オリジナル&二次創作の小説を、まったり速度でお届け。 最近ボカロ(KAITO)にハマって大変な噂です。

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10 逢魔が時! 第一話【逢魔が時、来たる!】…10

2007.03.26
 放課後になって、巡は職員室に顔を出した。
 朝比奈に言われた通り、両手に持つ箱の中にはクラスメイトたちが採集してきた植物の残りが入っている。のはいいのだが、こんなものを集めて担任が何をしようとしているのか、巡には今イチわからない。捨てるのならそのまま焼却炉行きでも構わないと思う。
 それとも、巡に説教するための大義名分だろうか。それならただ職員室に呼び出せば良いだけの話だ。
「先生、持って来ました」
 巡が朝比奈の机に向かうと、担任は事務椅子をグルリと回転させてにこやかに巡を迎えた。何気に巡の足許にくっついて来ているかぼの方には、視線さえも投げかけない。気付かれることはない、とかぼは言っていたが、なんだか不思議な感じがする巡。すでにかぼの存在から不思議なのだから仕方がないのだが。
「おお、ごくろーさん」
 巡から受け取った箱の中を、早速ガサガサとあさり出す朝比奈。
「それ、どうするの?」
「んー、採るだけ採って無駄にするのも、こいつらに申し訳ないからな。使えるものは使おうと……ああ、これとかな」
 朝比奈が取り出したのは、どうやらよもぎの一種。使い切れなかったが、結構な人数がこれを持ち帰っていた。
「よもぎは色々と使い道あるからな~。っと、この辺は押し葉にでもしといて、栞でも作らせるか……」
 朝比奈、新たな案が浮かんだらしい。
「ところでな、成瀬。お前今日はどうした? 何か悩み事か?」
 急にトイレには立つし、実習中もやたら挙動不審だったし、教室では突然怒鳴り出す。詰問されても仕方のない今日一日の巡だ。
「勉学の態度がなっとらんの~」
 お前にだけは、言われたくない!!
 腕を組んでうんうんと頷くかぼを怒鳴りつけそうになるが、巡は何とか飲み込んだ。今このタイミングでそんなことを叫んだら、本当にシャレにならない。
「すみませんでした。悩み事とかじゃないです」
 少々しおらしい口調で否定してみると、朝比奈はハハハと軽快に笑った。
「まあなあ、成瀬だって男だもんなー。他人に言えない悩みのひとつやふたつ、あったっておかしくないけどな!」
 そんなんじゃない、と言いかけたが、巡は一瞬躊躇した。男だからかどうかはわからないが、確かにこれも人に言えない悩みと言えなくもない……かもしれない。
 このままでは血管のひとつも切れてしまいかねない勢いだし。
「ま、悟られたくなければ冷静に対処できるようにするんだな。そうでないと周りに心配かけちまうぞ」
 軽い口調だが、朝比奈、何気に子供に難しい注文を出す。それともひとりの人間としての意志を尊重しているということだろうか。
「手ぇ出しな」
「?」
 言われて素直に手を出すと、朝比奈は巡の掌の上に、小さな茶色の塊をふたつ転がした。
「何これ……」
「キャラメル。オレが作ったの。それでも食って機嫌直せ。……あ、学校では食うなよ。それと、みんなには内緒な」
 巡はしげしげと、オブラートにくるまれたそれを眺める。
 いちいち小器用な担任だ。


「メグの先生は優しいの~。かぼに飴をくれたぞ」
 帰り道、巡に渡されたキャラメルを口の中で転がしながら、かぼは上機嫌で両頬を押さえる。
「お前にくれた訳じゃないよ……」
 むしろ自分が今あげたんじゃないかと、憮然とした面持ちで、巡はもうひとつのキャラメルを口に入れる。帰り道だが、学校では食べるなと言われたのだから、まあいいとする。へ理屈だと文句をつける人間は、ここにはいない。
 キャラメルは、当然だが甘い。
 口に広がる甘さで、ここ数日の疲れが何となく取れていくように感じるのは、あまりにジジくさすぎるだろうか。けれど、心身共に疲れていたのは事実で。
 キャラメル効果だろうか、何だか色々考えすぎるのが面倒に思えてきた。
 ありのままを受け止めてみた方が、建設的なんじゃないか、と。
 けれどやはり、かぼに学校に来られるのは困る。じっとしてないし、いつ誰に見られるかもわからないし。巡が持つという逢魔の力とかいうのを、持っている人間だっているかもしれない。
「もう、メグの学校には用がなければ行かんよ」
 思っていたことに、そのまま返答されて巡は驚いた。
「わちが行くと、メグは困るようだからの。わちはメグと仲良くしたいだけだ。嫌われてしまったら、意味がないからのー」
 散々やってくれた後で、よく言う。
「逢魔が時など、そう深く考えることもあるまいよ。どうあがいたところで、なるようにしかならんし、なるようになる。でも、案外世界は優しいぞ」
「優しい?」
 眉を寄せて聞き返す巡に、かぼはいつものごとく笑いかけた。
「世界は命ある者にもなき者にも、平等に存在する力を与えてくれてるだろ。ほれ、こんなに小さい者にもな」
 かぼの視線の先に、いつの間にか真っ黒な猫が座っていた。
 いつからいたのか。
 ニャーとなく声も、翡翠みたいな目の色も普通の猫とまったく変わらないが――長い尻尾が、半分ほど二股に分かれている。
「!?」
 かぼがそれを抱き上げた。
「こやつも魔の刻の住人だの。見たことのないヤツだが……こんな風に、至極本物に近く、力のない者もいる」
 ペロペロとかぼの顔を舐める黒猫は、尻尾が二股に分かれている以外はどこからどう見ても普通の猫で、突然人間の言葉をしゃべりだしたり、飛んだり消えたりする様子は見せない。
 これも、他の人間には見えないのだろうか。
 巡は、かぼからその猫を受け取って抱き上げた。
 人懐こく、巡の顔も舐め出す黒猫。ゴロゴロという喉の音が、巡の胸の辺りに振動となって伝わる。こうやって抱き上げているのを他の人間に見られたら、この猫の姿も見えてしまうのだろうけど、この猫くらいなら、きっと問題はないだろう。
「な、優しいだろう? 生きる気さえあれば、何とかなるんだものな。そんでもって、そうやって猫を抱き上げるメグも優しい子なんだって、わちは勝手に信じておるのだがの」
「……」
 一瞬目を見開いて、すぐに巡はかぼから視線を外した。
 多分赤くなっている頬を、あまり見られたくはない。
「優しくなんかないよ。この猫、かぼが面倒見るんだからな」
 ぷいと顔を背けて歩き出した巡に、かぼはグルグルとまとわりついた。
「なんだ、ケチんぼだの、メグは! 共同作業でいいじゃないか!」
「かぼがやるんだよ」

 やいやいと騒ぐ、かぼの声ばかりがうるさい帰り道を。
 少しだけ。
 ほんの少しだけ楽しいと感じたのは――ひとりはしゃぐかぼには。
 まだ、秘密にしておくことにする。





==椎名の呟き==
いちいち突っ込むことに疲れてしまって諦めのついたメグ、ですかねw

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