぶさっている。巡は自然の成り行きで急停止した。
「せっかく会えたのに、話もしてくれんのか。というか、今逃げても困るのはぬしなんだがの」
「お前、誰だ! お前なんか知らない!!」
 どうやって追いついたのか。どうやって走る巡の背中に飛びついたのか。さっぱりわからない。気味が悪い。普通じゃない。
「だーから、ぬし個人と会うのは初めてだとちゃんと言っておるだろ。永い時間を眠って過ごすしかなかったわちを、少しくらい歓迎してくれても良さそうなものだ」
 歓迎しろと言われても。
「お前みたいなおかしなヤツに関わりたい訳ないだろ!」
 自分を背負ったまま怒鳴る巡に、少女はうーんと困った顔を見せる。
「そりゃあ、きちんと話も出来なければ理解のしようもあるまいよ。まだ先駆けのこの時代、ぬしがわちと出会ったのも、その力ゆえの縁なのだからして、話くらいしても損はないと思うぞ」
 言いながらも、少女はフウとやけに大人びたため息をもらす。
「もっとも、いつの世も人間というのは、他のものを受け入れがたい性質をしておるがの~。そうでなければ、いくら魔の刻が過ぎたとはいえ、こんなにわちらが隅に追いやられることもなかったろうに」
 巡には、言っていることが、まるでわからない。
 どこぞのオカルトマニアが喜びそうな単語が聞こえなくもないが、それを普通の小学生である巡が理解するのは難しい。

 ストンと、少女は巡の背から飛び降りて、素早く彼の正面に回った。
「ぬしにもわかりやすいように、結論から言ってやろう」
 相変わらずの、満面の笑顔。しかしこの状況では、つられて笑い返すこともできない。
「わちは、人間ではないよ」

 きた。
 きたきたきた、来ました。
 私は宇宙人ですとか伝説の戦士で世界を救うとか、そういう発言が得意な人種か。もちろん巡はそういった世界に明るいわけではないが、こんな子供がそんな怪しい言動をしてしまうのが、普通ではないこと位はわかる。一体この子親はどういう教育をしているのか。それとも親兄弟が伝説の戦士か。
「世も末だな……」
 つい、呟いてしまった。

「そうだの。生きる者の全盛の世は終わり、これからは魔の刻となる。その移り変わりの時代。今はまさに、逢魔が時、なのだよ」

 巡の言葉を受けて、正体不明の少女がにこやかに答えたらしいが、彼はそれをやけに遠くで聞いている感覚があった。
 結局やっぱり巡には、言葉の意味はさっぱりわからなかった。





==椎名の呟き==
どうもババくさいイメージの強い幼児登場。
主人公もジジくさそうだし、この小説、もしかして平均精神年齢が高いのか。

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