オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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03 逢魔が時! 第一話【逢魔が時、来たる!】…3

2007.03.16

 言っている意味がわからない。
 そう呟いた巡に、少女はやれやれと苦笑しつつ左右に首を振った。
「物わかりが悪いの~」
 その言葉に、いささかムッとする巡。
「人間じゃないって言うなら何なんだ」
 どこからどう見ても人間にしか見えないじゃないか。まあちょっと運動能力が高かったり、木にぶら下がったりはしていたけど。
 少女は、一瞬フッと遠くを見るような目を見せる。こういう見た目に似合わない大人びた仕草も、巡のカンに障るのだ。
「さあ、何なんだろな。人間にはよく、魔物だの鬼だのと言われておったがの」
 これのどこが魔物だ。それに、鬼なら角でも生えていそうなものだ。
 巡は、ごくごく一般的に魔物だの鬼だのと呼ばれる架空の姿を思い描いた。もっとも、魔物とひと括りにしてしまうと、それは曖昧すぎて良くわからない。けど少なくとも、魔物というのは恐ろしく人とは違う姿をしているものではないか。
「ああ、妖怪とも言われたな。わちは、遺伝子を継承してこの世に『生きる』存在ではないからの。生きてもいないし死ぬことも出来ん。そんな存在だ」

 つきあってられない。

 バカにするのも大概にしろ。
 魔物だの生きてないだの、意味不明な言動を臆面も無く言い募る少女に、巡、正直キレた。
「バカバカしい。僕は帰る」
 クルリと振り返って、歩き出す。
「そうだの。立ち話もナンだし、ぬしの住処へ連れて行け」
「冗談じゃない!!」
 巡は大人気なく(大人ではないが)、マジで少女を睨みつけた。絶対にそれは許さないと、その表情が語っている。あれだけ全力で走る巡に取り付いてきた少女だ。本気で家まで来る気なのだとしたら、それを止める対策は無いように思える。
「わちの話は聞いておいた方がいいと思うがの~」
「聞きたくない!」
 何が一番苦手って、話の通じない相手が一番苦手だ。
 巡はここに来て痛感する。今までそういう相手に出会ったことが無かった。否と申し立ててもスルリとかわされてしまうような経験など無いのだ。いやもちろん、違う、嫌だと思うことを聞き入れてもらえなかったことは何度だってあるが、それにはちゃんと、それなりの理由というものがある。今回相手にしている少女は、そういうケースからはかけ離れているのだ。
 何を言っても、のれんに手押し。
 もしもちゃんとした理由があるのだとしても。
 それは今、巡の理解の範疇外だ。

 結局巡は、その場から脱兎のごとく逃げ出した。
 再び追いつかれてしまうのかもしれないが、今の巡には、他の方法を思いつくことが出来ない。

「仕方のない奴だの……」
 その場に立ち尽くしたままの少女は、その場から巡を追いかけるでもなく、ただ走り去る彼の姿を見送っていた。


 何なんだ、あの幼児は。
 巡がそう思ったのは、今日何度目だろう。
 家に駆け戻る間にも、時折ちょっと道を変えてみたりして、何度も振り返ったり辺りを見回したりした。自分の背後にも気を遣う。また気付かないうちに背中にぶら下がっているかもしれない。
 そんなこんなしながら、いつもの倍以上疲労して、巡は家の前までたどり着いた。
 あがった息を整えながら、何かの気配がないか、キョロキョロと家の周りを見回す。そして大きく振り返って、背後も確認した。誰もいないことを確認して、家の小さな門へと向き直った。
「ここがぬしの家かの」
「!!!!!!」
 目の前に、少女がいた。
「どッ……」
 どうしてとか、どうやって、と言いたかったのかもしれない。けれど動転した巡の口からそれらの言葉は出てこなかった。
「一度話をした人間の気配を追うのは簡単だ。それにわちはぬしらのように確たる器は持たん存在だからな。重力の束縛から逃れることも可能だし、形を変えることだってできなくはないのだぞ」
 ぬしは今いち信じられんようだからの、と、少女は勢いをつけることも無く、その場からヒョイと小さな門の上に飛び乗った。姿勢を崩しもせず、スッと飛び上がって音も無く、狭い門構えの上に揃えた両足で立ったのだから、それは尋常な能力ではない。
 驚愕で目を見開く巡を尻目に、さらに少女はストンとその足場を蹴った。
 一瞬後には、巡の家の玄関の遥か上、屋根の上に、その姿があった。
「な……ッ!!」
「これで、わちが人間でないこと位はわかっただろう?」
 ストーンと、少女は再びこともなげに巡の目の前に飛び降りた。
 驚いて一歩後退した拍子に、巡は体勢を崩して尻餅をついてしまう。

 本格的に、それは幼児に出来ることではない。いや、大人だって、多分。

 人間じゃない、なんてそんなありえない話を、本気で信じざるを得ないなんて。
 巡はぼんやりと座り込んだまま、目の前で胸を張る少女を眺めることしか出来なかった。





==椎名の呟き==
いつまで続く、未知との遭遇。
次回は他の人々も出てきます……w

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