オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

スポンサーサイト

--.--.--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

05 逢魔が時! 第一話【逢魔が時、来たる!】…5

2007.03.18

 冗談だよ、と言ってくれる人間の代わりに、おやつを持った由美香が入ってきた。
「おまたせ~。天笠さんのとこの羊羹で良かった?」
 近所の天笠和菓子店は成瀬家の馴染みだ。にしても母、チョイスが渋すぎる。対して飲み物がアイスレモンティーというあたりが、何が何だか。
 由美香は持ってきたトレーを一度巡の勉強机に置くと、壁際に立てかけてあったローテーブルをいそいそと部屋の中央に設える。
「かわいいのね~。お嬢ちゃん、お名前は?」
 ニコニコと笑う由美香に、少女もニコニコと笑い返す。
 そしてクルリと、巡に向き直って囁いた。
「わちの名前、何がいいのかの」
「!!?」
「わち、特に名前など持っておらんでの。ぬし、適当に決めてくれ」
 なんだって!?
「そんなこと急に言われたって、無理に決まってるだろ!」
 あくまでボソボソと。何かを囁きあう二人を、由美香はニコニコと見守る。
「ほれほれ、早く決めんと、母に疑われてしまうぞ。人間には普通名前があるモノだからの。わちが人間でないなどと、どう説明する気かの」
「~~~~!!」
 友達として家に上がりこんだからには、名前くらい聞かれるのは当然かもしれないが、巡はそこまで考えていなかった。というか、相手に名前がないなどと、思いつきもしなかった。
 でも名前って。
 名前……。
 ……名前……。

「……………………かぼ」

 ようやく出た一言に、少女はくるりと由美香に向き直って笑った。
「かぼだ」
「かぼちゃん? 可愛らしい名前ね~」
 そうか?
「どこの子なの? この辺じゃ見ないわよね。最近引っ越してきたとか。こんな夕方までお出かけしてて大丈夫なの? おうちの方、心配してない?」
 由美香、母パワー炸裂。
 悪びれずに質問攻めにする由美香に、かぼはひたすら笑顔で対応した。
「家も家人もないから大丈夫だ。わちはずっと雑木林で木にぶら下がっていたからの~。おかげで衣食住にも困る勢いでな。良ければここに住まわせてもらっても全然かまわんのだが」
 おいおいおい!
 母親にバラしたくないんだろなんて脅しておいて、台無しじゃないか!!
 相変わらず、巡の叫びは声にならない。
「あらまあ……大変なのねえ」
「母さん!!」
「まあ別に、わちは人間と違って飲み食いせんでもちーとも困らんのだがの、やはり潤いは欲しいではないか」
 そうねそうねと、由美香は頷く。わかっているのか、この母親は。
「永い間寂しい思いをしてきたというのにの~、この男は、すこぶるわちを邪険に扱うのだよ、母上」
「まあ……ごめんなさいね、私の教育、何か間違ってたかしら」
 間違っているのはこれまでの教育ではなく、母自身の感覚ではないか。
「わちが人間ではないからと言っての~。人間でなくたって、犬でも猫でもクンクンにゃーにゃーと鳴いていたら、つい連れ帰ってしまうのが、健全な子供の精神というものではないかのお?」
「ああ、そうね、そうよね。でもゴメンね、私、子供たちが一度カモを拾ってきた時に、元の場所に戻して来なさいって怒っちゃったことがあったのよ~」
 数年前、それで巡は大泣きした。美しいというか、今となっては少々恥ずかしい思い出だ。
「カモは野生だでな。その判断は正しいよ、母上。だがわちは渡り鳥ではないのにの~」
 少女の言を素直に受けるなら彼女は野生ではないらしい。
「そうよね~。いいわよかぼちゃん。いくらでも我が家にいてちょうだい!!」
「母さん!! 何言ってんだよ!!」
「だってかわいそうじゃない。人間じゃないんなら別に大丈夫でしょ。養子縁組とかの必要もないんだし」
 母、あなたの脳はブラマンジェなのか。
 全部冗談だとでも思っているのだろうか。いやそうなんだろう。だが、ここで母が冗談のつもりで了解してしまえば、本当にこの魔物はここに住み着いてしまう。ような気がする。
「じゃあ今日からご飯はひとり分余計に作らないとね。腕が鳴るわ~。楽しみにしててね!!」
 由美香は上機嫌で、部屋を出て行った。
 一体どういうつもりか。母もこの少女も。
 本当にこいつがここに住みついたら、母はどんな反応をするのかと、巡はただただ頭を抱える。
「ものわかりの良い母上だの。とてもぬしの母とは思えん」
「冗談だと思ってるだけだ!!」
 多分、きっと。
「そうかの?」
 そんな巡に、少女はただ笑う。何気に余裕の笑みだ。
「ところで~。『かぼ』か、なかなか良い名前ではないか。良く思いついたの」
「考えに考え抜いた、お前にぴったりの名前だ。可愛いだろう」
 半ばやけくそになって、巡は返す。台詞に反して、その表情は大変に険悪だ。
「可愛いか、そうだの。かぼか、かぼ……。うん、可愛い名前だの」
 否。
 巡はこの少女を初めて目にした時に、最初に視覚で認識したものを、その口上に乗せてしまっただけだ。
 すなわち、巡の眼前に広がった「かぼちゃぱんつ」を。
 名前の由来がかぼぱんであることなど知る由もない少女は、自分についた名前にご満悦だ。

 聞きたいことなんてまだ山ほどあるのに。
 前途の多難を感じて、巡は深い深いため息をついた。





==椎名の呟き==
やっと少女の名前が出てきました。というかつきました。
これまで何度、「少女」や「幼女」の部分を「かぼ」と打ちかけたことか……w

★『逢魔が時!』最初から読みたい方はこちら★


人気ブログランキング参加中!
よろしければポチッとお願いいたします♪
人気blogランキング



テーマ : 自作連載小説

ジャンル : 小説・文学

コメント
コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

椎名シイ

Author:椎名シイ
 
オリジナル&二次小説、ボカロKAITOやゲーム感想や普通の日記をとめどなく。
一部微妙に腐女子向けかも!

インフォメーション

Twitter

管理人へのメールフォーム

pixiv
pixivは二次創作腐向け小説と絵。ジャンルは雑多。

カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

09月 | 2017年10月 | 11月
 日  月  火  水  木  金  土
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -


訪問者数
ラグナロクTV

このブログ内における「ラグナロクオンライン」から転載された全てのコンテンツの著作権につきましては、運営元であるガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社と開発元である株式会社Gravity並びに原作者であるリー・ミョンジン氏に帰属します。 © Gravity Co., Ltd. & LeeMyoungJin(studio DTDS) All rights reserved. © GungHo Online Entertainment, Inc. All Rights Reserved. なお、当ページに掲載しているコンテンツの再利用(再転載・配布など)は、禁止しています。
ブログ全記事表示
ブログ内検索
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。